【聖女様の結婚準備・王都編 婚家の事情】⑤
お読み頂きありがとうございます
足フェチ回です(笑)
変態って怖いっすよね、聖女の変態発言ありますのでおきおつけ下さい
お楽しみ頂けるると幸いです
羊ももふもふです
ep7 聖女様お披露目の変 さあ!当ててみろ(笑)①
「今、お呼びしたのは他でもありません」
めっちゃにこやかな顔してる俺、でも額に青筋立ってることでしょう。
怒です。
肩に俺の怒れる小鳥の本性が2羽、鳩胸膨らませて待機しております。
前面に初対面の時より豪華な刺繍飾り、肩掛けやら組紐やら刺繍やら工藝の遂を集めた芸術品で飾られている軍服? マッティア・アブン・ダンティ氏 自称24歳。
そこいらの宝石より高そうな刺繍。
パーティ用の装備なのでしょうか、しかし今は正座待機で項垂れてます。
俺が正座させました。
埃やシワ位自分で払えや。
留め具の止め方がわかるマッティア氏の侍女が俺のベストと上着の留め具をパチンパチンと止めていきます。
見てると結構簡単に止めていきます。
ふうん、そういう作りなんだ。
おっと、俺の目の前で犬耳垂れた(幻影)クロイノ忘れてました。
「あの靴をご覧ください」
俺は掌で衣装ケースに入った飾り物の下に置かれた件のヒール高5㎝はあるブーツを指し示した。
「あのような凶器、私が履いて3歩も歩けるとお思いでしょうか?」
ぽかんとするマティちゃん、やはりわかっていないようです。
「女性のヒールは文字通り血の滲む訓練が必要なのです」
うんうんとうなずく侍女たち、彼女たちもヒールの高い靴でかかとや指先を痛めた経験者でしょうか。
昔、妹に着せ替え人形にされた時、ヒールの靴で逃げようとして足、折りました。
今、舞踏会会場て足プルプルさせる俺が履いたら両足太ももから複雑骨折する自信があります。
さっきリハビリしながら素早く移動出来る方法を検証していたばかりというのに(名付けてダンゴムシ走法)。
コイツの頭、あのブーツで踏んでやりたい位怒ってます。
女子のヒール舐めんなよ!
「大丈夫! 俺が抱きかかえて移動してやるから」
顔を上げ、筋肉で威圧してきた初対面とは全く違う好青年顔を前面にを押し出した笑顔で言うセリフが嘘くさく存じます。
踏むか!
5センチヒールで目潰しするか!
しかし俺の考えを読んだらしい侍女が一言、
「ご褒美になりますよ? 」
と、真顔で呟きました、やめます。
キモチワルイ!
俺、人生で初めて位に嫌そうな顔してる筈ですけど、目の前のコイツはなんで嬉しそうなんでしょう?
大事なことなので二回言います。
フザケンナヨ! キモいわ。
「この服も女性向けのデザインですね? 」
にこやかに尋ねる俺。
刺繍の入った肩掛けの長さを調節していた新人侍女がビクウっとしてます ごめんね。 キミノセイデハナイヨと、小さく心のなかで謝る。
そしてマティちゃん。
俺の額の青筋を見よ! 激おこです。
「兄上の子供には大絶賛の一品だぞ? 城に飾ってあったトニー坊やの肖像画を見て、きっと義姉様に似合うと…レースの裾飾りは娘ちゃんの肝入りの〈翻ると裾のレース越しの足がエロくて素敵に見える〉と…」
満面の笑顔でまくし立てるマティちゃん。
踏みました。
ええ、踏みましたとも。
片足を蹴りのようにぶん回し、勢いつけた足の裏でマティちゃんの顔面を踏みました。
凶行に至った理由:我慢できませんでした 以上。
しかしマティちゃん流石変態!
ノーダメージか!
俺の靴下履いただけの素足に近い状態では攻撃力が足りなかったのか、両手で優しく包んでひょいと顔から避ける。
「足ちっさいなあ、ブーツサイズ合うか? 詰め物いるか?」
ぎゃーー! 手を離せぇ。
俺が悲鳴をあげる寸前、剛腕侍女が手刀で俺の足を持つマティちゃんの手をぶった切った、と護衛騎士が俺の両側から脇を挟んで俺自身をぐるりと一回転させマティちゃんの手の届かない場所へ着地させる。
おおう! 回転早すぎて認識できなかった、護衛騎士とのリハビリの成果が今ここに!
拍手!
と、兄上が衝立の陰から覗いて拍手していた。
「凄いなチームアントニオ、軽技の大道芸で喰っていけそうだ」
兄上! ここに変態がいます!
「おお、似合うな 戦乙女みたいだ! 」
俺の指し示す方向、よく見ろよ!
ゴッ…と俺の肩の上の本性の小鳥がちゃぶ台ひっくりかえしたよ、兄上に。
「嫌だなぁ兄上、私は男ですよ! 」
にこやかに睨む。
くっそー兄上は役に立たない。
今、額に青筋が3本位立っていそうな気がする、一本は兄上のせいだが細かいことは気にしない〈流石皇王の器!〉と呼ばれている皇太子殿下…許さん。
「聖女の貴族達への公式なお披露目が白の対の意匠の儀礼服で、夜の婚約発表ご挨拶パーティーが黒のお揃いなら立派なアチチな番に見えるだろう」
今、聴きづてならない単語が…番ってなんすか?
「お披露目も婚約披露も常に一緒にいられる」
満面の笑みを振りまく兄上。
兄上もイケメンですのでモテます、※注 妻帯者ですよ皆さん。
聖女と皇子とアッチッチって…兄上…。
兄上と聖女が親指立ててサムズアップしている。
友情? 嫁 小姑?
同い年のせいか気が合うらしい、この二人。
「これなら迂闊にちょっかいかけて自分の所の娘や息子を愛妾にとか考えないだろう」
先日あった昼の茶会やなんやらで何か仕掛けられたのだろうか?
兄上のモットー、〈剣を向けてくるなら返り討ちにあう覚悟があるんだろうなぁ〉ニヤリと兄上が嗤う。
…訂正、腹黒だった。
「足の臭いかがせる位仲良くなったなら僥倖だ」
兄! 何処から見てた、何故止めない!
「トニー坊や、足もいい匂いするなあ」(笑)
サブいぼ! サブいぼ立った!
「その発言はお二人とも世間一般的には変態の言ですが? 」
剛腕侍女の無表情での発言に兄上は固まった。
言ってて気がついてなかった?
マティちゃんはノーダメージ、流石マティちゃん呼びにも動じないだけある。
阿呆か!
いや、これが大人の貫禄というやつか…ナルホド。
「多分違うと存じます」
侍女長、心を読んだかツッコミが冴えてる!
兄上と変態聖女を衝立の向こうに追いやって作業再開。
「既製品ですがヒールの低いブーツをご用意しました、こちらでお試しください」
さっとブーツを箱から出してくれる侍女長。
「ありがとう」侍女長、超助かります。
ブーツを受け取った侍女が俺の足元に置くと待機していたもう一人の侍女が椅子を用意してくれた。
椅子に座ってちょっと目線が下になってしまったが侍女長を見上げる。
齢40過ぎ位だろうか、母上より少し年上、仕事の邪魔にならないよう結い上げた金髪と細めのフレームの眼鏡がきつそうに見えるが、皇子のわがままをぴしりと断れるけど頭を内緒で撫でてくれる柔軟さを持ちあわせる優しい美人さんです。
子供の頃、頭撫でてくれた時より年とったよな。
ギン! と睨まれる、心読めるんですか。
でもまだ綺麗な侍女長にあと何回お礼が言えるだろう。
睨まれても目があってちょっとうるっとしてしまった。
侍女長も手伝って侍女とふたりがかりでブーツを履かせてもらう。
着付け終わって全身確認、背中に流した飾りの長さや位置を確認をしながら侍女長がぽつりとつぶやいた。
「…娘を嫁に出すようです」
俺、娘じゃないけど…切なく呟いた侍女長の手をとる。
「じゃあ子供として抱きしめていいかな? 」
娘じゃなくて息子だけど(笑)
今の姿じゃ男の娘、一度で二度おいしいよ?
侍女長がためらうように控えめに手を広げたのでこちら、遠慮なく抱きしめる。
俺の年だと女性を抱きしめるのは不謹慎行為だが、親子の気持ちだから許してほしい。 なんというか…お母さんと子供の身長差…なんで?
侍女長のぬくもりで子供の頃を思い出した。
だって赤ん坊の頃からずっと世話してもらっていた。
侍女長と別れる時は俺が儚くなった時だと思っていた。
俺、頑張って育ったよ。
も一度侍女長の耳元で囁く。
「今までありがとう」
まだ向こうに行くのに半年お世話になるけど。
侍女達、及びマティちゃんの連れて来た侍女まで号泣。
抱擁大会に発展してしまった…(笑)
マティちゃんの侍女はこれからお世話になるんですけど…。
侍女長の後ろの衝立の端からマティちゃんと兄上が覗いている。
何故か羨ましそう?
いい雰囲気が台無しだと青筋立てても気にしないで覗いてくる。
オマケに俺も抱きしめてとジェスチャーで要求してくるが、お前はダメだ。
兄上も羨ましそう…兄上?
他の荷物運んで待機していた侍女達とも抱擁大会になってしまったが兄上は急かすことなく待っていてくれた。 仕方ない兄上もハグしますか?
というか。
俺にばかり構ってないで自分と嫁の支度しろよ。
マティちゃんはちょっとぶーたれている 子供か!
ゴテゴテした襟のレースと合わせのレースは流石合わないので取って貰い(脱着式だった!)少し時間がかかったが、二人並んで兄上と侍女長に出来を確認して貰う。
「うん、刺繍の肩掛けとか飾りが煌びやかでパーティに合うね、ドレスじゃないけどアントニオは母上似の女顔だし髪型をもっと華やかにすれば女神にも見えるな」
この兄は何を言っているんだ?
まさかとは思うが…?
「皇族の子供は顔見せしないし、パーティも18歳からだから多くの貴族はお前の存在は知っていてもアントニオ皇子の顔を知らない。」
ついと横のトルソーを見る。
白の儀礼服は刺繍飾りが縫い付けられ、差し色の布は互いの眼の色、刺繍は聖女の紋だろうか見慣れない紋でお揃いの意匠だった。
…これ着て並んだら俺が聖女になるのだろうか…。
くっそー倒れてもいいかな?
「兄上、私は学園に通っていましたから、そこから皇子だとバレますよ」
顔も母上似だし。
乾いた嗤いしかない。
「単位ギリギリしか通学してないだろ? 」
でも貴族子弟の友達いますよ!
「お友達はお披露目にもパーティにも来られない、年齢的にお前の学園の知り合いは余程でなければ来ないぞ」
兄上、聖女のイメージアップに俺を使おうとしているのか。
もしくは身代わり。
俺を聖女にしてどうすんだよ! こんなバッタモンじゃ女神怒るよ?
確かにこの脳筋のマックロクロスケでは聖女のイメージじゃないけど。
兄上、俺にウインクしてくる。
「イメージ戦略も大事なんだよ? アントニオも領地経営をしなきゃならないんだから覚えておいて損はない」
使えるものは弟でも使えと…了解です兄上、俺も使えるものなら兄上でも使いますよ。
覚えてろよ兄貴。
そんな話に関係なくすいっと俺の髪を漉いてくる奴がいた。
こいつだ。
「可愛いなあ」
話聞けよ!
マティちゃんが俺を見てデレっと相貌を崩してる。
一筋、髪を握りしめてキスしてきた。
髪の毛に! マジかよ……。
キモ悪さに一歩下がったトコロで、残念そうにしながら小物の箱の山から細長い箱を引っ張りだすマティちゃん。
俺の初めての剣!
一歩下がったのに2歩飛んで近づいてしまった俺。
嬉しそうな顔してるマティちゃん。
くっそー釣られてしまった。
チームアントニオが残念な子を見るように俺を見ている。
うるせーよ!
ニヤニヤしたマティちゃんが両手で剣を俺に渡す。
…刀身見たい。
「此処で抜くなよ 人が多すぎる」
分かってるよ!
俺が両手で剣を捧げる様に持っていると、屈んでウエストで交差するベルトに剣帯を取り付け、いきなり腰に手をかけられて固まった俺から鞘ごと剣を引き抜き、剣帯に差して位置を調整する。
両手を握られ柄と剣帯に置かれ、握った感触で剣を抜きやすい位置の調整。
手、握られてる。
大きい、暖かい掌。
マティちゃんにピッタリくっつかれると筋肉のカタチが、生身の人間の体温で迫ってくる 黒髪からいい匂いがしてる。
ちょっとドキドキする。
こんなに近くで人の体温を感じるのは久しぶり。
ああ、こいつと結婚するのか。
「この剣帯、普段使いするなら短剣だけでも下げられるからな、護身用に対の短剣も用意したからソレを下げるといい」
剣とお揃いの短剣!
テンション爆上が…
キンと耳鳴りがした。
聖女の声が遠くに聞こえる。
あ
マズイ。
くらりと世界が変転する感覚。
朝、起きたばかりなのに。
眠ったら今度は起きない気がする。
だれかが笑っている。
〈穢れのない魂は美しい所へ連れていってあげる〉
なん…で…。
助けてとはいえない でも手を伸ばしてしまった。
世界が黄金に輝く刹那。
羊が鳴いた。
ひゅん、と何かが横切る。
「滑ったのか? 」
気がつくと元の世界。
マティちゃんにダンスのフォールドの様に腰を抱かれていた。
伸ばした手はマティちゃんが握っている…?。
マジ、ダンスのポーズじゃん なんで?
マティちゃん、何故か顔は笑っているけど眼がマジだ。
笑いながら辺りを索敵している。
何を探している?
「俺の鈍臭い運動神経舐めるなよ? 」
俺も笑いながら話を合わせる けど泣きそうにドキドキしている。
永の眠りの感覚が短くなってきている。
次は目覚めないかもしれない。
目覚めなかったら……。
ゾッとする。
学園は楽しかった。
2年飛び級で卒業するけど友達は多いと思う。
兄上と成人したら酒を飲む約束している。
父上が俺が生まれた時に仕込んだワインを開けると言っていた。
女の子にはモテる方だと自負している。
けど本気になられたことはなかったなあ…。
解せない。
マティちゃんと眼が合う。
綺麗な赤い眼に俺が映っている。
笑いながら泣きそうな、子供のような俺が。
ちょっとムッとしたらマティちゃんが笑った。
嬉しそうなソレはあの子の顔にかぶる。
色だけは同じ。
ああ、黄金の麦畑を駆ける君は俺の初恋だったのかもしれない。
「ソレが素のトニー坊やか」
ふと、聖女の声がした。
それまでの作った笑顔と違うにかっとした悪い笑顔。
最初の印象とはずいぶん違って表情が豊かだ……?
ほっと溜息をつく。
お前は…聖女の婿がすぐ死んじゃうような俺でいいのか?
正直に聞けない…ので、代わりに他の話題をふった。
「なんでトニー坊やなんだよ?」
俺をフォールドから姫だっこでソファまで運ぼうとする聖女。
「俺より年下だからかな」
「理不尽!」
「お前だって俺をマティちゃんとか呼ぶだろ」
「マッティアの女の子読みはマティちゃん」
「なるほど」
顔は俺を向いて笑っているのに目は別な所を見ていた。
短い会話の最中、カーテンの方向を気にしている?
俺もつられてカーテンの方向を見た。
カーテンの裾に羊がいる。
部屋の中なのに。
ヒュっと息を飲んだ俺の頭を落ち着かせるよう撫でながら他の人間には聞こえないよう耳元で囁く。
低めのイケボが凶悪。
「俺は羊の女神アルマリノの聖女、だから俺が居ない時も女神の眷属の羊がいる 大丈夫、誰もお前を連れて行けない」
ナンデ?
マティちゃん、俺をソファに座らせると服を脱がせにかかった。
ナンデ…というか待て!
新婚初夜の様に上着を優しく脱がせるなよ! 侍女さん達が喜んでいる?
何故? ダレカタスケテ!
「え? 一応シワにしたら不味いだろ?」
ナンデシワ!
しれっとばんざいさせてするっと脱がせる、子供の脱がせ方だ。
なかなかやるな!
「少し休め」
ソファ横のテーブルの上にピンクの石で彫った羊の女神像を置く。
何故か羊が仰向けでひっくり返っている、お腹に顔をうずめる女神像…。
「?」
なぜ? 羊の腹吸い女神像?
「それ、西の辺境の土産物、あそこも羊の女神が人気で、教会の聖地詣での土産物によく売れる」
「羊と女神シリーズ・腹吸い女神」
ええ? シリーズというと他の女神像もあるのか。
「寝室のベッドサイドにも置いたから寝る前眺めて癒されてくれ」
いつの間に!
驚愕する俺に悪戯が成功した子供のような笑顔で顔が近づいてくる。
「君の眠りに女神の加護がありますように」
オデコを掌で撫でるように俺の眼を瞑らせるマティちゃんの声はだんだん遠くなり俺は多分眠りに落ちた。
秒で(笑)
次回、聖女のお披露目&婚約発表の舞踏会です
トニー坊やをナニかから守る羊達の活躍を刮目せよ(もこもこです)
「はい、いつもありがとうねぇ! もこもこ大盛りサービスだよ、厚いから気をつけてね」
ということで次回はもこもこをサービスサービスぅ!




