ポイント交換
「マジかよ……!」
恒一は歯を食いしばると、すぐに視界のホログラムへ目を向けた。
(A.R.G.O.S、何か方法はないのか)
青白いウィンドウが静かに展開する。
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【回答】
対象の回復には医療行為、
または回復系スキルが必要です。
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「なら、そのスキルを取る」
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【回復支援 Lv.1】
必要ポイント:1000Pt
現在ポイント:400Pt
取得できません。
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「足りないのかよ……!」
一瞬だけ沈黙が流れるが、すぐに新たなウィンドウが開いた。
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【提案】
ポイント交換機能をご利用ください。
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その下へ項目が並ぶ。
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【ポイント交換】
武器・装備
食料品
衣類・寝具
移動用品
素材
生活用品
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・
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(アイテムまで交換できるのか)
彼は迷わず【食料品】を選択する。
一覧が表示された。
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【食料品】
水………………5Pt
塩……………10Pt
米……………20Pt
干し肉………30Pt
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スポーツドリンク……500Pt
経口補水液…………1000Pt
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下にスクロールすると、目当ての飲料水があった。
「経口補水液、高っ……」
思わず声が漏れる。
今の所持ポイントでは到底足りない。
選べるのは一つだけ。
「スポーツドリンクを購入」
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【交換決定】
500Ptを消費します。
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青白い光が集まり、恒一の手の中へ一本の透明な容器が現れた。
巴と褐色の女性が目を丸くする。
「な……なんだ、その器は」
見たことのない液体の入った何かを巴はまじまじと観察している。
「薬みたいなものです。後で説明します」
恒一はキャップをひねる。
小さく「カチッ」と音が鳴った。
二人はさらに息を呑む。
恒一は綾姫の頭をそっと抱き起こす。
「姫様」
「少しだけ飲んでください」
意識が朦朧とする綾姫は、小さく口を開けた。
恒一はゆっくりと唇へ容器を近づける。
透明な液体が喉を潤すたび、綾姫の喉が小さく動いた。
「よし……」
容器を置くと、再びA.R.G.O.S.を呼ぶ。
(着替えと寝具は)
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【推奨】
衣類・寝具
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一番ポイントの安い物を選択した。
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【簡易寝具】
麻布団…………50Pt
麻枕…………10Pt
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【簡易衣類】
麻小袖…………20Pt
帯………………5Pt
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恒一は必要最低限のものだけを選択した。
粗末ではあるが、清潔な麻の小袖と布団。
今の綾姫には、それだけで十分だった。
光と共に床面に寝具と衣類が現れる。
その光景に巴と褐色の娘は後退った。
(早く熱を逃さないと……!)
恒一は綾姫の帯へ手を伸ばす。
帯をほどき始めた、その時だった。
「…………」
恒一の手が止まる。
(……いや)
振り返る。
「巴さん」
異常な光景を目の当たりにしたばかりだからか、彼女は警戒しながら答えた。
「は、はい」
「姫様の着替えをお願いします」
巴は一瞬驚いたような顔をしたが、静かに頷く。
「承知した」
恒一は背を向け、寺の外へ出た。
するとしばらくして声が掛かる。
「終わりました」
恒一は新しい麻小袖へ着替えた綾姫を布団へ寝かせる。
頬は赤く、苦しそうな呼吸が続いていた。
恒一は脱いだ麻小袖を手に取り、団扇代わりにして静かに風を送る。
少しでも身体へ熱がこもらないように。
やがて額へ手を当て、続いて手首へ指を添える。
脈はまだ速い。
その時だった。
綾姫の細い指が、恒一の手をそっと握る。
「……っ」
恒一は少し驚いたが、そのまま静かに見守った。
綾姫は目を閉じたまま、小さく呟く。
「……父上……母上……」
その声は、幼い子どもが親を呼ぶように弱々しかった。
恒一は何も言わない。
ただ静かに、その手を握らせたままにした。
数十秒が過ぎた頃。
恒一は巴へ視線を向ける。
「代わってください」
巴は静かに恒一の位置へ座る。
綾姫の手は、今度は巴の手をぎゅっと握った。
恒一は立ち上がる。
「この近くに川か湧き水があるか見てきます」
「すぐ戻ります」
そう言い残し、恒一は夕暮れの山寺を後にした。




