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海にいだかれて  作者: 雪本 風香


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14章 結局許されたのかわからないけれど 1

 促されるままオレは魚を捌いて、料理を居間の隣にある座敷と呼ばれる場所に運んだ。

 タケさん家は、古い日本家屋だ。大勢集まった時は、畳敷きの座敷に長テーブルを出して、食事をするらしい。

「俺らが小さい頃は、沢山(ようけ)集まっとったけん。大人は座敷、子どもは居間で分かれてメシ食っとったなぁ」

 タケさんの言葉に反応したのは、父さんだった。

「俺は年長者だからって、お前らの子守ばかりさせられていた」

 ぶすっと答える父さんに、当事者であるタケさんと千尋は顔を見合わせる。

「いうて俺らは、迷惑かけてないやろ?」

「そうですよ、努さん。私たちは大人しい部類だったでしょ?」

 タケさんと千尋は、何もダメなところはなかったというように胸を張る。そんな二人に、父さんは苦い顔を向けた。

「何を言っているんだ、お前たち。確かに表立って騒いではいなかったが、こうと決めたらテコでも譲らなかっただろう、昔から」

 ため息をつくと、父さんは二人を指さした。

「武史は、昔から千尋の横に座ると言い張って、千尋の弟の俊樹(としき)と毎回揉めるし。千尋は俊樹の好きな食べ物を他のヤツに取られると、ふてくされるしな」

「そんなこと、しとらんわ!」

「そんなこと、していないから!」


 タケさんと千尋は、同時に否定した。けれど、二人の顔はみるみる内に赤くなっていく。どうやら、当たっているようだ。

「こ、子どもの頃、知っとんはお互い様やけんな! 陽太と有紗さんに色々吹き込むぞ!?」

「できるものならな」

 フフン、と鼻で笑う父さんに、タケさんはうっ、と言葉に詰まるのだった。

 


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