表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/20

ep.16 赤い靴2

 私は、お手洗いの洗面場の鏡で髪の乱れを直していた。


(どうして・・・どうして・・・)


 奥のトイレから誰かの悲痛な声が聞こえる。


 私は構わず、髪の手入れをする。


 トイレから人が出て来る。


(あ、あのいじめられてた子、浜野泉だっけ・・・)


 私と泉は目が合った。


 突然、泉の目から涙が溢れて来た。


「あああ、うわ~ん・・・」


 泉は、いきなり見ず知らずの私に抱き着き、泣きじゃくりはじめた。


(こういう時、どうするのがいいのか、よく分からないけど・・・)


 私は、そっと抱きしめてあげた。


 泉は、さらに泣き出し、号泣しはじめた。


 赤の他人にすらすがってしまうほど、泉は限界だったのだ。



 泉の号泣がひと段落ついた時、私は言った。


「家はどこなの?」


「えっ?私の家?」


「そう」


「伊丹だけど・・・」


「伊丹でどこか美味しい店ってある?」


「美味しい店?」


「そう、パフェでも、ハンバーガーでも、なんでもいいのだけど」


「阪急伊丹駅の近くに、おっきいハンバーガーを出す店があるんだけど。

 そこが美味しいかな」


「今日の、放課後、時間ある?」


 泉は、何やら少し戸惑っているようだったが、思い切った様子で言った。


「うん、私、友達いないし・・・」


「じゃあ、そのハンバーガー屋に連れて行ってくれない」


「え?うん、いいよ」


「私は、雨宮夜月、夜月でいいよ」


「え、えっと、私は、浜野泉、じゃあ、私も泉って呼んでね」


「分かった、泉、放課後、校門で、待ち合わせでいい?」


「えっと、見られると迷惑かけちゃうかもしれないから、西北の時計台で、待ち合わせでどう?」


「わかった、じゃあ、終わり次第、西北の時計台で」



 放課後、美佳は、二人の仲間と話をしていた。


「ほんと、泉ってウザいよね」


「なんで、生きているんだろ、マジで」


「あの子、においも臭くない?」


「あはははっ」


「可愛くない、頭悪い、運動できない、友達いない、なんでこの学校入れたんだろうね?」


「ほんと、同じ学校だと思われると迷惑だよね」


「ん?泉帰るみたいだよ」


「じゃあ、ちょっと遊んであげよっか、友達いない子だから」


 美佳が泉に声を掛ける。


「泉、帰るよ」


 泉が申し訳なさそうに応じる。


「ごめんね、今日は、他の子と約束があるから、先に帰るね」


「え、なに、せっかく私らが声かけてあげているのに?」


「ごめんね」


 泉は、目をつぶるようにして、教室から走り去った。


「何あれ?なんか生意気じゃない?」


「本当、すごくウザい」


 美佳が、冷たく言い放った。


「なんか、勘違いしているね、あの子」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ