ep.5 夜の会合
放課後、世羅のスマホに神子上詩音からメッセージが入っていた。
『今夜PM11:00に音楽学校の下の河川敷でデートね♡』
『井草さん抜きですか?』
『3人でデート♪』
(つまらんが、まあ、そうだよな・・・)
世羅は、夜の11:00に音楽学校の下の河川敷に行くと、男女二人が既に来ていた。
「よお、日鍵、遅かったじゃないか。
ずいぶん待たされたぞ」
そう声を掛けて来たのは、井草直紀、短髪で精悍な顔立ちをした、40ミドルの中年男性だ。
「時間通りに来たんですがね」
「で、何で、こんな所に集合したんですか?
オフィスで集まればいいのに」
そう言ったのは、神子上詩音、短い黒髪で黒のスーツを着た20歳過ぎの若い女性だった。
(詩音さん、今日も綺麗だな。スーツ姿でも隠しきれない、胸のラインが素敵すぎ)
井草が応じる。
「好きだからだ」
「え?」
「この橋からの音楽学校、劇場、そして川の上を走る阪急電車の眺め。
俺は好きなんだよ、この場所が」
「はいはい、それで、話とは?」
「県警の情報を入手したところ、傷跡はみな水平に鋭利な刃のようなもので体を真っ二つにされている。
そして切断されていた位置だが、地面からほぼ同じ高さだった」
「言葉通り、一太刀で13人を、瞬時に切り殺したと?」
「おそらくは、そういうことだ。
円の中心に犯人がいて、1回転すると同時に13人を惨殺」
「人外のモノの仕業だとは、思っていましたが、そう考えて間違いありませんね」
「ああ、そうだな、それも相当の手練れモノだ。
それと川をさらったら刃がこぼれた日本刀が見つかった」
「辿ったんですよね?」
「ああ、西宮にある骨董屋から盗まれたものだが、監視カメラに犯人は映っていなかった」
「姿を消す・・・まさか魔女ですかね・・・?」
「おそらくは、その類だと俺は踏んでいる」
井草は、煙草に火をつけた。
「魔女だとしたら、犠牲が大きくなるかも・・・
井草さん」
「なんだ?」
「この辺りは、喫煙禁止エリアのはずです」
「おおっ、そうだったか、すまない」
井草は、携帯用灰皿でたばこを消した。
「それとな、生瀬町の猟奇殺人からはじまって、小林エリア近郊で起こった連続殺人、そして今回の武庫川の惨殺、全ては繋がっていると考えている」
「今回の件、本部には応援要請はしているんですか?」
「ああ、連絡済みだが、証拠が不足しているそうだ。
どの地区も人手不足で、今までこのエリアは比較的損害が少ない方だったしな。
県警と手を繋いでなんとかしろということだろう」
三人は、秘密組織・国際超常紛争機構・特務本部に所属する特殊マレフィクス対策課・日本支部のメンバーであり、このグループのリーダーを井草が務めている。
未解決事件や秘密裏に消される事件の背景に、同機構が絡む事件も少なくない。
マレフィクスとは、悪事を働くモノの意味で、人であろうと人外であろうと、世羅たちの守備範囲は広い。
そして特殊マレフィクス対策課のメンバーは異能の持ち主であるため、特に扱いづらい案件が、持ち込まれるのである。
井草が言う。
「各自、情報収集を進めてくれ。
それと、魔女と遭遇した場合、またはそのリスクが生じた場合は、一人で行動せず、まずは俺に連絡をすること、いいな?」
「はい」
世羅は考える。
(まずは、情報屋をあたってみるか・・・)
世羅は更に考える。
(スーツだからよりはっきり分かるが、詩音さん、やっぱり尻の形もナイスだな)




