ep.15 赤い靴1
夜月と文香、静は、移動教室のため廊下を歩いていた。
静が嬉しそうに言う。
「ねえ、文香、音楽楽しみだね」
「そう?私はめんどくさいけどな~。
それより、早く昼休来ないかな~」
「もう、文香はそんなのばっかし。
夜月は、歌がうまいし、楽しみだよね?」
「うん、そうね、嫌いじゃないよ」
私たちが、歩いていると廊下で、上級生の4人が何かをしている。
「ほら、泉、私たちの教科書運んでね」
「うん、分かった」
泉は、他の3人の教科書も持って歩き始める。
泉が言う。
「美佳ちゃん、理科の実験って楽しいよね」
「そう?あんなの楽しいかな、ねえ?」
「楽しくないよ、別に」
泉が呟くように言う。
「そ、そうだよね、楽しくないよね」
「それより泉、とろとろ歩くとおいていくよ」
「あっ、待って」
泉は慌てて小走りになると、教科書を落とす。
美佳がイラついたように叫ぶ。
「あっ、私の教科書を落とした!」
「ほんと、トロイ!」
「なんで泉ってそんなにグズなの。
見ていてイライラする」
「ご、ごめん、あはは」
静がうつむき加減になり、小声で言う。
「夜月、文香、早く行こう」
私も文香も興味もないので、そのまま横を通り過ぎる。
昼休になった。
私たちは、食堂に直行し、日替わりの生姜焼き定食を持って、空いている席に座った。
「いただきます」
私たちは食事を始めた。
「いや~生姜焼きはご飯が進みますな~」
「文香はいつもご飯が進んでいるじゃない、ねえ、夜月」
「そうね、呆れるくらいに」
「育ち盛りなんだから、食べてなんぼじゃない?」
「食べろ、食べろ、そして大きくなれ、あははっ」
私たちが食事をしていると、隣に、例の4人組が座った。
リーダー各であろう、白金美佳が言う。
「さ、冷めないうちに食べましょう」
「そうだね」
「いただきます」
美佳が言う。
「あっ、そうだ、泉、生姜焼きには、ソースが合うんだよ」
そう言うとテーブルに置いてあった、ソースをぼたぼたと大量に泉の生姜焼きにかけた。
「そうだ、私のカレーを掛けてあげるね!」
「塩、コショウが足りないと美味しくないよね」
生姜焼きに、カレーと大量の塩コショウが追加された。
美佳が言う。
「ほら、よく混ぜないと美味しくないよ」
ぐちゃぐちゃと音を立てて、美佳は、生姜焼きをかき混ぜる。
「はい、召し上がれ」
泉は、つくった笑みを浮かべて言う。
「あ、ありがとう」
「早く、食べなよ!」
泉は、おそるおそる、生姜焼きを口にする、塩っ辛くて気持ち悪い味がした。
一瞬つらそうな表情をする泉が、三人は可笑しくて仕方なかった。
「どう?おいしいでしょう?」
「う、うん、おいしい」
「美味しいんだから、残さず食べてね」
「そうだよ、私のカレーだって入れてあげたんだから!」
「うわっ、気持ち悪い」
泉は、辛そうに、でも無理して定食を食べきった。
「今日も、泉定食完食です!」
「すごい、あんなのよく食べられるね」
「本当に気持ち悪い~」
美佳が冷たい目で言う。
「でも、泉は美味しかったよね?」
「え、う、うん、美味しかった・・・」
美佳たちは、4人は、食事を終えると席を立って行った。
静が言う。
「話には聞いていたけど、すごく可哀そう・・・」
「話って何?何?」
「さっきの浜野泉さんっていう子なんだけど、同じクラスの白金美佳さん達にずっといじめられているんだって。
私の一つ上の友達が彼女たちの同級生なんだけど、トイレで水かけられたり、机に花瓶が置かれていたり、けっこうひどいんだって」
「へえ、そうなんだ」
「白金美佳さんって、美人で陸上部のエースで、頭もいいらしいのに、どうしてあんな事するのかな?」
「さあ」
私も文香も正直、興味が無かった。




