ep.7 乙女心
皆大好きな週末の休みが明けて、新しい一週間が始まる。
私は、いつものように学校に行き、教室に入る。
「おはよう、夜月!」
当たり前のように文香が元気な声を掛けて来た。
「おはよう、文香」
そして私も当たり前のように返す。
文香がニヤニヤしながら言う。
「ねえねえ、何か言いたい事とかない?」
「別に」
「うそ、うそ、ホントは言いたい事あるでしょ?」
「無い」
文香があからさまにガッカリした様子で言う。
「え~、あるでしょ?」
「何があるの?」
静が声を掛けて来た。
「ひ・み・つ」
「え~、文香の意地悪~」
放課後、最寄りの駅で静と別れた私と文香は、家が同じ方向ということもあり、二人で並んで帰っていた。
ショッピングセンターの駐車場の横に差し掛かった時に、文香が言った。
「ねえ、夜月、ドーナツ食べて帰らない、ごちそうするからさ~」
「いいよ」
私たちは、ショッピングセンター内にあるドーナツ屋に入った。
「さあ、私のおごりだから、好きなのを選んで~」
「うん、そうする」
文香にうなずくと、私はコラボ中の抹茶チョコドーナツを選んだ。
「おっ、さすが夜月、容赦なく高いやつ行きますな~」
「うん、文香のおごりだから」
「そこまではっきり言われると気持ちがいい」
私は、ロイヤルミルクティーと抹茶チョコドーナツ、文香は、炭酸グレープにド定番のオールドファッションチョコドーナツを選んで、テーブルに座った。
「で、夜月、聞きたいことあるでしょ?」
「無い」
「ほら、何で生きてるのとか、どうして生きてるのとか、何ゆえに生きてるのとか?」
「朝からしつこいね。
じゃあ、二度も殺されて何で私のところに来るの?」
「そっちか~。
そっちはね~」
「恋するほど食べたいだっけ?」
文香は、首を振った。
「もう食べたいとか殺したいとか、そういう感情はないの」
「諦めたの?」
「それもあるけど。
純粋に恋しちゃった、夜月に」
「言ったと思うけど、私は同性も異性も興味がない」
「分かっている、片想いでいいの。
友達としてでもいいの。
ただ、一緒に居させて欲しい、それだけなの」
「本気で言っているの?」
「二度も殺そうとして都合がいいかもしれないけど。
お願い!」
「分かった、いいよ。
私も二度殺したし、ふふっ」
「うわ~、ありがとう、友情の証しにドーナツで乾杯しよ!」
私たちは、ドーナツを盃に見立てて乾杯してから、食べた。
「あっ、そうそう、私、気まぐれだから、また殺すかもしれないよ」
「ぜんぜん、いい、それで。
むしろ、その方が夜月らしくていい!
大好き!」




