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海にいだかれて  作者: 雪本 風香


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9章 3

 十八日にオレは、東京に帰る。

 それは、決定事項だった。


 それまでに残っている二つの宿題の一つは、自然に解決した。


 オレがこの家に住みたい、と思っていても。

 父さんがどれだけオレを子ども扱いしていなくても。

 法律上は未成年だ。

 保護者である父さんの意向には、逆らえない。


 オレが本当に望むなら、タケさんは全力で味方してくれるだろう。千尋も。

 けど、それじゃあダメなのも知っていた。


「オレは、東京に帰る。帰らないといけない……」


 ここが居心地が良かったとして。


 オレは、金も力も持たない、ただの十二歳のガキなんだから……。


 ※


 その日、オレは初めてタケさんとケンカした。


「絶対に、ダメや!」

「なんでだよ!?」

「ダメや、ちゅうたら、ダメや!!」

「……タケさんの、分からず屋!」


 捨て台詞をはいて、部屋に逃げ込むオレに、背後から千尋が吹き出す声が聞こえてくる。


「タケちゃん、分からず屋……だって!」

「うるさい! 千尋…………」

 タケさんの言葉は、途中で聞こえなくなったが、予想はつく。


 絶対にダメだ、って言い張っているに違いない。

 タケさんは、こうだと決めたら、(がん)として譲らないところがある。


 でもさ、そんなに無茶なお願いを、したつもりはないんだぜ? 


「タケさんの船に乗せてほしい」


 そう言っただけで、あれだけ反対されるとは思っていなかった。


 オレは、つけっぱなしのパソコンの前に座る。

 そして、何度も検索したサイトを開いた。


「ここに、行ってみたいな……」


 オレが開いているのは、ある学校のホームページだった。

 


 

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