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いつの日か、きっと  作者: トミー・フィロソフィー
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エピソード12 ”誰もが使えるAIを望む男”

<前回までのあらすじ>

 太陽系外縁オールトの雲より飛来する10個の隕石。

 人々は世紀の天体ショーに沸き立っていた。

 そんな最中、人知れず、日本人女子大学生が、アメリカ空軍の男が、

 ドバイではヒジャブを着けた女性が未確認飛行物体(UFO)に連れ去られ、

 そこで何かをされ、生活に戻る事件が起こっていた。

 NASAでは隕石の1つに対して軌道変更試験を実施するも失敗。

 その後、日本では秘密裏に総理大臣など要人が長野の地下防空壕に退避していた。

 そして、さらにシドニーでは環境保護団体の女性が、イギリスのロンドン郊外では

 移民を助ける医者が、アメリカのラスベガスではホームレスが、ロシアの小さな村に

 住む青年が未確認飛行物体(UFO)に連れ去られていた。

 そんな中、隕石最接近まで数日となった時、各国から核ロケットが隕石に向けて発射されていた。


 

 インド、ベンガルール。

 大学病院の討議室。

 数十名の白衣を来た先生方が講義室の普段生徒が座っている側の席に座っている。

 その前でAIスタートアップ企業のCEOが各種ガンの診断用AIについて説明をしている。

 CEOの横で机に座り、パソコンでプレゼン資料の操作をしている青年がいた。

 CEOは自信満々に説明している。

「このように患者のDNAデータ、血液検査データ、ならびに動的MRI画像とレントゲン画像を連動させ、AI解析を行うわけです。

 それによって、ガンの部位検出、今後のガン発生予知、効果的な治療方法、治療薬のサーチを行うことができます。」

 医者の一人が質問する。

「ガンと言っても色々な種類があるでしょ?

 それをどうやって見分けるの?

 我々だって簡単じゃないのに。」

 CEOが突然の質問に言葉を詰まらせる。

 すると、CEOがパソコンを操作している青年に話を振った。

「プレゼン練習の良い機会だ。サティヤム君、答えてくれ。」

 青年がスッと立ち上がり、説明を始めた。

「はい。説明いたします。

 我々の開発しているAIはMoEというアーキテクチャを持っています。

 MoEというのはMixture of Expertsの略です。

 この言葉の通り、このAIの中には各ガンの専門家モデルがいます。

 各種ガンの専門家モデルは各ガンの患者DNAデータ、MRIデータなどで学習しており、それだけでなく、間違いやすい他のガンのデータも学習済みです。

 それにより、誤検知などを極力低下させる仕組みです。

 さらに、その上には各専門家モデルを統合するAIモデルがおり、、、」

 そこにCEOがサティヤムと先生方の間に割って入る。

「そうやって、1つのAIのように見えつつも、各種ガンを的確に見分けるわけです。」

 CEOがチラッとサティヤムの方を見る。

「サティヤム君、ありがとう。」

 CEOが次のページでビジネスモデルを紹介する。

 MoEの専門家個数別にサービス価格を提示し、金額が高いほど確度の高い診断と良い治療を受けられるようになる仕組みであった。

 それをサティヤムは聞きながら、自分の子供の頃を思い出していた。



 病院から帰る車の中で子供のサティヤムが父親に聞く。

「お母さん、大丈夫なの?最近すごく痛そうにすることがあるけど。。。」

 父親がサティヤムに説明する。

「サティヤム、良く聞くんだ。

 実はな、母さん、ガンでな。」

 はーっと息を吐き、父親は涙目になりながら続けた。

「もう、、、助かりそうにない。」

 サティヤムが信じられない様子で返す。

「そんな。嘘だよ。母さん、大丈夫だって。自分で言ってたよ。」

「すまん。サティヤム。

 お金があったら何とかしてやれるかもしれんのだけど。

 実は今、父さんの会社、厳しくてな。。。すまん。」

 そして、1ヶ月後、母が亡くなり、父とサティヤムだけでの細々とした葬式を行っていた。

 サティヤムは流れる涙を拭くこともなく、決心した目をしていた。

 ”僕がガンを直すんだ。どんな家の人でも受けられるようにしてみせる。”



 CEOの発表が終わり、先生方から拍手が沸き起こった。

「これほど正確な診断ができれば、大きい差別化が可能だ。

 実に素晴らしい。

 早速委員会で議論を進めさせていただくよ。」

 CEOと委員長が堅い握手を交わしていた。



 夜10時、サティヤムが車をベンガルール郊外の自宅に向かって走らせる。

 余計なことを考えないように車のラジオをつける。

 ”・・・から発射されたミサイル1発が上昇中に爆発したようです。

 周囲には核物質が巻き散らかせられており、現在影響を調査中です。

 その他、各国から打ち上げられたロケットについてですが、本日未明、当初の目的である隕石1つに全弾命中との発表がありました。

 隕石は一部分解され、想定通りの結果が得られたとのことです。”

 雑念を払うためにつけたはずのラジオ。

 そこからのニュースは彼の耳には届いていなかった。

 サティヤムの中で思いが駆け巡る。

 ”こんなはずじゃ。。。これじゃ母さんは助けられない。”

 家で一緒に食事をしている母親。

 学校に送り出してくれる母親。

 本を読んでくれている母親。

 病院で寝込んでいる母親。

 サティヤムの心の中に何かが積もっていく。

 そして、いつの間にかサティヤムの目から涙が溢れ出ていた。

 堪らず、サティヤムが思わず車を停め、車から出た。

 だだっ広い原っぱに向かってサティヤムが言葉にならない言葉を叫んだ。

「#$%&ーーー!!」

 サティヤムが荒い息づかいで立ち尽くした。

 周囲には車やバイク、人の往来がなくなっており、周囲は暗闇に包まれていた。

 だが、その時、周囲が真っ白に照らし出された。

 サティヤムには一体何が起こったのか分からなかった。

 ただ、自分の影がはっきりと地面に転写されているのが見えた。

 サティヤムは思わず自分の影が伸びているのと逆方向を見上げた。

 そこには。。。


<次回予告>

 中国、北京。

 全ては国のため。

 そう思い、身を粉にして働く一人の女性。

 隕石の地球最接近まであと1日となった夜。

 その女性にも近づく光が。

 次回、エピソード13 ”全てのキャリアを国に捧げる秘書官”

 次回も乞うご期待!!


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