第31章 乱に乱を添える
俺 は彼女を責めなかった――ただ天を恨んだ。
いったい誰が 豊豊ちゃり大陸 の女たち にこれほどの 悲しみと重圧 を背負わせた のか。
誰が 陰陽の理 を変えた のか。
また 押し寄せる 無数の敵軍 を見て、俺 は悟った――
これらすべて は俺 が変える のだと。
神 になる のなら、まず 魔 になろう。
殺戮――それが 今 の俺 にできる 唯一の選択 だった。
「鎧を 持って来い! 」
声 はいつもと 異なり、冷たさ を帯びて いた。
初めて 殺戮 を選んだ 相手が 女 だとは――
俺・戦狼 は一生 花を愛でる スケベ を自負 してきた が、それでも ここまで 追い詰められた。
落雲 と風間ひら は俺の あまりの 厳しい表情 に驚き、反対 もできなかった。
俺 が甲冑 を身に着ける と、風間ひら が幽かに 口を開いた。
「落副将――お前の任務は 狼将軍の 護衛 だ。絶対に 彼に 何か あってはならない。分かったな? 」
おばちゃん の言いつけ を決して 忘れられない。
男 は男 だ――生まれつき 女 に守られる べきもの だ。
くそっ――すべて が逆だ!
風間ひら は言い終える と背を向け、第二波の突撃 に備えて 兵を組織 しに行った。
落雲 も近衛 と共に、利剣 を抜き、固く 俺 のそば を守った――
まるで ここ で最も 弱い のが俺 だと 言わんばかり に。
その光景 に俺の心 は怒りで 震えた。
かつての 男性優位主義 と今の 女性優位主義が初めて 激しく 衝突 した。
京統合軍 の二万 に加え、中城の京衛軍 も二万――合計四万 で柔城 を死守 する。
内城の二万の兵士 は絶体絶命 に至るまで 動かさない つもりだ。
女皇 は全軍の指揮権 を俺 に委ねた が、それでも まず 愛する女たち の安全 を確保 しなければならない。
女皇 の深い期待の瞳 を思い浮かべる と、彼女の 孤独と無念 が理解できた。
できれば 彼女 は愛する男 の胸 に寄り添い、その愛撫と守護 を受ける ほうを 選んだ だろう。
鉄の馬 と血に染まる政権 に向き合う よりも。
権力 は時に 女 にとって 生命の重荷 だ――雲ここ はそんな 野心的な女 ではない ことが 俺 にも 分かっていた。
先鋒部隊 は総動員 され、五万 に達した――柔城 の三万人 をはるかに 上回る。
高楼 に架けられた飛弾 が魔法 の力 で柔城 を蹂躙 する。
激しい戦号 が柔城 を人間地獄 に変えた。
家族 のため、帝国の栄光 のため、彼女たち は女 でありながら 絶対の忠誠 を示し、
可憐な命 と輝く青春 を生と死の戦い に捧げて いた。
目 の届く限り、蟻のような人波――並肩王 は本当に 激怒 している ようだ。
柔城 に対し 無比の憎悪 を抱き、戦火 でここ を灰燼 に帰そう としている。
五万の先鋒営 はすでに 万近い遺体 を捨てた が、彼女の進攻命令 は止まない。
遠く の高い戦馬 の下 の騎影、近衛 に守られた その姿 が並肩王 だと 分かった。
血 は川 を成し、哀れな美人たち が次々と 俺の前 で倒れる のを見て、
戦争の残酷さ が拡大鏡 で十倍 にされて 眼前 に広がる。
これが 俺の運命 なのか?
香り が消え、玉 が砕ける 苦痛の 中で これらの 可憐な花 の凋落 を受け止める のが?
また 一部隊 の敵軍 が城楼 に上がり、柔城の女性兵士 に大いに 掃討 されていた。
鋭い槍 が花の季節 の少女兵士 の胸 を貫いた――
その両目 は死の間際 にも 青春への憧憬 をたたえ、
彼女 は生命の精華と光彩 を味わう ことさえ できず、こうして 黙って 死んで いった。
もう 誰も 彼女の名 を覚えて はいない。
我慢 はもう 限界 だった。
戦争 は血と血の戦い だが、決して 美の破壊 ではない。
俺の心 の神火 がこの瞬間 完全に 点火 された。
目 に映る のは 血だけ――
これは いったい 誰の過ち だ? 並肩王――お前は 間違っている!
「ああああっ……! 」
狼の遠吠え――俺は狼 だ。凶暴で残忍な狼 だ。
狼の本性 は噛み裂き、抗う ことだ。
すべての柔城の女兵 は震える光景 を目の当たり にした――
彼らの狼将軍 が鋭い叫び を上げ、天と地 さえも 悲しみに泣く ような凄絶 を引き起こし、それが 殺戮の始まり だった。
「狼将軍! 」
落雲 は俺の様子 を見て 不吉を感じ、焦って 叫んだ。
しかし俺の身体 は電光の如く 柔城の城楼 を飛び出し、戦神 のように すべての束縛 を振り切り、
天地 さえも 震え上がる 巨大な神力 がこの 血に染まる戦場 を覆い尽くした。
これ が俺 の歩む道 なら、魔 になろう!
「並肩王――お前は 後悔するぞ! 」
両腕 を広げる と、すでに 沸騰 していた 創世真訣 のエネルギー が氾濫 し、
命 はここ でこんなに 卑しく、男と女 もここ では 何の意味 も持たない。
白光 を放つ 無辺の真力 は人間 の抗える ものではなかった。
五万の先軍 は俺の狂暴な力 の前 に、風の刃 に断たれた ように 数えきれないほどの死傷者――
一瞬 で攻城部隊全体 が蜂のように 潰走 した。
俺自身 も思わなかった――記憶 の中 のこの一式「神の怒り」 がこれほどの威力 を持つ とは。
これほど多くの 人間の兵士 を蟻のように 踏み潰す ことができる とは。
遠く で指揮 を見ていた 者たち は眼前の悲劇 に慌てて 退却 した。
しかし俺の殺意 は一気に 高まり、彼女たち を逃がす わけにはいかなかった。
元素 を纏った 身体 が幾度 か変幻 し、一瞬 で彼女たち の上空 に舞い降り、
凝空 から拳 に集めた 狂覇の力 を傾注 させた――数百人の逃走する騎兵隊に向かって。
砲弾 で直撃 されるより はるかに 強力 だ。
空中 で十八の龍撃掌 は十八の掌勁 を放ち、平坦な戦場 に万丈の煙 を巻き上げ た。
煙 が晴れる と、数丈 の深さ の十八の穴 が全員の前 に現れた――
これ が人間の力 なのか?
風間ひら は呆然 として いた。全身 に冷気 が広がる。
彼女 はこのスケベ が武芸 に優れている ことは 知って いたが、ここまで 異常に強い だとは 思わなかった。
もし、もし あの日 校場 で彼 がこんな 爆発的な力 を見せて いたら、自分 は無事 でいられた だろうか?
彼女 は心の中で 自問 した。
数百 の軽騎 のうち、数十騎 だけが 逃げ帰った。
俺 は追わなかった――ただ風に乗って 空中 に浮かび、
自らの手 で葬った 血の塊 と遺体 を見つめ、心の痛み はさらに 悲しみ を増した。
愛する者 のため、俺 はもう 後戻りできない。
俺の落寞 に対し、城楼 からは 歓呼の声 が響き渡った――「狼将軍! 狼将軍! 」
その叫び は天地 に響き渡る。
今日 から、一代の戦狼 の名 は豊豊ちゃり大陸 に轟く だろう。
破壊 は再生 の始まり――ならば 俺 はあの残忍な魔 となり、すべての腐朽 を徹底的に 破壊 してみせる。
「雲音奈 に伝えよ――三日 だけ待つ。三日後 に答え を出せ。
もう 待てない 」
遠く で純凰 はなお 苦しみ の中 にある。
愛する女 を失望させる わけにはいかない。
すでに 血に染まった のなら、もう少し 染めても 変わらない――
十八層地獄 も十七層 も大差 はない だろう。
城 に戻る と、風間ひら に一言 だけ言い、別院 へと戻った。
風間ひら の聡明さ ならどうすべきか 分かっている はずだ。
しかし別棟 に足を踏み入れる と間もなく、花月 の部下 の親信 が慌てて 駆け寄ってきた。
「内閣様 が行動 を開始 しました! 今 兵力 を集結 し、女皇の内殿 に強攻 しています! 」
言葉 も惜しんで、俺の目 は殺気 で燃え上がった。
これらの 憎らしい女 は――「死」 の書き方 も知らない のか?
全身 を震わせる 女兵 が呆然 とする 間もなく、俺の姿 は消えていた。
「落将軍――外営 から兵力 を呼び寄せて 包囲 しましょうか? 」
しばらく して女兵 が我に返り、狼将軍 がすでに 支援 に向かった ことを 知り、同じく 呆然 とする落雲 に尋ねた。
「不必要 だ。近衛 だけで 十分 だ 」
落雲 は女兵の驚き に構わず、二百の黄金鎧近衛 に俺の後 を追わせた。
ただ一人 の女兵 が呆然 と立ち尽くし、口の中で 呟いた。
「内閣様 は七八千人 もいる のに…… 」
内宮 は大混乱 に陥って いた。
花月 がどうやった のか、内宮の外層 は堅固に 包囲 していた が、内閣の封鎖線 を突破できず にいた。
皇宫内部 は元々 狭い門 が多く、彼女たち は弓兵 を配置 するだけで 守れた。
その内側 の精鋭 はすでに 黄金鎧近衛 を強攻 していた――
彼女たち の計画 では、女皇 を制圧 すれば、「天子を奉じて諸侯を令す」 ことができる。
「花月――今 はどうなって いる?** 」
俺 が姿 を現す と、花月 の前 にいた。
彼女 が鋭い剣 を振り、黄金鎧近衛兵 を指揮 して包囲 している のを見て、状況 が良くない ことが 分かった。
「旦那! 旦那!
女皇 と柔伊 は中 にいる のよ! すごく 心配 だよ! 」
涙 が苦しみ の中 で溢れ、彼女 は背後 の大勢の黄金鎧近衛兵 に向かって 叫んだ。
「突入しろ! 早く 突入しろ! 」
すでに 多くの 犠牲 を出して いたが、彼女の強令 の下、誰も 躊躇 できず、全員 が矢の的に なっても 突入 した。
俺の心 は痛んだ――「自分の女を守る」 と言った のに、今 彼女たち を危機 にさらして いる。
その怒り はさらに 募った。青浮 は並肩王 よりも 許しがたい。
花月 にうなずいて 慰め ると、身体 は火花 を散らして 一気に その院門 に飛び込んだ。
手 が触れる ごとに血の雨 と悲鳴 が上がる。
花月たち が突破できるか どうかを気にする 暇はなかった。
道すがら、殺した数 も覚えていない――
可憐な 白い首 をいくつ ねじ切った かも 分からない。
本当に 狼の性質 を爆発 させていた。
内宮 の奥、女皇と公主の寝宮 はすでに 包囲 されていた。
道中 には 多くの 黄金鎧近衛兵 の遺体 が散らばり、すべて 乱れ矢 で倒れて いた。
怒った声 に従い、全身の力 を運び、空間移動 のように 一瞬 で到着 した。
公主 は女皇 の腕 に抱かれ、そば には 素早春香 が佇み、その顔 は穏やか で静か だった――
目前 の暴徒たち を完全に 無視 していた。
七十か八十 の黄金鎧近衛兵 がなお 固く 彼女たち の前 を守り、
汗 を流し、傷だらけ でも、誰一人 後退 しなかった。
最も 目立つ のは 最前列 の風間蘭向き だ。
浅い藍色の甲衣 は真っ赤 に染まり、手 の利剣 も返り血 でベタベタ だ。
透き通った瞳 は鋭い光 を放ち、彼女たち を包囲する兵士たち を冷たく 睨みつけて いた。
「内閣様―― 朕 はこれまで お前 を信頼 してきた。
それなのに お前 は悪に 加担 するとは!
雲国の万民 にどう 顔向け するつもり だ? 先皇の 託宣 にどう 応える つもりだ? 」
女皇 は青浮 に関する 様々な噂 を聞いて いたが、証拠 が見つからず、
先皇 に託された 重臣 として、ずっと 敬って きた。
「女皇陛下――お前は あまりに 仁慈 すぎる。
雲国帝国 はここ数年、野性を失った 病気の猫 だ。
あなた に任せて いたら、雲国 の滅亡 も時間 の問題 だ。
ならば 私 が手を貸して やろう――あなた も少しは 楽 になる はずだ 」
青浮 の顔 には もはや 一片の敬意もなかった。
そば の荷蓮 は腰の刀の柄 に手 を当て、黄金鎧近衛兵 の奇襲 に備えて 全力 で彼女 を護って いた。




