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青春短歌〜言葉にできない気持ちを、私たちは三十一文字にする〜  作者: 老川
一年生二学期

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20/26

すれ違い

 次の日の朝も私とまひるは通学路を一緒に歩いていた。陽射しを遮るように茂る葉の下の並木道を歩くと、通り過ぎる風が心地よい。この風景の中でならいい歌が作れそうな気がした。そう、例えば、この木漏れ日を題材にして…


「しずく、また聞いてないでしょ!」


 横を歩くまひるの声に意識を引き戻される。慌てて顔を向けると頬を膨らませたまひるの表情が目に映った。


「また部活のこと?一緒に話してるときくらい、ちゃんと聞いてよ」


「…ごめん」


 まひるはそれで許してくれたのか、先ほどまでの話の続きを話し始めたが、私の頭の片隅には短歌のことが残ったままだった。


 学校につき、授業が始まっても私は浮ついた状態が続いていた。黒板の前で話をする教師の声に集中し、ノートにペンを走らせようと思うが、気がつくと短歌のことを考えていてノートの上の手が止まっていた。幸い、教師にその様子を見咎められることはなかったが、思うように集中しきれない日はしばらく続いた。


「これはちょっと微妙かな?」


「ああ、もう少し頑張れる気がするな」


 短歌部でも私の調子はイマイチだった。これまでと同じように、自分の言葉を歌にしようと頭をひねるが、その最中、まひるやクラスメイトに自分の書いたものを見られるかもしれないという想像が頭をよぎってしまう。そうすると、思ったように言葉を紡げなくなってしまい、納得する出来の歌は作れなかった。


「もう少し考えてみます…」


 先輩たちに気遣われているのも居心地が悪く、今はそう言って場を凌ぐ他なかった。


 クラスでは文化祭に向けた打ち合わせが順調に進んでいた。


「多数決の結果、出し物はゲームコーナーに決まりました!みんなで協力して、当日まで準備を頑張りましょう!」


 教壇に立ったまひるが声を上げる。クラスの出し物は準備も接客も自分たちでやらなければいけないので、私も当然無関係ではない。人前に立つことは苦手な私でも、内装の飾り付けや裏方などで働ける場所はあるだろう。それでも私は盛り上がるクラスメイトの空気に一人取り残されたような気分を味わっていた。


 そんな空気の中で私は少し焦りを覚え始めていた。


 そしてその日はやって来た。

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