エピソード9 ”ラスベガスの光”
<前回までのあらすじ>
太陽系外縁オールトの雲より飛来する10個の隕石。
人々は世紀の天体ショーに沸き立っていた。
そんな最中、人知れず、一人の日本人女子大学生が、そしてアメリカ空軍の男が、ドバイではヒジャブを着けた女性がUFOに連れ去られ、そこで何かをされ、生活に戻る事件が起こっていた。
また、NASAでは隕石の1つに対して軌道変更試験を実施するも失敗に終わった。
その後、日本では秘密裏に総理大臣など要人が長野の地下防空壕に退避していた。
そして、さらにシドニーでも環境保護団体の女性が、イギリスのロンドン郊外でも移民を助ける医者が、UFOに連れ去られていた。
「ねーねー、絵里ぃ。明後日の善光寺のお祭り行くでしょ?」
午前の授業が終わって、清水絵里が友人と一緒に学食で昼を食べていた。
「あー、隕石祭りでしょ?どうしよっかな。ちょっと考え中なんだよね。」
絵里の頭の中に一瞬幼馴染みの勇の言葉が思い起こされていた。
「えー、いこうよ!こんなすっごいイベント、もう絶対ないだろうし。」
「そーだね。」
そこに以前絵里を茶化した男子が割って入ってきた。
「おい!これ!!見たかよ!!」
男子がスマホの画面を見せている。
そこには1つのニュースが大きく表示されていた。
”明日未明、アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国による隕石迎撃核ロケット発射予定。
各国トップが同時発表。”
その下には注釈が書かれていた。
”地球衝突可能性のある隕石飛来時の防衛訓練。
現在の隕石衝突可能性は0.00002%以下。”
そのニュースを見て、絵里の脳裏に再び勇の言葉が浮かんだ。
”まさかね。。。”
このニュースを見て男子が頭を抱えた。
「こんなんで全部隕石壊されたら明日の祭りがなくなっちまうじゃねーかよ!!
あいつら、なに考えてんだよ!!」
夜10時。ラスベガス中心街。
ほぼ全てのビルの屋上ではオープンバーが開かれていた。
隕石の大きな尾を眺めながら飲めるオープンバーはどこも大活況で、毎日がお祭り騒ぎになっていた。
そんな騒ぎをよそにビルの電光掲示板やディスプレイに”核ロケット発射決定”のニュースが流れていた。
防衛関連の株価が上昇していることも流れている。
それでもこの世紀の天体ショーにオープンバーの騒ぎは止むことはなかった。
同じラスベガスとは思えないほど薄暗く汚い路地裏。
薄汚れた衣服を着て裏路地で寝そべっている1人の黒人ホームレス。
彼も掲示板のニュースや株価には全く反応を示していなかった。
そこにホームレス仲間数人がドカドカと詰め寄ってきた。
そして、おもむろに寝そべっている黒人ホームレスを無理矢理起こした。
「おい!ホセ!!
てめー、今日おれたちの縄張りで稼いでたろが!!
このやろー!!
札、受け取ってたのをこいつが見てたんだよ!
稼いだ分、よこしやがれ!!」
「そんなんじゃねーよ!
おれは通りかかっただけでそん時にもらったんだ。
だからあれはおれのだ。」
「ふざけるな。このやろー!やっちまえ!!」
そう言ってホセと呼ばれたホームレスが蹴り殴られ、身ぐるみを剥ぎ取られ、持っていた札と小銭を全て奪い取られた。
「なんだ!?結構もってんじゃねーかよ。このやろ!!
まあ、これで許してやらーよ。」
「あっ、やめろ!おれんだ!!返せ!!」
ホセが去ろうとするホームレスの足を掴んだ。
「てめー、まだわかんねーのか?」
ホセは金の代わりにパンチを数発もらった。
ホセはうずくまる他なかった。
「くそっ!あいつら、絶対にゆるさねーからな。覚えてやがれよ。」
周囲のホームレスたちも巻き込まれないようにどこかに移動していた。
気がつけば、裏路地にはホセ以外誰もいなくなっていた。
表通りの明るさが裏路地の薄暗さを際立たせていた。
うつ伏せにうずくまっていたホセが仰向けに身体を捻った。
その時、急に裏路地がネオンで輝く表通りよりも明るく照らされた。
そして、ホセはその光の源の方向を見上げようとした。
薄目を開けて周囲を見ようとした時、身体が浮き上がるのを感じた。
驚きで目をカッと見開く。
その先には目映いばかりの楕円の物体があった。
<次回予告>
北方特有の針葉樹。
その隙間から放たれるロケット。
その針葉樹の森の近くにひっそり暮らす村人たち。
その村に静かに襲いかかる異変が。。。
次回、 ”ロケットと見捨てられた村”
次回も乞うご期待!!




