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いつの日か、きっと  作者: トミー・フィロソフィー
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エピソード5 ”ヒジャブの留学生”

<前回までのあらすじ>

 太陽系外縁オールトの雲より飛来する10個の隕石。

 人々は世紀の天体ショーに沸き立っていた。

 そんな最中、人知れず、一人の日本人女子大学生が、そしてアメリカ空軍の男がUFO(未確認飛行物体)に連れ去られ、そこで何かをされ、生活に戻る事件が起こっていた。

 そして、NASAでは隕石の1つに対してブースター付き衛星を使っての軌道変更試験を実施。しかし、その試みは失敗に終わってしまったのだった。


 

 ドバイのレストラン。夜9時を過ぎた頃。

 レストランの上部スクリーンにニュースが流れていた。

「先ほど、実施されたNASAの隕石軌跡変更プロジェクトは失敗に終わりました。

 なお、これによる地球への墜落確率上昇はないとのことです。

 NASAでは失敗の原因を追求し、その対策を速やかにフォローしていくとのことです。

 しかし、一部では、、、」

 ヒジャブをしたウエイトレスが物陰で携帯通話していた。

「うん。お母さん、分かってる。

 学費は大丈夫だから。私がバイトで何とかする。

 それよりも、そっちは大丈夫?お父さんは?

 あいつら女の私を留学させたってだけで反政府分子だって弾圧してくるし。。。」

 キッチンからシェフが声をかける。

「デザート上がってるよ。早くサーブして。」

 ウエイトレスが携帯を服に押し当てて答える。

「はい。いますぐ。」

 ウエイトレスが携帯を耳に当てた。

「ごめん。お母さん。また連絡する。」

 ウエイトレスが電話を切り、男性2人組のお客にデザートをサーブする。

「お待たせいたしました。濃厚ショコラクープです。」

 男性2人組はかなり酒に酔った顔でニヤニヤしている。

 ウエイトレスがデザートをテーブルに置いた。

 その時、2人のうちの1人がウエイトレスのお尻に手を伸ばした。

「キャッ!!」

 ウエイトレスが咄嗟に身を引き、小さい声で言った。

「お客様、困ります。」

 すると、男性1人がテーブルにお金をバンと叩きながら置いた。

「お前、イイ身体してんな。これでどうだ?今夜俺たちの相手しねーか??

 今日は何時に上がるんだ?」

 ウエイトレスが表情と態度で嫌悪感を露にした。

「やめてください。それ以上何か言えばマネージャーを呼びます。」

 状況を少し遠くから見ていたウエイターが機転を効かせて寄ってきた。

「どうしましたか?」

 ウエイターがウエイトレスと男性客を交互に見ながら笑顔を見せた。

「チッ、とんだ邪魔が入りやがったな。」

 男性2人組はデザートを食べずにそのまま席を後にした。

「アーディラさん、大丈夫だった?」

「ありがとう、助かったわ。」



 アーディラ・ムハンマドはバイトを上がり、レストラン裏の従業員専用ドアから出た。

 アーディラがレストラン街の裏路地を進んだ。

 そこはほぼ人気のない通りだった。

 だが、そこに先ほどの男性2人組が壁に寄り掛かって待っていた。

 アーディラがそれに気づき後退りした。

「よお、また会ったな。奇遇だねー。」

「これって運命ってやつじゃねーの?」

「そうだな。そうにちがいねー。愛の女神の思し召しってやつか?」

 2人組の男が薄ら笑いを浮かべて、アーディラを見た。

 その2人の話を聞くか聞かずかで、アーディラが振り向き、すぐさま逃げだした。

 男2人組がアーディラを追いかける。

「おい!待てよ!!おれはまだデザート食ってねーんだよ!!」



 アーディラが逃げ惑い、身を隠すために工事現場に入った。

 わずか後に男2人組も工事現場に入ってきた。

「おーい。ここにいるのは分かってるんだよ。」

「出ておいでよ。子猫ちゃん。痛いことはしねーからさ。」

「そうそう。するのは気持ちいいことだから。へへへ。」

 工事現場に男たちの歩き回る音が木霊していた。

 アーディラは息を殺し、しばらくの間じっと物陰に隠れていた。

 すると足音が消え、周囲から男たちの姿も見えなくなった。

(あの人たち、諦めてどこかに行ったかな?)

 アーディラはホッと息を撫で下ろした。

 そして、物陰からそっと顔を覗かせた。

 その時、いきなりアーディラが隠れていた看板を男の手が剥ぎ取った。

「見ーつけたっ!!」

 アーディラの目の前に男2人の薄気味悪いニヤケ顔が現れた。

「キャーーー!!」

 アーディラが尻餅をつき、後退りをする。

 男たちが看板や機材を手で払いのけ、アーディラの方に寄ってくる。

 腰が抜けたのか、アーディラはうまく立ち上がれない。

 片方の男がアーディラの片足を掴んだ。

 男が足を引っ張り、引き寄せる。

 もう一人の男がアディーラの上半身側に回り、踠(もが)くアーディラの両手を掴んだ。

 足を掴んでいた男がアーディラの両足の上に乗っかった。

「もう堪忍しろやー。逃げられねーよ。」

「キャーーー!!誰か、誰か助け、、、」

 アディーラの足に乗っかった男が片手で口を塞いだ。

 もう片手で首を絞める。

 男が顔を近づけた。

「おい!騒ぐんじゃねーよ。死にたくなかったらな!!」

 アーディラが顔を背け、ギュッと目を瞑った。

 その瞬間、周囲がまるで昼間のように明るくなった。

 アーディラに乗りかかっていた男が思わず上を見て声を上げる。

「はっ?なんなんだ、あれは?」

 アーディラの強く瞑った目のまぶた越しからですらも白い光が見えた。

 思わずアーディラがゆっくり目を開く。

 すると、その上空には眩(まばゆ)く光輝く円形の物体が見えた。

 アーディラの視界の上部に、アーディラの両手を掴んでいる男が映っていた。

 が、その男の身体が徐々に空中に浮かんでいく。

 さらに、足の上に乗っていた男の身体も上空に浮かんでいく。

「うわっ、わーー!!なんだ?なんなんだ??これは!?たっ、助けてくれーー!!」

 アーディラの両手を掴んでいた男の手がアディーラから引き剥がされてた。

 そして、アーディラの足の上に乗っていた男の手も、アーディラの首から引き剥がされた。

 二人が上空にどんどん昇っていく。

「なっ、ちょっ、ちょっと、待ってくれ!待ってくれー!!」

 アーディラが上を見上げ、困惑した顔のまま、立ち上がった。

 すると、すぐにアーディラの身体が白い光で包まれた。



 アーディラがハッとベッドから起き上がった。

「あれ?私、なんでここに?」

 周囲をキョロキョロ見回す。

 アディーラは服を着たままだった。

 そして、寂しさを紛らすため、24時間流れているニュース番組もいつも通り付いていた。

「昨夜、レストラン街裏の工事現場にて男性2人の死体が発見されました。

 2人の血中からは高濃度のアルコールが検出されており、高所より落下したような挫傷がありました。

 状況より深夜に工事現場に入り、ふざけて高所より落下したものとの警察の発表です。

 詳しくは現在なお調査中とのことです。」

 アディーラはそのニュースを気にも止めていなかった。

「昨日、バイトが終わって、そのあとって、、、」

 アーディラが周囲をキョロキョロしたり、首を傾げて下や上を見たりしていた。

「何でだろう?昨日の夜のこと、全然覚えてない。。。」



<次回予告>

 UFOに連れ去られたことを友人に伝える絵里。

 茶化されるも、浮かび上がる1つのフェイクニュース。

 そして、絵里は幼馴染みの自衛官と会う。

 いつもは他の基地にいるはずなのに。。。なぜ?

 次回、”不穏な動き”

 乞うご期待!!


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― 新着の感想 ―
UFOが人助け? いや、殺しても問題なさそうなサンプルを確保したかった? 接近する隕石群との関係は? これは、SF的に続きが気になりますね。
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