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第27話 反感の訳

 まだ怪化薬打倒委員会が裏で動いていた時代。強が仮幹部リーダーを務めていた時代だ。幹部に1人、紅一点がいた。彼女はボスレディというあだ名で元気でガッツがある優しい女性、皆から人気で頼りにされていた。彼女は強より大きい体、筋肉ムキムキの健康的な女性で勿論、強かった。


 ボスレディはその強さと周りからの信頼により、単独で任務をしていたのだが急にペアで任務をすることが多くなった。そのペアの相手は和夜みたいな茶髪でサラサラのストレートロングヘアをした男だった。名前はシュセ。あまり身長が高くなく痩せ型で鍛えている体には見えなかった。

「きっと見えない強さがあるんだろうなぁ。人は見かけによらないし」

仲の良い1人の舎弟に強は話をする。舎弟は言いにくそうに答えた。

「違いますよ。強さん、アイツ、ボスレディさんを利用してるんですよ」

「利用?」

「はい・・・俺、見ちゃったんですよ・・・ボスレディさんを口説いているのを」

「それは、ただ単にアイツが彼女を好きなだけじゃないのか?」

「俺も最初はそう思ったのですが・・・たまたまアイツが他の女に電話しているのを見かけて・・・『アイツは私が出世をするために利用してるだけ』みたいなことを言っていたんですよ」

強は怒りが沸いた。アイツはボスレディを口説きペアで活動をすることで手柄を一部、横取りし自分が出世しようとしていたのだ。真っ先にボスレディにアイツとは関わらない方が良いと話をしに行った。

「ええ・・・そんな気はしてたわ・・・」

「じゃあ、早くアイツとは」

「でも・・・あの人が初めてだったのよ・・・アタシのことを可愛いとか素敵だとか褒めてくれたのは」

ボスレディは走って居なくなった。そんな悲しそうな彼女の背中を見た強はどうすれば良いのか分からなかった。


 次の日、強はボスレディにまた話をしようとしていた。、いや、彼女だけではなくアイツにも一言、言ってやろう、と意気込んでいた。朝から強はトレーニングルームでボスレディを待っていた。

「ボスレディさん、任務に行ってて遅れるそうです。アイツも一緒みたいです」

「そうか、よし!彼女を待ってる間にトレーニングしまくるぞー!」

待っても待っても彼女は来なかった。彼女が戦った相手は悪く、相打ちで帰らぬ人となってしまった。彼女を姉御として慕っていた者は多く、悲しむ者も多かった。アイツも涙を流していた。運良く生き残ったようだ。他の女に手は出していてもボスレディのことも少しは好きだったのだろうか。


 強はトレーニングの休憩がてら資料室に足を運ぶ。先客が居た。あの男と他の戦闘員の女性だった。

「君のことを前から素敵な可愛い女性だと気になってたんだ。今度、私と一緒に任務してくれないかい?」

ボスレディが亡くなってから数日しか経っていないのに他の女を口説いていたことに腹が立った。が、自分自身まだ元気がなく、口出しするのも何か違う気がしたので黙って資料室を出た。


 アイツが他の女を口説いてから数日後、口説かれていた女性は亡くなった。戦死だった。


 不死長老の家に2人の子供がやって来た。

「ここに姉さんが居たと思うんだが、最近、見かけねぇんだよ。元気か?」

「背も大きい格好良い姉さん!悪い人をやっつけてるんでしょ?」

強はたまたま2人の会話を聞いた。

「もしかして、ボスレディのことか!?」

どうしよう、まだ小学生位の子供、話をしてしまって良いのか、と強は迷った。そんな時にアイツが来た。

「君達、彼女の知り合いだったんだね・・・実は彼女は強い敵と戦って亡くなってしまってね・・・」

「おいっ・・・」

2人の子供はうつむいた。

「でも彼女は自分の出来ることを全力で行った・・・格好良い、素晴らしい戦いだった」

2人はアイツのことを見た。

「そうか・・・」

「姉さん・・・」

下を向いて帰る2人の背中を見送った。その時、アイツは聞き捨てならない台詞をボソッと吐いた。

「あ~あ、強すぎる敵に挑ませるべきじゃなかったか」

「・・・おい。それはどういう意味だ」

「ん?何も言ってないよ」

「俺にはハッキリ聞こえたぞ」

アイツは黙って少し考えた後、開き直った。

「君しか居ないし言っても良いか。私が彼女に戦うように言ったんだよ」

「どうしてだ?」

「もっと大きな手柄を持って来て欲しかったからね。大好きな私に一緒に出世して欲しくないのかって言ってみたら頑張ってくれたよ。言っておくけど、無理やりじゃないよ?私と一緒に居たいなら、戦って来てって言ったなんだから」

あの時の涙は嘘だったのだ。強は気付いたらアイツの顔を殴っていた。

「何か、胡散臭いと思ったら・・・やっぱりな」

「お兄さん・・・サイテー」

帰ったはずの子供がいた。アイツが目を潤ませて、格好をつけている雰囲気に違和感を感じ、戻って来たのだ。強は焦った。

「今の・・・聞いてたか?」

「ああ」

「バッチリ」

ボスレディをそそのかしたアイツは強にボコボコにされ、逃げるように自主退職をした。ボスレディの知り合いの子供はリゼとキンバという者で強とちょっとした知り合いになるのであった。


 人は見かけによらない。そんなことはないのだと痛感した。人は見かけによらないとは限らないのだ。強だけでなく、リゼやキンバも鍛えてなさそうな体の奴が戦闘員として上に上がることはないと考えていた。上がれる訳ない、あの男みたいなことをしないと駄目な奴ばかりなんだと思った。あの男を除いて全員、鍛錬を怠ることがない者ばかり、いかにも強そうな者ばかりだった。見た目から強そうな、頼もしそうな者ばかりだった。


 そこへ、和夜がいきなり幹部リーダー補佐役、ナンバー2として登場した。彼女の体は鍛えていないのが分かる瘦せ型。身長も高い訳でもない。アニメで出てくる胡散臭い奥義を名乗っていた。1番、不快だったのはアイツに髪が似ていたことだ。和夜が幹部リーダー補佐役、ナンバー2、いや、幹部になれる程の強さがあるのは絶対に嘘だと全員は直感的に思った。それどころか怪化薬打倒委員会にとって不要でしかないと思い込んだ。いくら、不死長老達に認められていようが許せなかった。先入観で、伸郎の娘だから、騎士が代わりに戦ってくれているからだ。アイツと同じように自分のためだけに周りを利用しているんだ、と間違った固定観念が出来てしまっていた。

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