表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/19

ep.13 逃げ出した男

 神子上詩音は、神戸の元町商店街の近くにオフィス兼住居を構えている。


 JR元町駅から北に少し行った中華料理店が、詩音の行きつけの店でもあった。


「いや~、ここのエビチリ定食、味もボリュームも満点なのよね」


 食事を終えた詩音は、満足げにつぶやいたのであった。


 詩音が、オフィスに戻ろうとしていると携帯電話が鳴った。


「はい、神子上です」


「井草だ、話せるか?」


「はい、大丈夫です」


「使い魔にされた御影の大学生だが、警察病院の医師と看護師を襲って逃走を図った。

 今、警察とともに捜査中なのだが、カメラの状況から、甲子園方面に向かったと推測される」


「甲子園、もしかすると武庫川高等学園ですか?」


「その可能性が高い、そのつもりで動いて欲しい」


「はい、分かりました」


「それと、犯人は、口から触手を出し、医師の顔を包み込んで、殺害している。

 医師は、頭蓋骨まで溶かされた状態だ」


「触手に強酸のような粘液が付いているということですね」


「そういうことだ」


「看護師の方は?」


「看護師は、酸で顔がただれて重症だが、命に別状は無い。

 それと犯人を手錠で拘束していたのだが、同じく酸のようなもので溶かされたと思われる」


「強力ですね。

 それはやっかい・・・」




 武庫川高等学園で、小金井春香は、今日の授業を終えて家に帰る準備をした。


「じゃあ、また、明日」


「ああ、春香、また明日ね。


 春香は、靴箱で靴を履き替え、学園から出る。


 電車に乗るため、最寄りの駅に向かって歩いていると、知らない男が声を掛けて来た。


「やあ、小金井春香さんだね?」


「えっ誰?」


「俺のこと覚えているよね?」


「だ、誰なの?」


 春香は、恐怖した、男のにらみつける目は、血走り、尋常ではない。

 だが、この男のことを春香は知らないのだ。


「だ、誰かと人違いしていませんか?

 わ、私はあなたのこと知らないですよ」


 男はワナワナと震えて言った。


「ふざけるな、そうか、たぶらかした男が多すぎてそう言うのだな?

 じゃあ、これなら分かるだろ?」


 男は、口から触手をはやし始めた。


「きゃー!」


 春香は、逃げ出そうとしたが、男が手を掴んだ。


 グッと握力が入ると、痛くて手が動かせない。


「痛い、痛い・・・」


「君に化け物にされてね、俺の人生はどん底なのだよ。

 君にもこのどん底人生付き合ってもらうよ」


「ひぃーっ!」


 春香は、恐怖で涙があふれ出る。


「そこまでだ!手を挙げろ」


 男の声がした。


「警察だ、手をあげろ、彼女を早く離せ!」


「刑事か・・・」


 男の触手が瞬時に伸び、刑事の顔を包んだ。


「うおあっ!」


 刑事は触手を外そうとするが、外れず、粘液で手がただれて、皮膚が垂れ下がる。


 刑事は、しばらくもがいていたが、ひざまずき、倒れこんだ。


 男が触手を回収すると、刑事の頭は、ぶすぶすと沸き立っており、ずるりと肉が剥け、頭蓋骨が現れる。


 男が春香に向き直り、微笑んだ。


「君がくれた力だ。

 お礼に君の全身を舐めて、舐めて、溶かしつくしてあげるよ」


 春香は、抵抗の意思をくじかれた。


 男は、春香を引っ張り、刑事が乗っていたらしき車に連れ込むと、アクセルを踏んだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ