第13章 花月、情に弄ばれる
夜風は音もなく、春の気配は融融と満ちていた。
俺 はまるで 春の花咲く百花の叢 にいるかのよう だった。
その甘いな感覚 がずっと 消えず、俺 は目を開けたくなかった。
ただその心地よさ が心肺に染み渡り、身体の中 を自由に泳ぎ回る のを感じていた。
「ねえ、怠け者。もう朝だよ。まだ起きないの? 」
耳元 で響く 低く甘やかな声――それは 天の調べ のよう で、思わず 陶然としてしまう。
声は甘美だったが、それでも 俺 は驚いた。
その時 俺 は自分が 将軍府 にいるのではない ことを思い出した。
目を開けると、小姫君・柔伊 の透き通った美しい瞳 が、
今 何とも言えぬ 深い情 をきらめかせ、
さらに どこか 俺 を不安にさせる 依恋と可憐さ を帯びて、俺 を見つめていた。
「おお、柔伊――もう起きたのか? 」
俺 は確かに 柔伊のベッドのそば で見守っていた はずだ。
どうして いつの間にか 眠ってしまった のか?
しかも ベッドの上 に横たわり、今 はこの小美人 と同じベッドで寝るし、親しく抱き合っている。
「もう……! 私はずっと前に起きてたんだからね。
あなたが ぐっすり眠ってる から、起こすのが 悪いかな って思ってたの。でもね――
あなたったら、寝てる時も おとなしくないんだから。
その手が あちこち 触ってきて、しかも どんどん ひどくなってったんだから…… 」
柔伊 の小さな口 はつんと上を向き、もはや 家路を見失いそう だった。
俺 は聞いて 冷や汗 が出た。
しまった――夢の中 でこの小娘 を純凰の嫁 と間違えた のだろう。
なるほど、感触が違う と思った。いくつか 小さすぎる ところがあった。
俺 の顔 が羞恥で赤くなる のを見て、
しかし スケベな目 が彼女の体 をじろじろ見ている のを察して、
柔伊 という小娘 は何か 気づいた ようだ。
彼女は 胸を張り、嬌声で叱った。
「何見てるの! 変なとこ見ちゃダメ!
私のスタイルが 叔母 より悪いって言いたいの?
ふん、もう二度と 叔母のこと 考えちゃダメだからね!
わ・か・っ・た! 」
――くそっ、今になって また 嫁タイプ だと分かった。
「私を そんな風に 見下さないでよ!
私はまだ 子供なんだから!
安心して。あなたが私の男になってくれたら、
私は 必死に 大きく なるから!
絶対に がっかりさせないよ! 」
俺 が仕方なく うなだれる のを見て、
この小娘 は純凰のことを考えられなくなって 嘆いている と思い込んだ。
だが 俺 のため息 は、こんなに美しく可憐な身体 の中にも 凶暴な悪魔の本質 が潜んでいる ことに気づいた からだ。
「ああ、そうなのか?
でも今は 確かに 純凰より 小さいし、スタイルも 確かに 純凰ほどよくない 」
これは真実 だ。
この 小賢しい小娘 がどう 張り合ってくるか、見てみたかった。
「じゃあ……じゃあ、ちょっとだけ待っててくれればいいんだよ!
教えてあげるけどね、去年に比べたら ずいぶん 大きくなったんだから!
本当だよ! 信じないなら 脱いで見せてあげる! 」
小姫君 はもちろん、今の自分のスタイル が成熟した叔母 に敵わない ことは分かっていた。
だが彼女も 成長している。
叔母に 負けるわけにはいかない と信じていた。
そしてこの男にも 自分の成長 を見届けてもらいたい と思った。
この小娘 が本当に 自分の服のボタン を外し、
女の 最も誘惑的な風景 を晒そう としている のを見て、
心の中 では強い渇望 があった が、それでも 俺 は彼女の玉手 を引き下ろした。
頼む――今 彼女の弱い身体 を傷つけたくない。
これほど 絶美で可憐な 彼女の姿 は、俺 にとってすでに誘惑 だ。
本当に 鼻血を噴いて死ね と言うのか?
「えへへ――じゃあ、私のこと信じてくれる? 」
俺 が緊張する のを見て、小姫君 はからかうような笑み を浮かべた。
彼女は思わなかった――この いつも悪い男 が、自分の身体 を見る勇気がない とは。
その上、顔を真っ赤にして こらえている 様子が、彼女には たまらなく愛おしかった。
「信じる! 絶対に信じる!
百パーセント どころか 万パーセント 信じてる! 」
俺 は崩れそうな鼻 を押さえながら、大声で叫んだ。
この小さな小娘 が偉大なる戦狼 の俺 をここまで 弄ぶ とは――
言いふらせば 本当に 恥ずかしい。
俺 がそうすればするほど、小姫君・柔伊 はますます ヒートアップした。
「本当? 別に無理強いしてるわけじゃないよ?
信じないなら 本当に 見せてあげるけど?
ねえ、どうする? 」
あの小娘 のますます たまらない 表情 と艶やかな誘惑 を見て、
俺 はもう 我慢できなかった。
「いい! いい! ここは空気が悪い。ちょっと散歩してくる! 」
もう あの小娘 を一目見る勇気もなく、振り返らずに 逃げ出した。
股間の硬いもの はもう 膨れ上がり、欲望 が全身 に満ちていた。
すべて この クソ小娘 のせい だ。
いつか 必ず お前を裸にして、どっちが強いか 思い知らせてやる。
背後 からは柔伊の 最も美しい笑い声 が聞こえた。
彼女はついに この男を攻略する方法 を見つけたのだ。
彼女は信じた――早く大人になれば、この男は 自分だけのものになる と。
この クソ小娘 のせい で、俺 は全身 たまらなくなった。
ああ、もし今 嫁 がそばにいたらなあ――
彼女と情熱的に絡み合い、身体の火照りの苦しみ を癒せるのに。
不幸は重なるものだ。
俺 の高速の逃走 が、新たなトラブル を生んだ。
小娘 はもう大丈夫 そうだった。
だから早く戻ろう と思った。
それに心の中の欲望 も耐え難かった。
曲がりくねった林園の石道――何度も曲がり、
俺 は風のように ある門坊 に飛び込んだ。
そして思いがけず 誰かに 激しくぶつかった。
さらに そのまま 彼女を地面に 押し倒してしまった。
もっと悪いことに、よりによって 彼女の上に覆いかぶさり、
股間の熱いもの が彼女の柔らかな 秘所 に当たっていた。
一瞬、空気 が凍りついた。
「あなた……! 」
「お前……! 」
俺 と相手 は同時に 叫んだ。
「俺たち 本当に 縁があるな? そう思わないか? 」
俺 は花月の 艶やかな身体 をきつく押さえ、
スケベな目 で彼女の 深い 切なさを帯びた 瞳 をじっと見つめた。
俺 は知っていた――背後 に一隊の女護衛 がおり、
槍や鉄矛 を手に 緊張して 俺 を指している ことを。
だが都統 が命令を出さない のを見て、彼女たちも 動けなかった。
都統 があの男の下 にいる。
もし都統に 不利益があれば、彼女たちは 死罪 だ。
「離してくれないか……? 」
ほとんど抵抗はなく、彼女は俺 と目を合わせず、
そっと顔をそらし、軽く そう言った。
彼女の心 は再び ときめいていた。
護衛たちが 見ている と分かっていながら、
彼女は この親密さが 少しでも長く続く ように願っていた。
なぜならこの男 はもう 自分のものにはならない と知っていた からだ。
夢の中の幻景 はもう 現実にはなりえない。
「たった二日 会わなかっただけで、そんなに 薄情になるのか?
俺たち キスした仲 じゃなかったか?今日 こんなに縁があるんだ、情縁を 続けてもいいだろ? 」
驚く花月 が反応する間もなく、
俺 はその 紅く やや青白い 香り良いの唇 に覆いかぶさった。
なぜか――花月 は自分が 憎かった。
考え、思い、決意した――この男を もう想わない、この男に 惑わされない と。
しかし今、彼女は また 惑わされていた。いや――酔っていた。
彼女はこの男の 求愛 に応じていた。
白い手は静かに 握っていた利剣 を置き、
情動的に 俺 の首 を抱きしめ、
甘い唇 を俺 の口元 に押し付けた。
周囲で 臨戦態勢をとる 女性護衛たち は気まずそうな表情 を浮かべ、
静かに武器を置き、俺 と花月 が抱き合う姿 を取り囲む ようにした――もう 見なかったことに。
俺 はさらに 自分を解放した。
さっき、あの小娘 に欲望で 焼かれそうになった。
今、それを 十分に 取り戻せる。
柔らかいい香りの舌 は俺 に好き放題に 侵され、
花月 は俺 の求愛 に抗えず、ただ 身体を だらりと 預け、俺 のなすがまま になっていた。
豊かにそびえる胸 の柔らかな弾力 が、
俺 の無限の欲望と勇気 をかき立てた。
俺 の手 は二人の密着した隙間 を潜り抜け、
この動人な 都統 の傲然たる秘所 を覆い、力強く揉みしだいた。
彼女は 小姫君ではない――最も成熟した、最も誘惑的な 摘むべき花 だ。
俺 は遠慮しなかった。
「ん……ふ…… 」
耐え難い春の呻き が、花月の 迷いかけた表情 から漏れた。
小さな口 は既に 俺 に塞がれ、ただ 濃い鼻息 だけが響く。
嬌態 は満ち、彼女の 最も艶やかな姿 を余すところなく 俺 の前に晒し、俺 の愛撫 を受け入れていた。
ぎゅっと囲む女性護衛たち はもちろん その音 が何か を知っていた。
だが誰一人として 振り返らなかった。
花月都統 の厳しさ は彼女たちが よく知っている。
彼女の 邪魔をした者 が良い目に遭うはずがない。
まして 彼女たちは 彼女の親兵 だ。
俺 が小姫君に選ばれた男 だと知りながら、誰も 止めようとはしなかった。
花月 が情愛の歓びに 没頭する のを許して。
雪のように白い肌 が解けたボタン の隙間 から漏れ、
骨の髄まで溶ける 刺激 を放っていた。
俺 は本当に 思わなかった――
この 愛が不足した世界 の女たち の身体 は、まるで 汚れを知らぬ清らかな山川 のよう に美しい と。
花月 は今 まさにそう だった。
狂情の愛撫 に無意識に 震える 身体の曲線 は、優美で 言葉にできない。
「お前は 本当に美しい 」
俺 は彼女の 感動の的で 滴りそうな 櫻の唇 を解放した が、
手 は戻さず、なおも 高峰の雪頂 に留まり、その柔らかさ を味わった。
服を脱がさなくとも、確信できた――花月の胸の風景 もまた 巨大なもの だと。
花月 は俺 の激情 に対し、ただ いくぶんかの羞恥 を感じた だけで、
今 両手を上げて 俺 の顔 を撫で、
細やかに、情動的に 見つめながら、口元 が震え始めた。
俺 は不思議に思った――
この小女 はどうした のだ?
俺 が彼女の おいしいところ を 占領 しても平気 なのに、
俺 を見つめて 涙を流す とは。
まさか、俺 がひどすぎる というのか?
「花月――すまない。悪かった。
我慢できなかったんだ。お前に会うと どうしてもキスしたくなる。
本当だ。俺は 最低だ。一度 キスしただけじゃ足りなくて、二度目 を…… 」
この美人 が耐え難そうに 涙をこぼしそう なのを見て、
俺 はどうしても 見過ごせなかった。
すぐに 彼女を地面から 起こした。
女は 喜ばせるべき だ。
どうして 俺 が彼女たちを 悲しませる ことができよう?
その時、俺 は後悔していた――自分が 衝動的すぎた と。
だが誰が この小娘 がこんなに 耐え難い のが悪い のか?
一度目 は事故 だ。しかし二度目 は、俺 の心 が彼女を好きだった からだ。
身体の熱 も理由の一つ だ。
だがもしこの女 が花月でなかったら、俺 はキスしなかっただろう。
香しい柔らかな手 が俺 の口 を塞ぎ、
俺 に言わせなかった。
この 普段は護衛たちの前で 恐ろしいほど 厳しい 柔城都統 が、
今は 痛々しいほど 可憐 だった。
「いいの……あなたを 責めてるわけじゃない。
本当に……ただ、 縁があって 結ばれなかっただけ。
なぜ もっと早く あなたに出会えなかったの? 」
――おいおい、もっと早く出会いたい って、俺 の死を 早めてほしい というのか?
俺 は一度 死んだ身 だ。もう ごめんだ。
「いや―― 俺たちの出会いは 遅くない。
出会ったこと が縁 なんだ。
俺は お前が好きだ、花月。本当に 」
俺 はこの小女 を好きだった。
それは心の 無言の共鳴 だった。
俺 は制御できず、拒絶もできなかった。
その時、俺 は初めて知った――人を好きになる ことがこんなに 簡単 だと。
「あ、あなた……何て言ったの? 」
花月 は全身を震わせ、一瞬で 表情 が輝き、
沈んでいた顔 もいくぶん 生気 を取り戻した。
どうやら 俺 の言葉 に驚き、戸惑った ようだ。
その様子 を見て、俺 は思い出した――
ここの女たち はこんな 甘い言葉 を聞いたことがない のだ。
初めて聞いた純凰 も同じ だった。
花月 も今、同じように 感動している。
「花月 」
俺 は彼女の小さな手 を握り、満腔の深情 を込めて、
目 に溢れる濃い愛 をたたえて 言った。
「俺はお前を好きだ。本当に好きだ 」
その言葉 を発した瞬間、庭全体 が静まり返った。
花月 も呆けていた。
だが 俺 には彼女の 美しい瞳 が涙で 曇っている のが分かった。
それが 興奮なのか 怒りなのか は判断できなかった。
しかしすぐに、花月 という成熟した女 は柔伊のように、一躍して 俺 にきつく抱きついた。
「わああっ……! 」
彼女は興奮の嬌声 を上げた。
今、俺 は知った――彼女は喜んでいる、感動している と。
そしてこの女 がこの一生、俺 の柔情の網 から逃れられない ことも。
彼女が どんなに 辛辣でも、俺 の前 ではいつか 優しい女 になる と。
俺 と花月 はこの情熱の波 に酔いしれ、
心が通い合う 霊妙な美 を味わっていた。
だが――その光景のすべて を、ある目 が捉えていた。
その口 から不満げな 嘲笑 が漏れた。
「花月――あれこれ 計算したが、まさか お前が 情関を 超えられない とはな。はは……
しかも 小姫君の男 だと。
こんなことなら、今日まで 待つ必要もなかった。
今回 お前は 確実に死んだな 」
その 凶悪な 面差し には一片の美しさもなく、
その美しい顔 をまるで 邪悪な魔女 のように 歪め、人を 震え上がらせた




