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ボスに遭遇しました

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 【クエスト更新】

  ボスに遭遇しました。

  ボス:???

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 倉木は眉ひとつ動かさなかった。

「……なんだ、お前は」


 黒と緑の斑ら柄の装束。

 手に持つ黒い鉄の塊。

 その黒い鉄を両手で突き出す独特な構え。


 倉木は口元を歪めて笑った。

「一人で乗り込んできたのか。命知らず――」


「武器を捨てろ」

 恒一は感情を押し殺した声で繰り返す。

「最後の警告だ」


 倉木は鼻で笑う。

「面白ぇ」


 握った刀をゆっくり持ち上げる。


「その塊で俺を――」


 乾いた破裂音が、部屋を裂いた。


 パンッ!


 倉木の右手から刀が弾き飛ばされ、畳の上を激しく滑って柱へぶつかった。


「ぐっ……!」

 右手を押さえ、倉木が思わず膝を折る。

 掌から鮮血が滴り落ちた。


「な……何だ……!」

 目を見開く倉木。


 何が起きたのか理解できない。


 倉木だけではない。

 姫も、女剣士も、褐色の娘も息を呑んだ。


(……今のは)

 姫は恒一から視線を離せなかった。


 弓でもない。

 投石でもない。

 剣でも槍でもない。

 それなのに、一瞬で刀が弾き飛ばされた。


(この人は……)


 味方なのか。敵なのか。それすらも分からない。


 だが、倉木を止めた。その事実だけが胸に残った。


 女剣士もまた、目を細める。

(速い……)

 剣を抜く動作すら見えなかった。

 彼女も幾人もの武芸者を見てきた。


 しかし、こんな攻撃は知らない。


(少なくとも、今はあいつの敵ではない)

 その一点だけは確信できた。


 倉木は荒い息を吐きながら、許しを乞うように言った。

「わ、悪かった……冗談が過ぎたみてぇだ……」


 負傷した右手をだらりと垂らしながら、今にも泣きそうな顔を見せる。


「何をしたかはわからねぇが……もう……」

 倉木の震えた声は言い淀んだ。


「やめねえとなぁ!!」

 突然左手だけで姫へ飛びかかった。


 恒一の構えはそのままに、照準がわずかに下がった。


 そして引き金を絞る。


 パンッ!


 再び響く轟音。


 銃弾は倉木の左膝を正確に撃ち抜いた。


「があああぁぁっ!」


 勢いのまま身体が捻れる。


 倉木は右を向いていたため、貫通した弾丸は反対側の脚にも達し、さらに衝撃を与えた。


 両脚から力が抜け、巨体が畳へ崩れ落ちる。

 刀どころか、立ち上がることすらできない。


「ぐっ……くそっ……くそっ……!」


 悶え苦しみながらも畳に血が広がっていく。


 恒一は拳銃を構えたまま低い姿勢で一歩、また一歩と距離を詰める。


 拳銃は微動だにせず、銃口は終始、倉木の頭へ向けられていた。


「うつ伏せになって両手を頭の後ろに回せ」

 低い声。


 倉木は体をジタバタとさせて、立とうとしている。


「不必要に動くな。命令にだけ従え」


 倉木は歯を食いしばる。


「……その武器は……何だ」


「質問するな」

 恒一は間合いを詰め続ける。


「うつ伏せになって両手を頭の後ろへ」


 倉木は睨み返したまま動かない。


 恒一の声がさらに低くなる。

「うつ伏せになれ。両手を頭の後ろへ当てろ」

 冷え切った眼差し。

 そこには怒りも、興奮もなかった。


 任務を遂行する兵士だけが持つ、機械のような静けさだった。


 この時代では見ることのないタイプの人間に、姫は小さく息をのむ。


(この人……変な格好をしているけど、武人なの?)


 自分たちを助けるために現れた。それは間違いない。

 だが、その立ち居振る舞いは、この時代の武士とも忍とも違う。そこがどうしても信頼し切れなかった。


 そう感じていたのは女剣士も同じだった。


(こやつ……戦い慣れている)


 いや。

 慣れているという言葉では足りない。

 敵を制圧する一連の動作に、一切の迷いがなかった。


 褐色の娘はというと、言葉を発することなく、その男をただ見つめていた。

 彼女の震えていた肩が、ほんの少しだけ落ち着きを取り戻す。

 初めて、その瞳から恐怖以外の感情がのぞいた。


 指示に従おうとしない倉木に対し、恒一は倉木の指を思い切り踏みつけた。

「グギっ……」

 彼の中指は折れ、血が溢れた。


「うつ伏せだ」

 恒一の機械的な指示に、倉木は渋々従った。


「両手を頭の後ろに回せ」

 指示通り、両手を後頭部に回す倉木。折れた指から血が頭に垂れる。


 うつ伏せになったのを確認すると、恒一は“動くな”と言い続けながら、拳銃をホルスターにしまい、まず女剣士を縛る紐を解いた。


 恒一はその紐を手に取り、顎で姫や褐色の娘を指示し、彼女に対して解くよう促した。


 女剣士は理解したように数回頷くと、静かに姫たちの元へ歩み寄る。


 恒一は1人で“結べ”と言うと、続けて“動くなら次は頭を吹き飛ばすぞ”と言い放った。

 彼はそのまま紐で倉木の両手を後ろで縛ると、左の膝を彼の背中に置いて体重を乗せた。


 姫を解放して、褐色娘の紐を解き終えた女剣士。

 自由となった彼女達は、不審な男が賊の頭領を1人で制圧したことに目を丸くして驚いている。


 すると恒一は倉木の背中や胸、尻を触り始める。


「てめぇ! 何しやがる!」

 男色の気のない倉木は、突然のことに声を上げ、体を揺らした。


「動くな」


 さらに恒一は倉木の帯に手を入れまさぐっている。


 困惑した姫はつい声をかけてしまった。

「あ、あの……一体何をしているのですか……?」


 それでも止まらず、腰あたりを触り続ける恒一を見た姫は少し顔を隠した。

(あの御仁は、男色の気があるのね……でもこんなときに突然始めるだなんて……!)


 同じように女剣士も困惑していた。

(なぜとどめを刺さない? 何をし始めるのかと思えば男の体を弄るのが趣味とは……)


 褐色の娘は、ただポカンとその様子を見ていた。


 すると恒一は、彼女達と別方向に何か短い棒状の物を投げた。

 カランカランと音を立てて落ちたのは、鞘に入った短刀だった。


(武器を探していたわけか)

 一応は理解をした女剣士だったが、納得できない様子で心の中でつぶやいた。

(それならばとどめを刺してしまえば万事解決だろうに)



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 【クエスト更新】

  ボス:倉木弦十郎

  ボスを撃破しました。

  獲得ポイント:300

  スキル獲得:情報収集

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「うわっ、びっくりした」

 倉木を無力化した恒一の前に再度ホログラムが現れた。

 突然のことで驚いた恒一は、倉木の上でバランスを崩して倒れてしまった。


 それを見た女剣士が近寄り手を伸ばす。

「大丈夫か?」


 恒一は彼女の手を取るが、意識はホログラムにいっていた。


「スキル……? 情報収集?」



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 【スキル詳細】

  スキル:情報収集レベル1

  対象の地肌に触れると情報

  を得ることができる

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「触れると……?」


 その瞬間、ホログラムには多くの文字列が表示された。


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《PERSONAL ANALYSIS Level.1》


挿絵(By みてみん)


【矢崎 巴】

好感度 0%

信頼度 1%

警戒度 99%


氏名    矢崎やざき ともえ

職業    矢崎流剣術師範代

性別    女

年齢    24歳

生年月日  アクセス不可

出身地   アクセス不可

現住所   アクセス不可

身長    161cm

体重    49kg

血液型   A

バスト   アクセス不可

カップ数  D

ウェスト  アクセス不可

ヒップ   アクセス不可


利き腕   右

視力    アクセス不可

利き足   右


所属    矢崎家

役職    アクセス不可

階級    アクセス不可

家族構成  アクセス不可

婚姻    アクセス不可

子供    アクセス不可


戦闘技能  アクセス不可

武器熟練度 アクセス不可

身体能力  アクセス不可


性格    アクセス不可

心理状態  アクセス不可

犯罪歴   アクセス不可

性癖    アクセス不可


健康状態  アクセス不可

負傷歴   アクセス不可

疾病    アクセス不可


 ━━━━━━━━━━━━



「やざきともえ……D……」


 恒一は無意識に呟くと、目線は彼女の胸元へと落ちていた。

 その視線に気づいた彼女は、眉間に皺を寄せて恒一の手を振り離す。


「貴様! なぜ私の名を知っている!」


「というか、どこを見ている!」


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