ep.6 競馬場付近の焼き鳥屋
世羅は、週末の休みに阪急仁川駅付近にある老舗の焼き鳥屋を訪ねた。
店は、繁盛しており、焼き鳥を焼く煙といい匂いが鼻を刺す。
(うまそうな、いい匂いだな~)
世羅が店内に入ると、むっと蒸した空気の中、アルバイトらしき若い女子が声を掛けて来た。
「いらっしゃいませ、何名さまですか」
女子は、額に汗をかきながら、接客しているのだ。
額の汗が、流れ落ちる。
(舌で汗を受け止めてあげたい、はひっ、はひっ)
奥にいるタオルを頭に巻いた中年のおやじが言った。
「そいつは客じゃねえ。
世羅、裏に来な」
世羅は、中年のおやじに促され裏路地に入った。
「おやじさん、今日も繁盛してるねえ」
「今日は競馬があるんだ、忙しいから手短に頼むぞ」
「バイトの子は、女子大生か?」
「そうだが」
「何年生だ?」
「確か2回生とか言ってたな、それが?」
「好奇心で確認しただけだ」
「なんだそりゃ。
用件ってのは、猟奇殺人絡みなんだろ?」
「ほお、話が早くて助かるな。
何か情報を持っているか?」
「お前なあ、俺を情報屋か何かと勘違いしていないか?
ただの焼き鳥屋だぞ、俺は」
「またまた独自のネットワークを持っているのは知ってるぜ、人狼のおっちゃん」
「まず、はじめに言っておくが、俺は白だぞ」
「分かってるって。
一人ずつならともかく、13人纏めて一太刀は人狼では無理だ。
それに傷口も人狼の痕跡じゃない」
世羅はおやじに武庫川の13人惨殺、生瀬と小林の猟奇事件の現場写真をスマホで見せた。
「こいつはひでえな」
「で、どうだ?」
「猟奇殺人犯の口は調べたか?」
「ああ、そうだ。
唾液や血液とは異なる粘液が見つかっている。
でも、なんでそれを?」
「やはりな・・・
証拠はねえが、俺は魔女が絡んでいると思う。
少なくても生瀬と小林で臓器食われてたのは、魔女の生み出した使い魔の仕業に違いねえ。
あいつら、使い魔を通じて魔力を集めるのが常套手段だからな」
「小林の事件では、被害者は2名、女はめった刺しの上、臓器が吸い出されていた。
男は、頭部にハンマーか何かで叩かれているような形跡があった」
「魔女がいて、その魔女に対抗する誰かがいるってことになるか?
世羅、お前らじゃないんだよな」
「ああ、俺たちじゃない。
俺たちと魔女、加えて第三者がいることになる」
「第三者に心当たりは?」
「無えな、ちなみに惨殺された13人の口はどうだった?」
「ああ、そっちにも粘液があったはずだ・・・
13人も魔女の使い魔という訳か・・・」
「魔女に対抗する輩がいるとすると・・・
13人纏め切りをするなら、魔女なら可能だろうな。
大剣を持ったジャイアントとか、いやこのご時世に目立ちすぎるか。
呪霊の類の可能性もある。
あとは、それこそもうおとぎ話だが、バンパイアとか・・・」
「バンパイア・・・」
「いや、忘れてくれ。
今ある情報だけでは絞り切れねえ・・・」
「わかった、忙しいところ悪かったな、おやじさん。
何か分かったら連絡くれるか?」
「ああ、分かった。
そうだ、今度は客として来いよ、競馬の無い暇な日にな」
「オッケーそしてサンキュー」




