第28章 優物の密偵
「誰がそんなことを 言った? あの人たちは 目が節穴 だ。
お姉さんは 可憐で 風情がある。朝の露のよう で灼熱の輝き を放っている。
日は 既に 中天 にある が、その逆光 はむしろ 一層 心を 魅了する。
もし お姉さんを 得ることができたら、戦狼 は決して 後悔しない 」
情話 はもちろん 聞き心地の良い ものを 選ぶ。
それに 風間蘭向き は確かに 美艶 で極まり、熟した桃 のよう だ。
こんな 風韻ある若妻 が処女 だというのなら、その甘美 はどれほどの ものか――
想像する だけでも 待ちきれない。
風間蘭向き はまさに 情花の処女 のよう に未経験 で、俺の甘い言葉 に心魂を 奪われた。
一抹の 春の動揺 がすぐに 俺 に感じ取られた。
ああ、この異世界の女 はあまりに 騙されやすい のでは?
こんなに 成熟した 艶婦 でさえ 数言の言葉 で感動する とは――実に 嘆かわしい。
実は 風間蘭向き を選んだ のにも 考え があった。
彼女の成熟した艶色 に抗えない 誘惑を 感じた ことと、
風間ひら が彼女の言うこと を何でも 聞く ことだ。
先に 老いたる者 を手に入れれば、若い者 は自ずと やってくる――
風間蘭向き を見た瞬間 から、俺 はその 渇望 を抱いて いた。
風間蘭向き が感動 している 間も、俺の心 は無恥に 勝利の歓呼 を上げて いた。
「戦狼……! 」
風間蘭向き は初めて 最も 素晴らしい情話 を聞き、涙 が浮かんだ。
彼女の 現在の修為 でも これほどの 感動 を覚える のは、その心 がどれほど 澎湃 しているか を示している。
こういうこと には 慣れていた。
花月 がまだ そこ に座って いるのに 構わず、俺 はその 清らかな 可憐な身体 を抱き上げた。
「風蘭――信じてくれ。 俺の言葉 はすべて 真実 だ。
お前は この世の どんな男 にも 愛される 価値 がある。
ただ 幸福 が俺 に降り注ぎ、天 に恵まれた だけだ 」
「ねえ、ねえ――気持ち悪くない? 私 がここに いるん だけど 」
花月 はもう 我慢できなかった。
心の中 では 風間ひら に警戒 していた のに、まさか 風間蘭向き が増える とは。
これ は何 だ――叔母** が姪 の代わり をする とは、実に 荒唐無稽 だ。
風間蘭向き は羞恥 で可憐な顔 を俺の胸 に押し込めた。
彼女 はこんなに 幸せ を感じたこと はなく、こんなに 恥ずかしい 思いを したことも なかった。
もし 幸福 を得る のにこの 羞恥のからかい を耐えねばならない のなら、彼女 はそう するだろう――後悔 はしない。
「月月――おいで。お姉さんって 呼んでみろ 」
花月 をそば に呼び寄せ たが、彼女 は嬌声 で反対 した。
「旦那――不公平だよ! 私 が先に 入った んだから、先に入った者が 姉 だよ!
彼女 が私 を『お姉さん』 って呼ぶ べきだ !」
「月月は 可憐で 若々しい。風蘭に 『お姉さん』 なんて呼ばれたら、老けて 見えるだろ? 」
俺 はわざと 間を置いた。
女 は生まれつき 美を愛する。こんな 損なこと は彼女 はきっと しない。
「蘭お姉さん…… 」
俺 が続ける よりも 早く、花月 は口を開いた。
どうやら 彼女も 老けて見られる のは 嫌 だったようだ。
「月妹――ありがとう 」
女権 は消え、心 には 無限の愛 が絡み合う だけだった。
風間蘭向き はよく 分からなかった――なぜ 自分 がこんなに 情網 に墜ち、抜け出せなく なり、自ら この男の女 になる のか。
祖訓 なのか、それとも 春心 が本当に 動いた のか――正しい答え は見つからなかった。
「将軍に 申し上げます――風間将軍 は準備が 整い、出発 できます 」
衛隊の隊長 が厅の門口 に現れ、朗らかに 報告 した。
「蘭向き――俺は お前を 想っている。
帝都の危機 が去ったら、必ず お前を 本当の 俺の女 にする。幸せに してみせる 」
情愛 は時に 突然 やってくる――今、腕の中の 美艶な若妻 のように。
俺 は思わなかった――こんなに 偶然に 得られる とは。あるいは これも 縁 なのかもしれない。
「夫君が 再び 来られる その日、蘭向き は枕を 掃いて お待ち しております 」
深い 凝視、名残惜しい 別れ――
しかし花月 は腹を立てて 息を切らし、三日間 も「浮気者」 と呼び続け、触らせ てもくれなかった。
この小娘 は案外 気性が 荒い ようだ。
風間家 を出ると、風間ひら は確かに 馬 に乗って ついてきた。
おそらく 風間蘭向き が彼女に 言い聞かせた のだろう。
顔 は怒り で満ちていた が、俺の言葉 に逆らう ことは できなかった。
風間蘭向き を選んだ のが正解 だったようだ。
翌日、雲音奈 の軍 が柔城 の目前 に迫った。
使者 を遣わし、宮中 に入って 女皇 に拝謁 しようとした が、女皇 は激しく 罵倒 した。
「雲音に 伝えよ――朕 は彼女に 屈服 はしない。これが 祖訓 だ。
彼女 には 永遠に 女皇の 運命 はない。
もし 彼女 がどうしても 強行 するなら、戦場 で決着 をつけよう 」
言葉 は強気 だが、プレッシャー は俺 が背負った。
使者 が去った その午後、五万の前路大軍 がすでに 塹壕を掘り、陣を 張り始めた。
いつ でも攻城 が始まりそう な気配 だ。
柔城 は混乱 に陥り、各級の文官 はすでに 地方 へ下された。
冷たく していた花月 がようやく 戻ってきた が、悪い知らせ も持ってきた。
軍部 では 風間ひら が全力 で指揮 し、風間蘭向き の言いつけ で彼女 は俺 に牛馬 のように 使われる ことに なった。
もちろん 将来 は小妾 になる のも 確実 だ――俺 は心の中で YY していた。
内城 の監視 は花月 の手中 にある 内城禁衛 が担っていた。
今日、花月 は内閣御使 の動向 について 報告 してきた。
「荷蓮 はここ数日 自分の権力 を拡大 しようと 尽力 し、私の 重要な部将 となかなか 親しい 関係を 築いている。
一方 青浮 は一度も 自宅 を出ていない が、毎日 新しい顔 が出入り している。
六人 を秘密裏に 捕らえた が、一人だけ が自白 した――彼女 は確かに 雲音奈 の送った 間者 だが、情報 はほとんど 知らず、ただ 手紙を 運んで いるだけ だ 」
得られた 情報は 少なく、確固たる証拠 もない。
しかし現代人 として、俺の敏感な心 は花月たち の比 ではない。
すぐに 言った。
「花月――荷蓮 の件 はお前 に任せる。お前たちは 敵同士 だろう?
青浮 について は、厳重に 監視 するだけでいい。
もし 越境行為 があれば、先に 斬って 後で 報告 せよ 」
戦時下 では、それ もやむを得ない。
花月 は事の 軽重 を分かっていた。
ここ数日 風間蘭向き を収めた ことで 不機嫌 だったが、俺の命令 には うなずいた。
しかし 俺 が彼女の手 を取ろう とすると、彼女 は身をかわし、一瞥 をくれ、ぶつぶつ と言いながら 去っていった。
どうやら まだ 怒り は収まっていない ようだ。
城下 の兵力 はますます 増え、戦乱 がいつ 起きても おかしくない と心配 し、
柔伊 と素早春香 には 前線の陣営 に来るな と命じた。
もう 三日 女に 触れていない。
花月 は軟硬 どちらも 通じず、体内に 溜まった欲望 が俺 を苛立たせて いた。
「狼将軍――使者 がお会い したいと 」
風間ひら が軍営 に戻り、落雲 は俺の近衛長 になった。
彼女 は俺 と風間ひら の間 の情報伝達 と、俺の日常生活 の世話 を担当 している。
前世 も生活音痴 だったが、今 はさらに 彼女 を忙しく させている――二万の大軍 を統率する よりも 大変 だ。
「使者? 」
俺 は一瞬 呆けた。
今 は戦闘開始 の直前 だ。どこから 使者 が来る のか。
しばらく 考え、言った。
「よし――通せ 」
また も女 だ。くそっ、この世界 には 男 はいない のか?
こういう 説客 の仕事 でさえ 女 が出る とは。
しかし言うまでもなく、この女 は実に 風情 がある。
媚態 は抑えられている が、歩く姿 は優雅 で、その 秀麗な顔 は雪のように白く、柔らかな肢体 はしなやか だ。
冷たさ の中 にも 明らかな個性 がある その微笑み が、人 に好感 を抱かせる。
「紫根、狼将軍に 拝謁 いたします 」
落ち着いて 一礼 し、紫根 は続けた。
「並肩王 が狼将軍 に贈り物 を…… 」
その言葉 を聞いて、俺 は分かった――くそっ、買収 に来た のか。
紫根 の顔 に突然 誘惑の笑み が浮かび、周囲 を見回した。
その意味 は明らか だ――贈り物 は一人だけ に見せる ものだ。
もちろん 分かっている し、この小女 が何を 企んでいる のか気になった。
落雲 に手を振り、言った。
「下がっていろ。門口で 待機 し、誰も 入れるな 」
「狼将軍……それ は…… 」
こんな時 に敵方の使者 を接見 するのは、誤解 を招きやすい。
まして 二人きり となれば、なおさら だ。
俺 は思わなかった――この落雲 はすでに 自分の幸せと運命 をこのスケベ な俺 に託して いたとは。
彼女 はこの 重要な時に 間違い を犯さないか と心配 したが、俺の視線 に耐えられず、うつむいて 承諾 した。
「はい…… 」
この女 は決して 若くはない が、人生で 最も 素晴らしい 年頃 だ。
風間ひら よりも 成熟 し、風間蘭向き よりも 若々しさ がある。
正直なところ、「美人計」 が多い と聞く が、この優物 を見て、彼女が 服を脱いで 誘惑 してくれないか と期待 した。
もし そうなれば、彼女と しっかり 「コミュニケーション」 を取れる のだが。
「紫根美人――さあ 言ってみろ 」
俺 は元々 狼将軍 だ。男が スケベでない のは 発育 が正常でない ことを 意味する。
イメージ がそう なのなら、装う 必要はない。
淫らな目 で眼前の女 を食い尽くしたい と思った が、彼女が 過ち を犯さない 限り、ただ 見つめる だけだ。
紫根 は確かに 俺 に近づき、胸元 から一つの 契約書 を取り出し、優雅に 差し出した。
「狼将軍 は今 柔城の 陸軍総帥 です。
並肩王 に協力 していただければ、この契約書 が約束 です――
将軍 は今 の二倍 のものを 得ることが できます 」
俺 は雲音奈 の大印 が押された 委任状 を広げた。
そこ には 様々な 特典 が列挙 されていた。
もちろん それら は並肩王 が女皇 になって から初めて 与えられる ものだ。
しかし誰も 知らない――宮中 には 俺の 最も愛する女 がいる ことを。
柔伊姫君 の深い愛情、素早春香 の無限の期待、そして 冷たい 雲ここ でさえ 保護したく なる。
抵抗 を放棄する ことなど できなかった。
「これらに 興味は ない 」
紫根 も思わなかった――俺 が権力 にも 動じない とは。
彼女 には 分かるはずが なかった――俺 がこの世界 の男 ではない ことを。
高い官位 には 興味が ない。
豊豊ちゃり大陸 は女性が男性より優位 だ。
もし 彼女たち の中 の誰か がこの契約書 を見たら、すぐに 心を動かされた だろうが、俺 は違った。
俺 がその契約書 を無造作に 机の端 に置く のを見て、
紫根 は初めて 目の前の男 を凝視 した。
これ に含まれるもの は、高官の女たち でさえ 渇望する ものだ。
彼 はただの 卑しい男 に過ぎない のに、この誘惑 を拒絶できる のか?
「将軍――ならば 私 を加えれば どうですか? 」
声 が変わった――情趣 があり、悩殺 する囁き があった。
白い手 が上がり、頬の 黒い髪 を支え、そっと 弄る。
夢語 は鶯 のよう で、魂を 奪う。
彼女 が近づく ほど、揺れ動く春の波 が静かに さざ波 を立てた。
果然 優物 だ。
男を誘惑する この甘えた姿 は、万人の女性の 手本 だ。
その艶やかさ に心を奪われた 瞬間、彼女の声 が再び 響いた。
「将軍――紫根は 美しいですか?
私の目 を見てください…… 」
彼女の瞳は水のように――いや、霧のようだ。
神秘的で力強い魅力を放つ。




