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海にいだかれて  作者: 雪本 風香


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7章 4

 タケさんたちに突きつけられた宿題。

 オレの十二年の人生の中で、一番やっかいな問題だった。


 一つだけ、すぐに答えが見つかったものがあった。

 タケさんと千尋と暮らしていくのは、イヤじゃない、ということ。


 父さんも母さんも、お互いに不倫していたから、思わずカーっとなってしまったけれど。

 少しの期間でも、一緒に暮らしていたらわかる。

 千尋がそんなヤツじゃないって。

 もし、相手が結婚していたのを知って、付き合いを続けているような女なら。

 筋が通らないことは絶対許さないタケさんが、恋人にはしていないはず。


「でも、あとの二つはなぁー」


 つい、口に出してしまう。


 ここに住みたいと思っているのは、逃げじゃないと言い切れないし、将来のことなんて、なにも見えていない。


 中学受験を辞めたオレだ。

 離婚で引っ越すかもしれないけれど、学区の中学に行って、学力に合った高校を受験をして。

 漠然とそう思っていたくらいなのだ。


「……将来の夢か」


 改めて自分に問いかけてみても、なにも浮かばない。


 中学……、いや小学受験は、母さんの夢だった。

 男なら最低でも、大学……、それも理系に進学しろ、と言うのは父さんだし。


 じゃあ、オレのしたいことは?

 問いかけられても、見つからないのだ。


「タケさんたちは、どうして今の仕事に就いたんだろう……」


 ふとした疑問。


 今まで気にならなかったのに。

 一旦気付いてしまうと、聞きたくてたまらなくなる。


「よし!」


 オレは立ち上がると、部屋を出ていったのだった。

 

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