【聖女様の結婚準備・王都編 婚家の事情】⑥
見つけて頂きありがとうございます
童話の様な恋物語が不穏な要素を呈してきました。
マティちゃんの変態化が加速しております
サクッとロマンス目指していた筈なのにバトルの予感がします アワアワ…。
今回は猫と甘々でバトルも懺悔もありませんので
安心してお楽しみください
ep8 聖女様お披露目の変 さあ!当ててみろ(笑) ②
ウインズ皇国の一大産業が神殿とダンジョンと聖女。
農産物は時給自足で地産地消を旨とし、大した産業は無かったが風光明媚な観光地で有名な国である。
この国の国教会にある像は
第一女神がケレスティア(豊穣神、大地の女神、冥界の女神)
第二女神がアルマリノ、(黄金の羊を伴う女神)
第三男神がクヌム (羊の神)
国旗、紋章は羊とクローバー。
元々この国は羊の女神が人間であった時に住んでいた場所として有名な聖地、皇国の始祖は羊の女神の血筋であると、公式の歴史書には記されている。
皇国の歴史は比較的新しく、隣国が女神の怒りにふれ、砂漠化したことから始まる。
元々遊牧の民が暮らす国無き土地であったが、女神の怒りから逃れた一部の人々がこの地に根を下ろし、そこからこの国は始まる。
女神の血筋である皇族、その皇族の血の入った、または国に大きな貢献があった公爵、侯爵家の他は三代までに貴族としての功績を残して陞爵した伯爵、子爵、平民から皇国に対しての功績を認められ身分を与えられる男爵、準男爵、騎士の身分を得て成る騎士爵などがある。
聖女の家は西の砂漠の辺境でアプン族として準男爵相当の地位と近隣諸国に名高い最強民族たる一族をまとめた一大傭兵団を持ち、第三皇子が西の辺境伯に臣籍降下し、聖女と結婚した際には辺境伯寄子としてアブン族は子爵家に陞爵することが決まっている。
因みに元いた辺境伯は王都近くに領地替えとなり侯爵を名乗る事となる。
「ということで聖女お披露目の際にはアブン族には子爵位と土地が与えられ、聖女は国所属として要請のあった教会での奉仕活動をお願いすることになると、発表される」
「…懲罰? 」
不信感満載です。
「いや、なんで? 」
俺とマティちゃんの不信感に心当たりがなくて悲しいという顔の兄上。
「いやいやいや、第三王子の嫁だから教会所属じゃなく国所属の派遣聖女として働いてくださいということですよ」
兄上はこともなく言うけど…教会で奉仕っていったら喧嘩した学生が懲罰にやらさられる市内の美化活動とか教会で奉仕とかでは?
「俺は町中でケンカしたこともないし 因縁つけたりしたこともないぞ? 」
不服そうなマティちゃん ぶーたれてます。
確かに…マティちゃんが町中でそんなことしたら奉仕活動どころではなく普通に入牢ですよ(笑)
と言うか物理で……。
「トニー坊や、俺は歩く凶器じゃないぞ? 」
ニコニコ安全性を主張するが信じて貰えてないと凹むマティちゃん。
「うーん、ちゃんとお給料出しますよ 奉仕ではなくお勤め? 」
「派遣…」
時給? 日給? 出来高制?
「おつとめごくろーさんって並んで言われるやつ? 」
俺の横で12歳の少女が敬礼する。
「それは刑期を終えて刑務所から出所するときの挨拶……」
少女の父親が向かい側で頭を抱えている。
いつもどおりくちなしの匂いが充満する俺の部屋の応接室には皇太子の兄とマティちゃん、マティちゃんの兄上夫婦とその娘さんがいる。
初夏の爽やかな風が窓辺のカーテンをゆらす。
なごやかな家族団らん……?。
…が、俺のココロは凹んでいた。
このマティちゃんの姪っ子、俺と大して身長変わらない…? 何故俺とマティちゃんの間にいる?
おじさん(マティちゃん)に甘えたい? それは12歳の少女という年齢的にはギリギリだが身長的にはアウト。
てか、12歳の子供と同じ身長のオレ!
凹む。
「お前、兄貴と義姉の間にいけよ」
マティちゃんがソファにふんぞり返ってご機嫌斜め、何処の組織の幹部だお前は! 俺との接触を阻まれ、姪っ子ちゃんが俺の首にかぶりついているからか、嫉妬?
はは、俺、女の子にかぶりつかれている…初めて、女の子やわらかい…。
はっ! 雑念を抱いちゃいけない12歳、児童、児童…。
というか重い…重いよこの娘、中身スカスカの俺と違って鍛えてる? 筋肉量多そうだよう…タスケテ。
あの後、お昼寝からスッキリ目覚めたら風呂にぶち込まれのお披露目の支度されーので、今 お披露目前のまったり両家で打ち合わせ中。
両親の皇王、皇妃は流石に忙しくて別行動。
式典用の白い衣装は皺やシミが出来ると不味いので上着脱いでのシャツとスラックス姿、兄上も同じだがマティちゃんのお兄様と奥様、完全装備の式典用礼装姿 軍人は軍服が礼服なので黒のゴッツイ礼服。
娘ちゃんはちょっと豪華なディドレス この後式典と同時刻に始まる子供達用のお茶会に参戦。
子供も大変。
参加者で遠方からいらしたお客様の御子息御令嬢の為のお茶会。
聖女様歓迎お茶会、聖女様不在で。
だってこんなデッカイのが聖女って、子供泣いちゃうよ(笑)
マティちゃんのお兄さんはマティちゃんに似ているが巌のような筋肉量! ムッキムキの覇王だ マティちゃんと初めて挨拶した時と同じ作りのようで一層厳めしい黒の軍服。
マティちゃんが小さく見える(笑)
奥様も旦那様に合わせた軍服 だけど女性用で上半身は軍服風だが下は膨らせたドレスのスカート、俺が舞踏会で着る服と同じような作りだがスカートのせいで大分雰囲気が柔らかい。
大きい一族だこいつら…流石人類最強部族、ドラゴン片手でひねりつぶすだけある。
「ウチの部族だって流石にドラゴン片手でひねりつぶせるヤツいないよ」
ニヤニヤするマティちゃん。
ハッ! 心を読まれた お前はなんかの能力者か。
「全部顔に出てるよ」と、によによする兄上。
なんということだ!
口の辺りを両手で覆って隠そうとするが至近距離で娘ちゃんがにっこにこで覗き込んでくる。
「義姉さま、可愛い」にっこにこーの上機嫌。
「こんな素敵な義姉さまが出来るなんて自慢していいわよね? 」
大分テンションが高い。
いや…俺、男なんすけど。
「トニー坊やは俺の旦那様だよ」
マティちゃんがニヤニヤ顔で言い切る。
何故か新婦側の人間がギョッとしてる……兄上? 話通してますか?
「俺が嫁」
マティちゃん自分を指さす、それに合わせて兄夫婦と娘ちゃんがマティちゃんを注視 マティちゃん、俺を指さす。
「俺の可愛い旦那様」
それに合わせて部屋にいた全員が俺を注視。
ははは、照れるなぁ…。
じゃねえよ!
俺の肩の本性の小鳥がタイミング良くちゃぶ台返してる。
慣れて来たな小鳥(笑)
「…オジサマ…」
今度は娘ちゃんが両手で口元を隠す。
俺の荒ぶる肩のり本性がちゃぶ台ひっくり返した勢いでコケた。
俺に直接言ってはイケナイ単語ですね、12歳で学園中等部入学なら、高等部の先輩の年齢ですよ。
表面ニッコニコ対応の俺は愚考する。
先輩飛び越えてオジサマ…。
オジサマではないから!
4歳しか違わないから!
マティちゃんと8歳違うから!
女子とか児童に間違えられることはあったけど…。
オジサマ!!!
喜んでいいのか悲しんでいいのかワカラナイヨ。
ココロでは魂抜けた間抜け顔の俺、俺の本性の荒ぶる小鳥までいつも被っている皇子猫の上で仰向けにころがって泣いている ダメージデカくて起き上がれないらしい(イメージ)。
見かねたマティちゃんが仕方ないとソファをぐるりと回って娘ちゃんのいないほうの俺の隣に座りなおした。
「12の小娘からしたら自分より上の男性は全員〈オジサマ〉だ」
元気づけようとしているのか、俺の肩に手を廻して耳もとでわざとか、イケボで囁いてきた。
うざっ!
にょーっと猫が嫌がるように首を放そうとするが、ガッシリ腰から肩から抱きしめられていて離せない。
うきーー!
ひょいと膝に乗せられる
堅いわ!
座り心地悪いわ!
「羊たちが視ている」
こそっと俺にだけ聞こえるように耳もとで呟くマティちゃん。
ヤることがいちいちエロいよ! お前は…。
と思いつつ顔をマティちゃんに顔を向けたまま目だけで部屋の四隅を伺う。
二足歩行の羊が四匹 四隅に一匹づつ。
しかも何故か蝶ネクタイで二足歩行している。
俺が視認すると胸に片手を当て斜め45度のおじきを決めた。
骨格的にそんなポーズムリな筈だが、なんで出来るのか羊!
無理してないか? それとも着ぐるみか!
そんな羊が四匹?
なんで? と、嫌がる猫のポーズのまま、マティちゃんに無言で問いただす。
無駄に見つめあってしまった。
「羊は女神アルマリノの眷属でアルマリノは安眠を約束する女神でもある」
ニコニコしながら俺が嫌がって伸ばした腕を片方ずつそっと外すと自分の首に巻き付けている。
ちょっと待て!
これじゃあ俺が甘えてるみたいだ!
誰か助けて! と回りを見ると奥様と娘様が並んでによによ、こちらを観察している。
「お前が女に執着するのは始めて見たな、部隊の奴らの酒の肴にしてやるよ」
いや、義兄様、俺 男。
「幸せになれよ、アントニオ」
ハンカチで目元を抑えて嬉しげな兄上。
兄上の得意な小芝居だ!
あ~に~う~え~ぇ~!
俺の怨嗟の声は届かず、後は若いものに任せよう、によによ な話し合いが両家の兄同士でまとまり、それぞれ自分達の控えの間に引き上げていく。
次会う時は式典会場。
あーと俺、どう入場するのか聞いてないので打ち合わせをしたいのだが。
キョロキョロ見回す。
何だか皆、俺抜きで話勧めてません?
マティちゃんが俺をヒザの上に乗せたままぎゅうぎゅう抱きしめてくる。
抱き枕扱い。
微笑ましげにお茶とお菓子のお替りを用意する侍女さん達。
俺、もうあきらめの心境で猫のようにぐでーんと反り返ってみる。
距離を詰めたいなら詰めて見ろ!
マティちゃんは俺の匂いを嗅ぎたいのかぐでーんと反り返った俺の背中に手を回してシャキッとさせようとするが甘いよ。
ぐでーん ぐよーん…。
「身体柔らかいなトニー坊や、液体か!」
猫は液体です(笑)ぐでーん。
細やかな反抗です。
「御出座の衣装を用意する為に少し席を外します」
侍女長が気を利かせてしまった。
いちゃツイてるわけではないのです! 違うのです!
「さて、式次第、説明していいか? 」マティちゃんの顔がマジになった。
しかし、ヒザに乗せて抱きしめたまま?
はーなーせーぇ ちゃんと座らせろー!
四隅の羊たちもなんだかニヨニヨしている。
羊、滅茶苦茶気になるのですが…。
「なんでマティちゃんが説明するんだよ? こういう説明は式典を管理している儀典局長とかが出て来る筈」
何度か練習したが当日変わる仕様もあるだろうから主催者側は当日も打ち合わせを密にしないとならない 報、連、相、大事。
なのに俺への説明は?
もやもやする ないがしろにされているみたいだ。
俺がいつか眠りから覚めなくなると、気にして、気を使って、疲れて…。
手を放された気がした。
「さっきトニー君が寝ている間に皇太子殿下と打ち合わせをしたから大丈夫、あと羊の説明もしたかった」
羊、そうだ なんで羊?
「羊は女神からの借り物」
めえええと、返事をする羊。
え? 女神羊のレンタル? いいな、それ俺も!
「君の眠りに介入してくる無粋な輩を把握、守る護衛の羊だ」
女神の羊、警護隊や護衛騎士の仕事もするのか。
羊また、んめぇぇぇえと敬礼。
大分緩いけど。
「俺の眠りに介入してくるって…」
それは…。
「女神の考えだと〈ひとならざるもの〉三日も眠らせるなんて薬や魔術を使わなければ出来ないがその兆候はなかった」
そんなこと神にしかできない。
「……」
「なのでトニー坊やに四六時中羊の護衛をつけることにした」
「えっと…」
「俺もなるべく一緒にいる」
羊の護衛…俺の眠りに介入してくる。
「俺は神様に……?」
絶望しかない。
ああ、それでは手を離されても仕方ない。
心が、小さな塊になっていく。
マティちゃんが険しい顔をしている。
「あのさ…聞いていいかな? 」
「何?」
険しい顔をしているから話を聞くのが躊躇われたが、俺が眼を合わせて話かけるとマティちゃんは嬉しそうに笑った。
俺と一緒にいるといつも楽しそうにしている。
ごめん 俺、今真っ黒だ…。
俺の腰をがっちりホールドして逃がさない体制が怖いけどちゃんと確認しないといけない。
「この結婚は政略だよな、政略で結婚する俺が役に立たない子供でいいのか? 」
聖女の眼が見開かれる。
この瞳の赤は綺麗だと…油断していたら頬を摘まんで引っ張られた。
それも両方!
「いててええ」
「毎日スッポンポポンの血を飲め」
げーー!
「ワインボトル一本分あるから毎日飲ませに行ってやる」
ぎゃーーー!
「筋トレしろ! 鍛えろ、俺が手伝ってやる」
ひーーー脳筋!
筋トレすると丈夫になるのか?
頬を摘まんでいた手を放すと今度は両手の掌で挟んでつぶしにかかった。
ぐーりぐーり!
「顔腫れるからやめろ! 」
婚約者をお披露目前に頬を腫らせるのはまずいって!
「聖女なめんなよ」
頬が、暖かいものに覆われる。
マティちゃんの掌の熱かと思ったがそれよりじんわり熱い。
じんじんしていた頬がスッキリする。
「ほれ」
何処かから鏡を出したマティちゃん、俺の顔が写ってる。
「聖女の癒しを頬っぺた摘まんだ位で使うなよ」
というか目の前の黒いのに癒しという言葉が似合わねー。
「役に立たないとかいうなよ」
頬を両手で挟んで俺の眼を覗き込むマティちゃん。
「今付き合ってる女の子とか好きな子とかいないから安心して婿に来いよ」
安心って何を。
「トニー坊やは面白いし一緒にいて楽しいから飽きられないよう努力する」
「よく聞く面白れー女って奴か」
なんだソレ?と笑うマティちゃん。
学園でなんでその娘と付き合うようになったって話題になる時、必ず出る理由。
そう言うと変な顔をされた。
俺が言ったんじゃねえ。
ちょっと考えるマティちゃん。
「相棒かな? 」
?
「相棒にしたら人生楽しそう、一緒に黄金の麦畑を走ってくれそう」
いや、走れないと思う、体力ない。
「走れなかったら俺が抱き上げてやるよ」
「それはいや」
「だったら転がるか?」
「一回転で巻きがとれる」
朝の回転で自覚した、体力ないと転がれないと
「だったら俺が丸めて押してやる」
可笑しそうに笑うマティちゃんは俺を完全フォールドで抱きしめた。
丸めて押すって、ずいぶんな扱いだと思うが…。
それもいいかなと、マティちゃんの腕の中で考える。
羊がによによしてる。
マティちゃんの腕の中はちょっと暑苦しい。
羊モコモコで可愛い! とか迂闊に近寄ると頭突きされるそうです。
荒野に君臨する覇王羊はもう何年も毛刈りを許さなかった…アイツが現れるまで。
次回、覇王羊は毛刈りの夢を見るのか?
いや、童話の様な恋物語は何処いった?




