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青春短歌〜言葉にできない気持ちを、私たちは三十一文字にする〜  作者: 老川
一年生二学期

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21/26

衝突

 中間試験も終わり、学校全体が文化祭に向けた準備のムードに包まれ始めていた。私たちのクラスも昼休みや放課後の時間を使って、手分けして出し物の準備を進めていた。男子が木材を使って出し物を工作する間に、女子が内装の飾り物を作っていく。私もそんな女子の一人として、準備に加わっていた。


 短歌部の活動もあるので、まひるに頼んで曜日を調整してもらいながら、なんとかクラスと部活の両立をしていた。その日は短歌部で先輩たちに歌を見てアドバイスをもらうことになっていた。最近は不調続きだったが、久しぶりにそれなりの出来のものができた気がしていた。先輩たちの反応も悪くなく、ちょっとしたスランプからも片足が抜けかけている気がした。


 先輩たちにアドバイスをもらい、早速改良をしようとノートを開いたところで、スマホに着信が入っていたことに気がついた。メッセージアプリを開くとまひるから数度電話がかかってきていたようだ。なんだろうと思いながら、まひるのアイコンをタップし電話をかける。まひるはすぐに電話に出た。


「まひる?どうしたn…」


「しずく、今どこ?」


 初めて聞くほど冷たい声だった。私は驚きながら慌てて返事をする。


「今は部室だけど…」


「すぐ教室に来て。待ってるから」


 それだけ言うと、まひるはこちらの返事を待たずに電話を切ってしまった。先輩たちに挨拶をして、急いで荷物をまとめて教室に向かう。教室にはまひるが一人立っていた。


「ごめん。お待たせ…」


「ねえ、しずく。そんなに部活が大事?私が今日なんて言ったか、覚えてないの?」


 電話越しに聞いた冷たい声だった。必死に考えるが思い出せない。頭の中が真っ白になった。きっと大事なことだったはずだ。けれど、何も思い出すことはできなかった。そんな私の様子を見て、答えはまひるの方から明かされた。


「今日はクラスで出し物の打ち合わせをするから、部活がある人も放課後集まることになってたんだよ。クラスのみんなは集まってくれた。それなのに、しずくだけ電話をかけても出てすらくれなかった」


 ため息をついたまひるが言葉を続ける。


「ねえ、しずく。そんなに部活が大事?」


 先ほどと同じ言葉だったが、先ほど以上に冷たく聞こえる。その声は少し震えていた。胸が締め付けられ、指先が冷たくなる気がした。謝らなければと思うのに、喉が嫌な音を立てるだけで、意味のある言葉は出てこなかった。呼吸の仕方さえ忘れてしまいそうだった。


「私、今日は帰るから」


 何も口にすることのできない私を置いて、まひるは教室から出ていってしまう。呼び止めなければと思った。けれど、足が床に縫い付けられたように動けなかった。結局、まひるを追いかけることも声をかけることもできず、呆然と立ち尽くすことしかできなかった。

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