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第39章 月光城

「将軍――大変です! 赤電の大軍 がまた 攻撃 を開始しました! 」


一人の哨兵 が慌てて 駆け込み、大声で 報告 した。


「伝令兵――清の兵団に 伝えよ。直ちに 城を 堅守せよ! 」


三日 に渡る 幾度 もの強攻 が、月光城 を無惨 に傷つけて いた。

もし あの信念 がなければ、雲国連合軍 はとっくに 大敗 していた だろう。


清凰 の可憐で純真な顔 に一瞬 興奮と勇気 が湧き、振り返って 優しく 言った。


「二姉さん――純の兵団 はここ数日 疲れが 溜まって いるよ。

しばらく 休んで ていい。次 はあなたたち が出る番 だから。

もう一度 あの舞焔 がどうやって 私の月光城 を踏み潰す のか見て やる 」


月光城 は常に 清凰 の関所 であり、雲国の南方の門戸 だった。

もし月光城 が落ちれば、赤電帝国の大軍 はなだれ込む ことができ、雲国帝国 は危機 に瀕する。

歯を食いしばって の抵抗 も今日 では 疲れ果てて いた。


清の兵団 の十五万 の大軍 は、舞焔 (まいえん) の幾度 の攻撃 で今 や六万 を切って いた。

純の兵団 の残る四万 と共に、月光城 で血の長城 を築いて いた。

清凰 と純凰 は交互 に城楼 に上がり、反撃 を指揮 して半月 が経った――赤電帝国の大軍 は一歩 も前進 できなかった。


その時、遠く の激しい殺戮の声 が聞こえ、急ぎ駆けつけた斥候 が大声で 報告 した。


「狼帥――赤電帝国 は現在 激しく 攻城 しており、月光城の守り は崩れそう です。

将軍 はすぐに 城内 に入りますか? 」


城内 に入る? 俺 は心の中で 考えた。

雲国帝国 の状況 は赤電帝国 が誰より もよく知って おり、援軍 など 気にしない だろう。

翠の兵団 と氷の兵団 が動かなければ、たかが五万 の援軍 など 何の意味 もない。


戦 は奇襲 を上 とし、攻城 を下 とする。

これは 確かに 俺 にとって 絶好の奇襲チャンス だった。

俺 の命令 を待つ 将たち を見て、俺 は口元 に邪悪な笑み を浮かべた――その寒気 は皆 の心 に染み渡った。

風間ひら の腰の佩剣 も静かに 震え、俺の殺気 を感じ取って いた。


「男奴隷兵団 に伝えよ――重い荷物 を外せ。長い間 耐えてきた が、そろそろ 発散 するとき だ 」


俺 は伝令兵 に指示 を下し、次 に風間ひら に向かって 言った。


「風将軍――俺 は男奴隷兵団 を率いて 先鋒 に立つ。

お前 は四万の大軍 を後方 に続け、三角陣形 を保て。

攻城軍 に戦狼 の凄さ を思い知らせて やる 」


あまり 賛成 ではなかった が、今 の状況 では 風間ひら も良い案 を持たなかった。

死ぬ のなら、壮烈 に死のう。

彼女 はすぐに うなずき、手綱 を引いて 馬 を回し、軍の配置 を行いに 行った。

俺 は彩陽(あやひ) と近衛 に囲まれて、男奴隷軍営 の前 に立った。


彩陽(あやひ) には 風間ひら に従う よう言った が、この小女 は頑なに 拒んだ。

落雲将軍 が「一刻も狼将軍のそばを離れるな」 と厳命 したため、無理強い するわけ にもいかなかった。


「前方 で戦火 が雲国帝国の尊厳 を焼いている。

俺たち男 が立ち上がる ときが 来た。

女たち に教えてやろう――男を怒らせたら どうなるか を。

もし お前たち が男奴隷兵団 を真の軍隊 にし、皆 の誇り にしたければ、生きろ 」


血 が沸騰 し、彼ら全員 がこの瞬間 を待って いた。

今、彼ら は戦士 であり、奴隷 ではない。


俺の大手 が振られる と、一気に 馬 が躍り出た。

初めて 奴隷兵団 が捨て駒 ではなくなり、高級将軍 の率いる 軍隊に なった。

そして 俺 は彼ら の永遠の将軍 になる――たとえ いつか その任 を降りても、彼らの心 の中 で俺 は永遠の神話 であり、崇拝 の的 だ。

なぜなら 俺 が創設 したのだ――豊豊ちゃり大陸 を震撼させる 猛虎兵団 を。

今 の彼ら はまだ 軟弱者 にしか見えない が。


三十万 の大軍――十万 が留営、十万 が後方支援、十万 が攻城 に当たっていた。

連日 の消耗戦略 により、舞焔(まいえん) は効果 が出ている ことを 知って いた。

月光城 の抵抗力 はますます 弱まり、一ヶ月 を待たず に月光城 は自分の手中 に収まる だろう。


彼女 はただの軍人 であり、帝国 に忠誠 を尽くす ことが 天命 だ。

戦争 に正誤 はなく、ただ 強弱 がある――勝者 が王 であり、敗者 が寇 だ。

月光城 の清凰 と純凰 もそれを よく分かって いるはず だと 信じていた。

だから 彼女 は尊敬 する相手 に対し 決して 手加減せず、攻撃 を緩めた ことも なかった。


その結果、彼女 は均衡 を破り、天秤 を完全 に傾けた。

そして 今、勝利 は目の前 にある。

彼女の顔 には 静かな笑み が浮かび、その中 には いくぶんかの 寂しさ も混ざって いた。

百勝将軍 の称号 は再び 証明 された。

彼女の表情 が月光城 の二人の敵将 に対する 敬意 なのか、それとも 好敵手 の不在 に対する 嘆き なのか――誰も 知らない。


「後方支援の兵士 に伝えよ――一時間後 に攻城軍 と交代 せよ。

輪番制圧 を行う。彼女たち に一瞬 の隙 も与えるな 」


冷たく 氷のような言葉 に、そば の副将たち は誰も 声 を上げられなかった。

戦場 は自然淘汰 の場 だ――勇者 だけが 生き残れる。

彼女・舞焔(まいえん) も数え切れない 生と死の戦い を経験 し、今 もなお 生きている。


「はい、将軍! 」


一人の副将 が馬 を駆け て去っていった。

舞焔の命令 は神 のように 誰も 逆らえず、理由 を問う者 もいない。

「将軍 のすること には 理由 がある。ただ実行 せよ」――これ は赤電帝国遠征軍 のすべて が知る 戒め だ。


十六歳 から十年――彼女の心 は幼さ から熱血 へ、そして今 は麻痺 していた。

死 は彼女 にとって 何の意味 も持たない。

生命 の存在意義 はただ戦うこと だった。

あるいは 彼女 は自分 が人間 ではなく、戦争の機械 になって しまったのかもしれない。

それ はもう 慣れて いた。


「将軍――帝国 から知らせ が届きました。

雲国帝国 が援軍 を派遣 したとのこと です。率いるのは 男 で、約四五万人 だそうです。数日中 に月光城 に到着 するでしょう。

準備 はされますか? 」


一人の謀士 らしき女 が優しい声 で尋ねた。その目 には 期待 があった――この男 の伝説 に好奇心 を抱いて いた。


「不必 だ。男 はただの無能な 役立たず だ。

雲国帝国 も本当に 人材不足 だな――男 に兵を率いさせる とは。

雲ここ は十年前の あの痛み を忘れた のか。もう一度 味わいたい というのか 」


来たところで どう するというのか?

明日 には 月光城 は主 が変わる。来た ところで帰れはしない。


強攻 は続く。

一時間後、後方支援 の大軍 が疲れた攻城軍 と交代 し、第二波 の攻撃 が始まった。

清の兵団 の損害 は甚大 で、純の兵団 の疲弊した兵士 が再び 城楼 に送られた。

さらに 激しい 守城戦 が展開 された。


「舞焔 は確かに 戦場の経験者 だ。

陣営の処理 や人員配置 は常人 の及ぶところ ではない 」


戦場 の高台 に立って、彩陽 が馬上 で俺の前 に来た。

全軍 は準備 を整え、俺の最後の命令 を待って いた。


彩陽の言葉 にも 同意する が、女 は女 だ。

百戦百勝 の戦績 が彼女 を戦争 の慎重さ を忘れさせて いた。

少なくとも 今 俺 がここ に這い上がる ことができ、巡哨 の巡回 がない のは、彼女の過失 だ。


「風間ひら に伝えよ――右翼 から攻撃 せよ。

我々奴隷兵営 は左翼 から攻城軍 を掃討 する。

彼女たち は俺たち がこんな 大胆 だとは 思わない だろう。

城門 の中心 まで到達 すれば十分 だ 」


十万 の攻城軍 が繰り広げる 光景は 壮観だ。

蟻の群れ のように 約一里 にわたって 月光城 の周囲 に散らばり、高楼 が次々と 城壁 に掛けられて いた。


俺 は撤退 する十万 の大軍 が後方陣営 に戻る のを注意深く 観察 した。

中路 の援軍 が到着 する前 のその瞬間、

攻撃の火花 が空中 に炸裂 した。


俺 が先陣 で馬 を駆け、大喝 した。


「突撃――! 」


背後 の彩陽 と待ちきれず になった奴隷兵 が一斉 に叫び ながら突撃 した。


奴隷 が戦場 で迎える最後 は死 だ。

しかし俺 に従って 突撃 すれば、わずか でも 生きるチャンス がある。

死 は怖くない が、少し でも チャンス があれば 掴みたい。できれば 誰も 死にたくない。


攻城軍 は確かに 予想外 だった――

こんな 緊迫した時 に、両側 から挟撃 されるとは。

馬上 の攻城指揮官 は一瞬 呆け、攻城 を続ける べきか、一時中断 してこの どこから か現れた奴隷兵 に対処 するべき か分からなかった。


風間ひら もこの機 を逃さず、元素 の槍 を振るい、三丈 (古代では、1丈は約3メートルだった。) 以内の兵士 を吹き飛ばした。

初めて の戦場 では、緊張 もあった が刺激 もあった。

背後 の京統合軍 も大将 の活躍 を見て、洪水 のように 殺到 した。


陣営 から急ぎ出てきた舞焔(まいえん) は驚き の冷気 を顔 に浮かべ、大声 で命じた。


「全軍 に命じる――あの援軍 を包囲せよ! 攻城 を中止 せよ! 」


そして 力強く 馬を蹴ると、その神駒 は雲と霧 を駆け、一瞬 で三丈 も飛んだ。

実に 大胆 だった――彼女 に挑む者 がこの世 にいる とは。


近衛兵 は即座 に命令 を伝え、舞焔 の後 を追った。

攻城軍 は最も 悲惨 であった――城楼 の半ば にいる者 が多く、上 にも 行けず、下 にも 降りられない。

上 には 乱箭、下 には 馬の槍――長い梯子 が次々と 倒れ、悲鳴 が天地 に響いた。


「援軍だ! 本当に援軍だ!

二姉さん――女皇 が援軍 を送って くれたんだ! 私たち は助かった! 」


汗と血 にまみれた清凰 が驚いて喜ぶ の声 を上げた。

乱れた攻城軍 を見て、彼女 は敗戦後 初めて 希望 を見た――わずか だが。


剣 を収めて 立つ純凰 は顔色 を変わるさせ、思わず 声 を漏らした。


「彼……? どうして彼が? 」


しかし 一瞬 のぼんやりする の後、彼女 は大声 で命じた。


「四妹――あなた は城門 で援軍 を迎えなさい。

時機 を逃さず、舞焔 の潜入 に気をつけて 」


攻城軍 が舞焔の命令 を受けた とき、俺 と風間ひら はすでに 城門 で合流 していた。

それを見て、純凰 が白い腕 を振ると、清凰 は城門を開くを命じた。


風間ひら の率いる京統合軍 が次々と 城内 に退却 した――「女性優先」 は、将来 の猛虎兵団 の良き伝統 になる だろう。


最後 の男奴隷兵 が城内 に退却 したとき、俺 の馬上 の姿 は高らかに 嘶き、血 の燃焼 を感じて いた。

数十メートル先 で一騎 の狂傲な女将 が駆け寄って くるのを 見て、俺 は冷酷な笑み を浮かべた――

初対面 の挨拶 を送ろう。


馬の背 を軽く蹴る と、俺の体 は空中 に舞い上がり、

体内 で沸騰する創世神力 が天を驚かし地を動かす 荒波(あらなみ )を巻き起こした。

神 は人類 の守護者 だった が、今 や豊豊ちゃり大陸 の生存 のために、自ら が創り出した生命 を破壊せねばならない――

それは 皮肉 なこと かもしれない。


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