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第55章 獣人の運命

この時 の俺 はすべて を知らなかった――紫根(しこん) との一夜 の旧夢 は、ただ 彼女 に対する 罰 として いただけ だった。

その罰 が少し 艶っぽい だった が、彼女 の自業自得 であり、俺の心 には あまり 印象 が残らなかった。

敵対関係 だった ために、わざと 彼女 を無視 していた のかも しれない。


大軍 は東方 の揚城 へ向かって 進軍 した――速度 は速かった。

こんなに 短い時間 で一万 を超える獣人散兵 を処理 できる とは思わなかった。

さらに 二人 の可憐 で美しい女 を得た――今、靈柔い狐(れいやわいこ) は俺の腕 の中 に抱かれ、優しく ささやき ながら 仕えて いた。

そば には 一人 で座る靈嬌狐(れいきょうこ)がいた が、処女 の身 では まだ 少し 羞恥 を感じ、あまり 大胆 には できなかった。


「主人――これ は狐族 が最も 敬う祖訓 です。

狐 の代 から記録 され、今 や三千年 が経ちました。

代々 に渡って 伝えられ、獣人 の中 の狐族 はずっと 生命 の奥義 を追い求めて きました――それは霊者 に関わるエネルギー の解釈 です。

祖訓 の中 では、狐族全体 が世人 の運命 を変える聖者 を待って いると されています 」


靈柔い狐 の言葉 はゆっくり と聞き心地よく、いくぶんかの 可憐さ と媚惑 を帯び、何度 聞いて も飽きなかった。

彼女 が休む と、俺 は口 を挟んだ。


「俺 がお前たち の聖者 だから、喜んで 俺の女 になった のか? 」


靈柔い狐 は喜ばせよう として いたが、隠さず にうなずいた。


「最初 は主人 に捕らえられ、情勢 に迫られて のこと でした。

何千 もの獣人兵士 を救う ために やむを得ず そうしました。

しかし 主人 が私 の体質 を変えて から初めて 分かりました――主人 が我が族 が千年 も追い求めてきた聖者 だと 」


今 では 分かって いる――この小女 が言う 体質の変化 は、俺 が一時 の不憫 から彼女 に与えた一抹のエネルギー であり、

彼女 は霊者 の身分 を失わず、さらに 強大 な運命予知 の能力 を得た。

それ が彼女 の脳裏 に潜む千年 の記憶 を開いた のだ。


この小女 が俺 に喜び と深い愛情 を向ける のを見て、俺 はさらに 気分 が良くなり、からかう ように 言った。


「じゃあ 祖訓 には、本将軍 が英明 であり、二人 の可憐 な美人 が嫁 になる と書いて あるのか? 」


「そ、それは ありません。

先祖 はただ 予言 しただけ です――聖者 は祥雲 に乗って 降臨 し、豊豊ちゃり大陸 で倫理 を変え、世人 の運命 を変える と。

その運命 や倫理 が何 かは よく分かりません が、聖者 に出会え たのなら、私たち は聖者 の忠実な奴隷 です 」


その言葉 が俺 に彼女 をもっと 弄びたい 欲望 を抱かせた――まるで 以前の時代 に見た 調教 の映画 のよう に興奮 した。


俺の手 がまた おとなしくなく なり、彼女の緩やかな衣襟 を伝って そっと 入り込んだ。

しかし羞恥 に赤らんだ靈柔い狐 は初めて 耐え難い 様子を 見せ、情動的 に無力 に俺の手 を押さえ、紅い小さな口 から春の気配 の濃い声 を漏らした。


「主人……主人……やめて……妹 がいる のに…… 」


そば の靈嬌狐(れいきょうこ) は一度 もこんな風 にからかわれたこと はなかった が、見る ことは しばしば あった。

何度 も俺 が彼女の美しい姉 をベッド の上 で弄ぶ 間に、彼女 が戸 の隙間 からこっそり 覗いて いるのを 発見 していた。


だから 姉 のあの馴染み深い声 を聞く と、俺 がまた 悪さ を始めた ことが 分かった。

彼女 は艶やかな顔 をうつむけ、もう こちら を見られなかった。

しかし馬車 はこんなに 狭く、この色っぽい雰囲気 があまりに 濃厚 であり、彼女 は逃げる こともできなかった。

彼女 は不思議 でならなかった――姉 は常 に聖潔 で獣人 の中 で最も 誇り高き姫様 であった が、どうして 一人 の男 の前 でこんなに 淫ら になる のか。


俺 も思わなかった――こんなに 運 がいい とは。

祥雲 に乗って降臨 するとか、世間 の運命 を変える とか――そんなこと は考えたくなかった。

ただ この二人 の美人 を手に入れられれば、それでいい。

聖者 でなくても、手放す つもりはない――「得られない」 ことはあっても、「得て手放す」 ことはない。


今 は金 も権力 もある。

たくさん の女 をナンパ しなければ、来た甲斐 がない。

ここ数日、彩陽 もますます 美しく なっていた。

今 まで気づかなかった が、この金髪 の近衛隊長 は着飾れば なかなか のもの であり、俺 が贈った装飾品 でさらに 高貴 で優雅 な魅力 を放って いた。


しかしここ数日、心 はこの二匹 の狐 に奪われ、彼女 を顧みる 暇もなかった。

いわゆる 「狐の妖精」 は、男 には 抗えない ものだと いうこと だった。

昔 の時代 も多くの帝王 が花の艶 の中 で権力 を失った。


現代 の教育 を受けて いる俺 だが、真心 を持つ女 には 愛惜 を持つ が、計算高い女 は好きではない。

この二匹 の小狐 は心 が純真 で優しく、俺 は情愛 の泥沼 に足を取られて いるよう だった。


「主人――戦場 に着いたら、どうやって 両者 の対立 を解消 するの?

これまで に多くの死者 が出て いるよ 」


獣人 と雲国帝国 の戦争 は一度 や二度 ではない。

つい先日 も純凰 の大軍 が獣人 の待ち伏せ で大損害 を受けた。

今 は俺 が前線 に赴く と聞き、俺 が雲国 の大将軍 であること を知って いる靈嬌狐 は心配 になった。


「戦争 で戦う のは 一つの方法 だが、唯一 の方法 ではない。

可能 なら 双方 が先 に手を引く べきだ。

さもなければ、俺 が再び 神威 を振るえば、獣人 は先ほど のよう に運 がよくはない 」


聖者 であり、狐族 の目 には 神 である のなら、できるだけ 大げさ に言う。

彼女たち は俺 を万能 の神 と思って いるのだ から。


二女 は驚き、腕 の中 の靈柔い狐 は心配 そうに 俺の首 をきつく 抱き、その身体 を押し付けて 懇願した。


「主人――どうか 彼ら を救う方法 を考えて ください。

十分 な食料 があれば、獣人 は進んで 城を攻めたり はしません。

彼ら は最も 貧しい土地 で生きて おり、代々 耕して も暖衣飽食 には 遠く及ばない のです 」


「生き延びる には 自分の力 を頼る しかない。

もし食料 を作れず、敵 を倒せ もしなければ、餓死 するしかない。

現実 は残酷 だ。戦場 には 仁愛 はない――さもなければ 死ぬ のは お前 だ 」


まず は脅し、次 に冷酷 に言う と、二女 は悲しみ に泣きそう になった。


「主人――私 と姉 は心 からあなた に仕える ことを誓います。

体 も魂 も捧げます。

どうか 獣人 の民 を助けて ください――彼ら も創世神 が遺した 一筋 の血脈 であり、生きる権利 がある のです 」


靈嬌狐 も思わず 口を開いた。


そろそろ と思った――この時 にこの小女 が身 を捧げる と言えば、間違いなく 承諾 するだろう。

そこで すぐ に言い直した。


「しかし今 はお前たち二人 は俺の女 だ。

旦那 でも 主人 でも どちらでもいい。

俺 はお前たち を大切 にする から、獣人が絶滅 すること はない。

安心しろ――俺 がいる限り、すべて は解決 する 」


ここ数日、二女 から獣人 の生活 や生存方法 を聞いて いた――それは 原始社会 の生産力 に過ぎず、とても 多くの人 を養える はずがなかった。

心 の中 でため息 をつき、彼女たち が可哀想 にも思えた。


たとえ 片手 で豹 を引き裂け ても、そんなに 多くの豹 がいる わけではない。

獲物 は限られ、一匹 食えば 一匹 減るだけ だ。

しかし大地 に育つ食料 は違う――一年 の収穫 で二年 は持つ。

だから 人間 と獣人 の血なまぐさい争い を収める唯一 の方法 は、彼ら に新しい生き方 を教えること だと 分かった。


馬車 の中 で春 の戯れ を続け ながら、十数日 の旅 はあっという間 に過ぎた。

靈嬌狐 はまだ 最後 の一線 は越えて いなかった が、その胸 は露わ になり、今 は靈柔い狐 と共に、俺 が一手 で一つの胸 を弄び、低く 響く二重奏 が春 の交響曲 を奏でて いた。


道中 の荒廃 はすべて戦争 のせい だった。

元々 食べるもの が足りない人々 が戦火 の中 で飢え寒さ をさらに 深め、その地 の民 はますます 貧しく なり、生きる道 を失って いた。


この見知らぬ世界 に来た のは 創世神 の約束 を守る ためで、ナンパ と小遣い稼ぎ のつもり だった。

しかし人の気配 のない広大な荒地 を見る と、いつも 世 の中 を案じる 気持ちが湧く。

くそっ、俺 は世界征服 を望んで いるわけじゃない のに、こんなに 多くのこと を考えねばならない のか?


その日 の日暮れ、空 の端 の雲 が消える とき、一行 は揚城 に到着 した。

早馬 で知らせ は届いて いたが、馬車 を降りる と目の前 の歓迎 の列 に驚いた。

純凰、清凰、そして 玉鳳 かどうか 分からない女 が先頭 に立ち、その後ろ には 風間ひら の冷たい な姿、さらに 千 の衛兵 が整列 していた――まさに 恐縮 してしまう ほど だった。


嫁 との対面 では、二匹 の小狐 を馬車 に残し、彩陽 が女兵 を率いて 近づいてきた。

純凰 はもう 我慢の限界 であり、二ヶ月 の別れ が彼女 を想い で焦がれさせ、もはや 抑えきれず に駆け寄って 叫んだ。


「旦那! 旦那! 」


背後 の女兵たち の笑い も構わず。


「大姉さん――見た? 二姉さん の言葉 は屁 のよう だと 言った だろう。

あのスケベ を見る とすぐに、言ったこと を全部 忘れる。

罰 を与える どころか、自分 を慰めて やろうと してる みたいだ。

本当 に腹が立つ ! この大スケベ ! 」


清凰(せいほう) は秀麗な瞳 を見開き、そのクソ男 を睨みつけ ながら、大姉・翠凰(すいほう) に言った。


今まで見たこと のない女 は赤い鎧 をまとい、その場 に立って いた――非常に 美しく、清凰(すいほう) よりも 成熟 した魅力 を持って いた。

まるで 五月 の桃 のよう に食べたくなる ほど で、豊かな胸 は清凰 の未熟 なそれ とは比べ物 にならず、

その顔 は紅潮 し、肌 はクリーミーな白翡翠 のよう に白く、将軍 の殺気 は微塵 もなく、

もし 軍服 を着ていなければ、良家 の令嬢 のよう に見えた。


弓なり の眉 は三日月 のよう に細く、水晶 のような瞳 には かすかな笑み が浮かんで いた。

この二人 の傲慢 な妹 を見て、彼女 は何か がおかしい ことを 感じて いたが、それより も気になった のは あの男――彼女 が聞いたこと のない が、帝国 で急成長 した狼将軍 だった。


彼 があの男 か?

見た目 は悪くなさそう だが、こういう男 は女 の私蔵品 になりがち で、無能 だが 女 の欲望 を満たせる 小男に過ぎない。

雲音奈 の大軍 は本当 に彼 が撃退 したのか?

風間蘭向き も彼 に服従 したのか?

月光城 も彼 が救った のか?

あの凶暴 な獣人 も彼 が征服 したのか?


翠凰(すいほう) は憧れ と悸動 を覚えた が、それ以上 に信じられなかった――それら はすべて の男 に対する 認知 を超えて いたから

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