番外編 菫の里帰り② 東和到着
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夫レガルドの転移魔法にて、菫は数年ぶりに生まれ故郷である東和の地を踏んだ。
正式な代替わりはまだだが実質レガルドの異母弟である三の若君が統治する東和州。
東方の金剛石と謳われる美しい州都の街並みが菫たちを変わらず迎えてくれたような気がした。
「さて菫、じゃあさっそく弓削の屋敷へ向かうか。事前に連絡はしておいたんだ」
「私も大兄さまと次兄さまには手紙を出して帰る旨は伝えてあるの」
「菫が会うのは一家離散以来だもんな……義兄さん達がきっと首を長くして待ってるぞ」
「ふふ。本当ね」
そしてレガルドが菫の生家である弓削の屋敷に再び転移しようとしたその時、ふいに大きな声で呼び掛けてくる声がした。
「若っ!!やっと来た!思っていたよりも遅かったですなぁ!!」
なんでどうして奴が此処にいるのかが分からない、桐生主水之介がレガルド達に向けて手を振っている。
それを見たレガルドは真顔になってこう言った。
「……………………………きっと錯覚だな」
その言葉が聞こえた地獄耳の主水之介が慌てて駆け寄って来る。
「ちょっ!なんでそのまま行こうとするんですか、あんた目が悪いんじゃないですか?」
「悪いのはお前の口だ」
「菫さま、お姫様、長旅お疲れ様です」
「おい無視かよ、ついでに態度も悪いなコラ」
東和に戻っても変わらず仲良く歪み合う元主従。
聞けば主水之介はレガルド達の帰郷に合わせて有給を取って自身も帰って来たそうだ。
「こちとら大枚はたいて転移魔道具で帰省しましたからね。それでも丸一日掛かりましたよ」
「よく休みが取れたな」
「そこが非正規職員の気楽さですかね。昨日着いて、あ、今夜には帰ります」
「それ来る意味があったのか?」
「李亥家の家臣団に若が帰る事を教えてあげないと!と思いましてね」
「……それこそ手紙でいいだろう。ていうか知らせたのか?」
「ええ。とくにご家老の長谷倉様には」
「お前っ!?それ絶対嫌がらせだろうっ!?」
「いいえ?決して菫様が出国する際に手の平の上でコロコロされた事を根に持って仕返ししたとかじゃねぇですよ?」
「今さらかっ!?」
李亥家の家老、長谷倉一竜太の名を聞き血相を変えるレガルドがそう言った時、辺り一帯にけたたましい声が響いた。
「二郎若様っーーーー!!」
「ゲッ!?爺ぃっ!!」
今し方話をしたばかりの人物、長谷倉がレガルド目掛けて突進して来る。
「フッ、ご老体に鞭打って此処まで来られたか。愛されてますな、若」
愉快そうに言う主水之介をレガルドが睨め付けた。
「てめぇ主水之介、後で覚えてろよっ」
脇目も振らずにこちらへ向かって来る長谷倉を見て菫は思った。
ーーなんだか既視感が……。
あ、先ほどのお亥羅様の猪突猛進とそっくりなのね。
そして菫に抱っこされている蕾が長谷倉を指差してこう言った。
「いのちち!」




