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ep.17 赤い靴3

 私は西北(西宮北口)の時計台の下で泉を待っていた。


 泉が少し遅れて、やって来た。


「ごめん、夜月、遅くなって」


「ううん、たぶん私は1本前の電車、そんなに待ってないよ。

 それより行こう」


「うん」


 二人は、阪急電車に乗って、塚口で乗り換え、伊丹へと向かう。


 電車の中で、泉が訊く。


「トイレでのこと、ごめんね、私、突然、抱き着いて泣き出したりして」


「別に気にしていないから、謝る必要なんてないよ」


「ありがとう、ちょっと気恥しいね」


「そう?」


「うん、そう。

 でも、なんで誘ってくれたの?」


「私のほうこそ謝るべきかもしれないよ」


「え?」


「だって、ただの好奇心だもの」


「こ、好奇心・・・」


「そう好奇心」


「好奇心でもいい、誘ってくれてありがとう」



 私たちは、伊丹駅に着くと、泉のお勧めするハンバーガー店へと向かった。


 幸い、二人席が空いていて、私たちはテーブルに着くことが出来た。


 私は、パイン・エッグを、泉は、チーズはらべとかいうハンバーガーを頼んだ。


「ここのハンバーガー、大きいし具材が独特でしょ?」


「うん、面白いよね」


「パイン・エッグを選ぶなんて、夜月は、けっこう攻めるんだね」


 泉は、トイレでの様子とは打って変わって、少しはしゃいでいるような感じだ。


「そう?まあでも、無難より好奇心を選ぶのは確かだね」


「夜月は、美佳たち怖くないの?」


「なぜ?怖くないよ」


「普通、みんな、美佳たちに目を付けられるのが怖くて、私には関わろうとしないから・・・

 それなのに夜月は、」


「言ったでしょ、怖くもないし、それより好奇心があったから」


「好奇心って?何か面白そうなことがあるの?」


「色々とあるよ、こうやって、パイン・エッグにも出会えたし」


 がぶりと私はバーガーにかじりつく。


「綺麗な顔して大胆だな、夜月は・・・」


「モグモグ・・・」


「ねえ、夜月、私って、可愛くなくて、頭が悪くて、運動も出来なくて、性格もこんなだし、いいところが無いんだよね。

 そんな私と友達になってくれる?」


「いいよ、じゃあこれから、私と泉は友達だね」


「でも、私なんかで大丈夫かな、夜月と並んでいて恥ずかしくない?」


「つまらない心配だね。

 恥ずかしいと言えば、文香とかいう下衆とも並んで歩いているから何も問題ないよ」


「下衆って・・・」


「それはそうと、呪いの画鋲って知っている?」


「呪いの画鋲?」


 夜月は、カバンを漁ると、一つの画鋲を取り出した。


「これなんだけど」


「え?普通の画鋲じゃないの?」


「これは恐ろしい画鋲でね。

 憎んでいる人を一人決めて、その人のことを考えながら、画鋲にその人の名前を教えるの」


「そ、それで・・・」


「その後、自分で画鋲を踏むの」


「え、やだ、痛そう・・・」


「もちろん痛いよ。

 でも、憎んでいる相手にも足裏に画鋲が刺さるの」


「こ、怖い、でも噓でしょ?」


「嘘じゃないよ。

 この画鋲、友人になった記念に泉にあげるね」


「こ、こんなの受け取れないよ~」


 私がにこりと微笑むと、泉は視線をそらした。


「わかった、ありがとう。

 受け取るけど、使わないよ」


「うん、それがいいと思う」


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