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海にいだかれて  作者: 雪本 風香


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12章 リスタート 1

 その日はすぐにやってきた。

「ほんまに土産(みやげ)、それだけでええんか?」

 と、訊ねるのは、タケさん。

「足りないなら、送るよ?」

 と、あれこれ手に取って見せてくるのは、千尋。

「いいよ! 荷物になるんだから!」


 オレは、二人のお節介から逃れるように、両手で大きくバッテンを作った。

 その瞬間、タケさんと千尋は同時に、残念そうな表情を浮かべた。


 一緒に暮らしていたら顔が似てくる、とよく聞くが、それは当たっていると、この一ヶ月足らずで学んだ。

 タケさんと千尋は顔は似つかないのに、浮かべる表情がそっくりなのだ。

 そして、性格もよく似ている。


 いや、性格よりも、もっと深いところ。

 オレはあまりよく知らないけれど、人間の性質(せいしつ)っていうの?

 それがびっくりするほど、似ている。


 今だって、オレの手に溢れるくらいの土産を持たせようとするし。


「なんかあれば、いつでも連絡せえよ。……来たなったら、いつでも飛行機乗ってこいや。航空券くらい取ったるし、迎えにやって、いつでも来れるけん」

「私も仕事で、定期的に上京しているから。その時は連絡するからさ、会おうね」


 ほら。かけてくる言葉だって、ほぼ一緒だ。

 いつでもオレのことを気にしているという、メッセージ。


 ここに来た時は、素直に受け止められなかった。

 タケさんと千尋の気遣いを、余計なお世話だと、はねのけていただろう。

 同情するな、と。オレは一人でも大丈夫だと、強がっていたはずだ。

 でも、今は違う。

 

「わかった。……オレからも連絡する」

 オレの言葉に、タケさんと千尋は、またまた同時に顔をほころばせた。


「約束やぞ」

 言葉と同時にタケさんは、オレの背中をポン、と叩いたのだ。

 そこには頑張れよ、というエールも込められていたような気がするのだった。

 

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