↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/67

第43章 女神の戦将

天性の警覚 が危機 を感じ取らせ、俺の身体 は影 のように 変幻 し、元素 と化して 消えた――さっきまで 横たわっていた場所 から。

「ドン!」 という音 と共に、長の椅子 は粉々 に砕け散った。

一振りの 灼熱の剣体 が水晶のように 透き通り、俺の前 に現れた。


剣 は名剣 であり、冷たい光 を放つ。

人 は好人 であり、とても美しい女 だ――九天の玄女 のように 可憐で 香しい。

しかしその身 には 冷たい寒気 が凄まじく、俺 を千年の氷窖 に投げ込んだ ように、

周囲三丈 がすべて 氷 に変わって しまった。

いくぶんかの 怒りの気配 を伴い、俺の体 を包み込んで いた。


「舞焔(まいえん)! 」


俺 は心の中で 驚いた――この女 が舞焔(まいえん) だとは 思わなかった。

さらに 図々しい のは、彼女 は仮面 さえつけず、白昼 に一人 で俺の陣営 に乗り込んで きた。

確かに 言える――もし今 の相手 が俺 ではなかったら、殺される確率 はほぼ百パーセント だった。

この女 の人間 を超えた修为 は確かに 並々ならぬ ものだった。


現在 の豊豊ちゃり大陸 で最も 腕前 が高い のは 剣聖・風間蘭向き だが、

この女 の神秘的な身法 は剣聖 よりも わずか に高い ようだった。

今 は奇襲 が失敗 した と分かると、逆 に静か になり、俺 と向き合った。

意識 の目 は俺の体 に注がれ、一瞬 も緩めなかった。


クリーミーな白翡翠 のような肌 は月下の大地 のよう に神秘的 で誘惑的 だ。

かすかな紅潮 と寒氷 が交わり、春の気配 はなく、まるで北極 の氷原 に立つ 一つの彫刻 のよう だ――精巧 であるが、生命 を感じさせない。

手 に握る長剣 は微動 だにしない――もし誰か が彼女 を見たら、絶対 に像 と間違える だろう。


風なく、波なく、心 は淵のように静か だ。

動いて はいない が、意識の戦い は始まって いた。

俺 は彼女の霊脈 を捉えよう とし、彼女 は精霊のように 逃れよう とする。

創世神 の力 は本当に すごい――この世 で彼 に敵う 力はない。


長身 は極めて 完璧 であり、前世 の二人の女 も極上の美人 だった が、

この目の前 の女 はまさに 完璧 と言える。

可憐で 凹凸 がはっきり し、曲線 は優美 で、そのすべて が青春 の魅力 を放って いた。

たとえ 衣服 を通して も、彼女の体 の滑らかさ と繊細さ、芳しい香り を感じ取れた。


俺の問い に対し、彼女 は少し の偽り もなく、率直に 答えた。


「そうだ――私 が舞焔(まいえん) だ 」


くそっ、この小娘 は暗殺 を当然 のこと のように している のに、見つかって も聖女 のような顔 をして いる。

それを見て、俺 は腹が立った。


「舞焔(まいえん)将軍――二軍 が対峙 している のに、こんな 卑劣な暗殺手段 を使う のは 度を越して いる のでは? 」


俺 は辛抱 して言った。

こんな美女 なら、手加減 してほしい と一言 言えばいい のに、なぜ こんなに 気まずく するのか。


「戦場 に情け はない。手段 は問わない。

勝利 さえ得られれば、手段 は重要 ではない 」


舞焔 は目の前の男 をじっくり 観察 した。

特殊 な魅力 を除けば、他 に特徴 は見つからなかった。

強いて 言えば、顔 に浮かぶ スケベな表情 が彼女 にとって 初めて のもの だった。


彼女の体内 の寧和の気配 により、どんなに 彼女 を慕う男 でも、彼女の前 では 少し の冒涜 もできなかった。

しかしこの男 は彼女の視線 を無視 し、淫欲の表情 を一切 隠そう としなかった――

まるで 彼女 が暗殺 に来た のと 同じ ように、当然 のこと のように。


「おお――舞焔(まいえん)将軍の言葉 は真理 のよう だ。戦狼 は教えられた。

では 本将軍 も舞焔(まいえん)将軍 をどう罰するか 考えて みよう 」


自ら 送り込んで きたのなら、俺 は善男子善女人 ではない。

遠慮 する必要 はない。


舞焔 はこの男の視線 の意味 を当然 感じ取り、大喝 した。


「痴漢! お前 を死んでも葬る所がない に送って やる! 」


逃避 の意識 も顧みず、怒り を込めて 剣 を放つ。

剣気 は虹 のよう に、濤声 は天 を震わす。

その気勢、その力 は万年 を凝縮 した一撃 のよう に荒波 が押し寄せる。


こういうこと はこの小娘 も初めて ではない ようで、手際 は良かった。

彼女 の影も形もない の身法 なら、彼女 を捕まえられる者 はほとんどいない。

しかしここ には 俺 がいる――無形 でしなやかな 元素の網 がある。

実は 彼女 が現れた瞬間 から、俺の功力 は糸 に凝縮 され、ここ に包囲網 を張り巡らせて いた。


鋭い剣気 に対し、俺 は油断 せず、創世神 の創神真力 を全身 に巡らせ、金光 が閃く とその剣気 を防いだ。

「バキッ! バキッ!」 と何度 か轟音 が響き、大厅全体 がこの混力 で破壊 され、木屑 が舞い散った。

俺 は濃い眉 を上げ、大笑 した。


「舞焔(まいえん)将軍――この損害 は、赤電帝国 に百倍 にして 賠償 してもらう ぞ 」


門 さえ吹き飛ばされ、彩陽(あやひ) と近衛たち がなだれ込んだ。

舞焔 は心の中で 驚いて いた――この 下劣な淫男 がこんな 神力 を持つ とは思わなかった。

その 見知らぬ真力 は覇道的 な抑止力 を持ち、彼女の功力 を大きく 削いで いた――こんなこと はかつて なかった。


気 が押さえ込まれ、女衛 の乱れ矢 に対処 する余裕 もなかった。

身形 を退け、光芒 を放って 急いで 逃げ出そう とした。

しかし皆 が一筋の光 を感じた だけで、あの 流麗で香しい 冷霜の女将 が再び 中央 に落ち、呼吸 も緩やか になっていた。


「不思議 だろう? なぜ 出られない のか 」


俺 は両手 を組み、満足げ に目の前の美女 を見つめて いた。


この男 は実に 嫌 だった が、この問い は舞焔 も確かに 知りたかった。

彼女 は今回 は怒り を見せず、ただ 黙って いた。


「これ は天網 だ。魚網 は普通 人魚 を捕まえる が、俺の天網 は妖精人魚 を捕まえる。

舞焔将軍――お前 は艶やかな妖精人魚 だ 」


意味 は明らか だった。

舞焔 はいくら 修養 があって も、女特有 の気性 を免れず――変態 に対する 嫌悪 が募った。


風間ひら と純凰 も駆けつけ、門口 で見守って いた。

その目 には 深い憂い があった。

俺 が月光城 に来て 以来、軍の士気 は一変 し、二度 の勝利 で戦争 の主導権 は雲国帝国 の手 にあった。

彼女たち はすべて が俺 のおかげ である ことを 知って おり、いつの間にか 俺 を唯一 の存在 とし、失う ことを 恐れて いた。


純凰(じゅんほう) は愛 により、心身 を俺 に捧げて いた。

今朝 起こさなかった ことを 怒って はいなかった が、怨めしい 口調で 俺 を叱った。

しかしその言葉 の中 の気遣い は明らか だった。

彼女 は腹が立って も、心 の中 では よりどころ ができた ことに 幸福 を感じて いた――女 はこういう 完全な守護 を必要 とする。


「旦那――あれ は舞焔将軍 だよ。彼女 には 丁寧に 接して。手 を出しちゃ ダメだよ 」


汗 が出た――これ が俺の女 が言う言葉 なのか?

しかしこれ は純凰 が平然 と言った のだ。

敵対 している ものの、彼女 はこの 無礼な女 に好感 を抱いて いるよう だった。


旦那 が殺されそう になって も、彼女 は彼女 のために 懇願 するのか。

心の中 で冷や汗 をかき ながら、眼前 の舞焔 に向かって 言った。


「舞焔将軍――俺の女 がお前 のために 懇願 している。

観念 して捕まれ。俺 はお前 を苦しめない 」


善意 であった が、舞焔 の心 には 何か 引っかかった。

この淫らな男 が自分 を苦しめない? ありえない。

舞焔 は常に 知って いた――自分のこの顔 がどれだけ の 災い を引き起こして きたか を。

女王 でさえ 心 の中 の嫉妬 から彼女 を前線 に左遷 した。


しかし誰も 知らない――舞焔 は自分の美しさ を誰か と比べよう としたこと は一度 もない ということ を。

それでも 人々 は嫉妬 を持たずに はいられなかった。

堂堂 たる赤電戦神 でありながら、赤電帝国 の中高権力 の中心 に入れず、

高官たち は心 の中 で彼女 の介入 を拒んで いた。


だから 彼女 は観念 しなかった。

剣 を鞘 に収め、冷たく 言い放つ。


「観念 しろ と? それ はお前 にその力 があるか どうかだ 」


彼女 はかつて 使ったこと のないエネルギー を具現化 した――

それ は彼女自身 でさえ 制御できない力 であり、生まれた時 から体内 に存在して いた。


かつて 一度だけ 使ったことが ある――

三千 の野蛮な獣人先鋒隊 がその一撃 で完全 に消滅 し、彼女 は三ヶ月 も昏睡 した。

この 深窓 の知れぬ男 に対し、舞焔 は選択 を持たず、選択 も必要 ではなかった。

降伏 は彼女の性格 ではない。

皎潔な聖光 が放たれた。


「神光! 」


門口 の純凰 と風間ひら は心の中で 驚いた。

人間 の力 は聖級 が最高 であり、聖域 は修行者 の心 の中 で最高 の存在 だ。

豊豊ちゃり大陸 で聖域 に達した者 は十数人 しかおらず、雲国 にも 風間蘭向き が初級聖域 に達した だけだ。


しかし神光 は違う――聖域 を超え、人間 の限界 を超えた ものだ。

言わば 人間 には ありえないもの だった。

今、舞焔 がその 無比な力 を放った。

彼女の 激情 の表情 を見て、女たち はさらに 驚愕 し、声 も出なかった。


彼女 は俺 に向かって ではなく、その強固な結界 に向かって 攻撃した。

轟音 が一度、二度、三度――舞焔 は再び 跳ね返された。

ありえない――この 神秘の力 でも 元素結界 を破れない とは。

以前 は考えたこと もなかった。


力 は増し、衣 は乱れ、香り はさらに 濃く なった。

俺 は止めず、この女 が激怒した獅子 のように 強力な神界 にぶつかる のを見つめた。

それは 確かに 人間 が破れる ものではなかった。


力 がますます 激しくなる につれて、衣 が裂け始め、血の筋 が現れ、

ほとんど狂気 の衝突 が彼女 を理性 から遠ざけた。

以前 はこの力 を隠して いたが、今 は段階的 に強化 していた。

指 は傷つき、血 が滴る――俺 でさえ 見る に忍びず、心 が弱くなり、結界 を解いて 逃がそうか と思った。


突然、気配 が一変 した――目の前 の舞焔 がまったく 異なるもの になった。

狂気 の後の虚脱 の中 で、俺 にとって 馴染み深い気配 が彼女の体内 を巡り始めた。

間違いない――これ があの感覚 だった。

なぜ 月光城 に足を踏み入れた ときから この渇望 を感じて いたのか、今 は分かった――

この感覚 を舞焔 の身 に見つけた。


すべての近衛兵 と将 は、俺 も含め、舞焔 の身 に起きた奇観 を見た。

彼女の霊鎧 が「ビリビリ」 と音 を立てて 裂け、一対 の白い翼 が空中 に広がった。

冷たい顔 には さらに 神聖 が満ち、人々 に跪きたくなる 衝動を 与えた。


「女神……彼女 は女神の体領域 だ! 」


それは 伝説 に過ぎなかった。

純凰 が叫んだ――彼女 は思わなかった、常に 敵と してきた 舞焔将軍 が女神の体 だとは。

なるほど、彼女 と清凰 の二人 がかり でも敵わなかった わけだ。

彼女 の敗戦 の経歴 もようやく 納得 できた。


しかし俺 は驚いた――創世神 はかつて こう言った――

罰せられて この浮世 に落とされた 五大女神を 救えと。

まさか 舞焔 がその一人 だという のか?

その時、翼 を広げた舞焔 は俺の結界 に向かって 突進 し、

「ドン!」 という音 の後、結界 はついに 破られた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。