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いつの日か、きっと  作者: トミー・フィロソフィー
12/13

エピソード11 ”報道志望の女”

<前回までのあらすじ>

 太陽系外縁オールトの雲より飛来する10個の隕石。

 人々は世紀の天体ショーに沸き立っていた。

 そんな最中、人知れず、一人の日本人女子大学生が、アメリカ空軍の男が、

 ドバイではヒジャブを着けた女性が未確認飛行物体(UFO)に連れ去られ、

 そこで何かをされ、生活に戻る事件が起こっていた。

 また、NASAでは隕石の1つに対して軌道変更試験を実施するも失敗に終わった。

 その後、日本では秘密裏に総理大臣など要人が長野の地下防空壕に退避していた。

 そして、さらにシドニーでは環境保護団体の女性が、イギリスのロンドン郊外では

 移民を助ける医者が、アメリカのラスベガスではホームレスが未確認飛行物体(UFO)に

 連れ去られていた。

 隕石最接近まで数日となったその時、各国から核ロケットが隕石に向けて発射された。

 そのロケットの1発がある村の近くで誤爆。

 その村人たちは放射能により犯された。その村の青年もまた倒れそうになった。

 だが、その時、青年は未確認飛行物体(UFO)に連れ去られ、また村に戻っていた。


 

 フランス、パリ。

 ギャラリー・ラファイエット。

 暗がりの中、中央の長いステージにだけ光が当たっている。

 そこにきらびやかに着飾った男女が闊歩する。

 そのステージの両脇では人々が闊歩する男女を眺めたり、写真を取ったりしている。

 このファンションショーの現場で写真を撮っている一人の女性がいた。

 ファッションショーは無事終了し、女性は会場を後にしようとした。

 その女性に1本の電話が入る。

「エマか?どうだ?いい才能あったか?」

「写真は撮りました。いい才能かどうかは。。ちょっと私には。。。」

「なんだよ。それは!?

 あー、分かった。まあ、いい。とりあえず全部送れ!今すぐだ!!」

「はい。分かりました。」

「あと、早く会社に帰ってこい。

 記事書いて今日の夕方の更新には載せるぞ!!」



 エマと呼ばれていた女性記者が編集長に記事を出していた。

「。。。どうでしょうか?」

「・・・ああ、悪くない。

 お前いつも分からないとか言ってる割に、分かってる絵、撮れてるじゃねーか。

 良し!これ、出そう。お疲れだったな。」

「ありがとうございます。あっ、えーと、編集長。ちょっとお話が。。。」

 編集長はなにかを打ち込みながら目はそちらに向けつつもエマの話に耳を傾けた。

「どした?」

「はい。今日で私、このファッション部に移って1年になるんです。

 約束覚えてますか?」

 編集長が打っていたキータッチを止め、エマの方に視線だけ移した。

「あー、もう1年になるのか?はえーな、時間ってやつは。

 気がついたらジジイになって死んじまうのかもな。はははは。」

「話をすり替えないでください。

 1年ここで働けば私を報道部に移してくれる約束だったでしょう?」

「まあまあ。まあまだちょっと向こうに空きがなくてな。

 もうちょっと待っててくれ。」

「それじゃ約束が。。。」

 そう問い詰めると横から編集長を呼ぶ声が響く。

「編集長!1番LVから電話です!!」

「ああ!」

 そういうと編集長が電話を取る。

「編集長!!」

 エマが眉間にシワを寄せるも、編集長はエマの見えない角度に席を回転させた。

 編集長は電話で話をしつつ、エマに対して手で追い払う仕草をした。

 エマは口をムッと結び、キッと編集長を睨んで顔を背け、そこから退いた。



 エマがオープンテラスのバーで友人と飲んでいた。

「ってなってさ、もー最悪。。。」

「だから私がさ、1年前にゆったじゃん。

 結局有耶無耶にされるパターンだって。」

 すると周囲から騒ぐ声がした。

 数人ずつ男女がいた席の中で、若い男1人がワイングラスを片手に立ち上がり、空を仰いだ。

「隕石にかんぱーい!!」

 男は、空に浮かぶ隕石に向かってグラスを持ち上げ、グラスを口に。

 そして一気にワインを飲み干した。

 その男の軽いノリがエマの気持ちをイラつかせた。

「なによ、あの男は。

 はー、もう隕石なんか地球に落っこっちゃえばいいのよ!!」

 エマの友人が肩をすくめた。

「はは。ここに落ちたらエマ、あんたも死んじゃうよ。

 そしたら報道部になんて行けないじゃない。

 っていうか、まあ、その隕石落下の願いも叶わないみたいだけど。

 確率的には万に一つもないみたいだし。

 あー、そうそう。今日迎撃ロケットだっけ?

 それも打ち上げられたみたいだし。」

「なんかロシアの方で1発失敗したらしいじゃない?」

「みたいだね。でも、全然被害はなかったって。」

「ホントなのかな?

 そう!そういうの!ちゃんと調査して書きたいのに!!もーー!!」

 また先ほどの乾杯男のグループが騒ぐ。

 次は全員が立ち上がって言葉を合わせた。

「隕石にかんぱーい!!」

 すると、エマが睨んでまた言った。

「隕石落ちて死ね!」



 パリ近郊アントニー駅で電車を降り、エマがアパートに向かって歩いていた。

「クロエ、ちゃんと帰れてるかな?あんなに酔っぱらって。。。」

 友人の心配をしつつも、若干自分の身も案じていた。

 住宅街ではあるが静かな暗がりの中、携帯で電話をしているフリをしながら早歩きで家に向かっていた。

 その時、後ろからか目が眩むほどの光がエマに当てられた。

 エマはハイビームの車か何かかと思った。

 昼間に見たファッションショーのスポットライトが思い起こされ、イラッとして、後ろを振り向いた。

 だが、そこには車はない。

 自分の足元を見る。明らかに影が短い。

 エマはふと上を向いた。



 けたたましく鳴る目覚まし時計。

 エマがパッと目を開ける。

 横から見る時計の針は何時なのか一瞬で判断がつかない。

 ムクッと起き上がり、目覚ましのベルを止めながら時間を見る。

 8時半すぎ。

「え?なに?ヤバッ!!」

 社会人の性(さが)から時間による焦りが先に走る。

 だが、次の瞬間、別の疑問が頭を駆け巡る。

「あれ?私、なんで部屋にいるんだろ?」

 しかも、服が昨日のままであることに気がついた。

 でも時間がない。

 エマはすぐに着替え始めた。

 と、同時に職場に電話をかける。

「あー、すみません。ちょっと遅れます。

 はい。はい。。。え?報道部?報道部に出る、、んですか?」

 エマの表情が徐々にほころんでいった。

「はい。分かりました。すぐに向かいますので。

 また後程、挨拶に伺います!!」

 その吉報にテレポーテーションへの疑問が吹き飛んだ。

「初日から遅刻はあり得ないし、急がなきゃ!」

 エマは慌てて自宅アパートを後にした。


<次回予告>

 インド、ベンガルール工科大学。

 名門校を卒業し、そこのスタートアップ企業で働く青年。

 青年の開発するもの。

 それは医療用AI。

 彼が目指すものとは。。。

 次回、エピソード12 ”誰もが使えるAIを望む男”

 では、次回も乞うご期待!!


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