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傾国の美妃はひげそりを所望する  作者: まるいのあっと


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3/9

【ブライダルプラン・王都編 婚家の事情】

目に止めて、読んで頂きありがとうございます

食べ放題って甘いのと辛いの交互に食べると以外と食べられるよね を小説で試みました

……親父のエロトークが止まりません(笑)

………お楽しみいただければ幸いです

 ep3 コレをマリッジブルーで済ませる気か

 

 起きた。

 

 (チョウ)スッキリ!

 (アサ)だけに。

 

 窓の外は今日もいい天気で毎度の如く花の香りキッツー!(笑)

 

 教会の鐘が密やかに、朝の清廉な空気を震わせ、一つ鳴る。

 

 信者の為に扉を開け聖堂を解放する合図。

 

 寝巻きのままベッドから立ち上がろうとして、カクリと膝が折れる。

 

 あれ?

 

 床に顔面から転びそうになって剛腕(ごうわん)な侍女に腹から抱えられてベッドにぽすんと座らされた。

 

 もしかしてまたやらかした?

 

 「おはようございます」

 何事も無かったかのように頭を下げて朝の挨拶からの流れる様に朝の身支度。

 

 やらかしたな、コレは…。

 

 「おはよう、俺、どういう状況から何日寝てた? 」

 記憶をまさぐって一番新しい記憶が覇王の魔馬(ユニコーン)のムカつく(わら)い顔。

 一角獣だからって人間馬鹿にしてるよなアイツ。

 

 「聖女様と遠乗りに出かけた先で貧血を起され気を失って丸三日お眠りになられておりました」

 そういう()()かぁ。

 毎度倒れると貧血と言われるが…貧血で丸三日意識不明はないな、何か別の原因があるんだろうと推測出来るが行動制限も薬飲めとも言われてないし…まあ、いっか!。

 

 「身支度の前に失礼します」

 問答無用で寝かされて全身マッサージ。

 三日も寝たきりだと筋肉衰えるからと。

 うーん、気持ちいいけど前より腕とか足が細くなってる、侍女より細い。

 切実に寝込んでも衰えない筋肉が欲しい。

 

 侍女、マッサージからの身支度、着替えで立ち上がろうとしたら足がプルプルしてる俺を見て一瞬眉を顰める。

 

 さーせん、ご迷惑をお掛けします。

 

 「皇太子殿下と聖女様が隣室で一緒に朝食をとお待ちですが如何いかがいたしましょう」

 

 俺の朝習慣、(ぬる)めの白湯を頂いている間に俺専用の車椅子を用意しながらお伺いを立ててくる。

 …隣室って俺の部屋の応接室。

 兄上…。

 

 心配してくれるのはありがたいけど、メシ喰えなくてパンがゆだのスープしかない朝食見たらまた過保護が始まっちゃうよ。

 俺の世話より嫁といちゃラブしてくれ。

 

 鬱鬱たる気分でカタカタ車椅子で隣室へ入ると。

 

 いたわ。

 

 通常笑顔はデフォルトだな、の皇太子殿と苦虫噛み砕いて不機嫌を体現したような聖女(真っ黒黒介)、片手を頬の下に入れて頭を支えてるマテアちゃん。

 

 朝からフルーツとお茶だけかい? ガッツリ喰おうぜ男飯!

 …パンかゆの俺が何言ってんだか。

 

 壁際定位置に俺の侍従、片眼鏡 おーい元気か? 兄上の侍従、マテアちゃんは付き添い無しか。

 

 「おはようございます、兄上 聖女様、お待たせした様で申し訳ありません」

 

 「おはよう 大丈夫かい?」

 「…おはよう……」

 兄上は慣れているのか穏やかに微笑むが、聖女様は噛み潰す苦虫が増えたようだ。

 

 パンとスープがいつものように俺の前に配膳されるがひとつ、真っ赤な液体が満たされたグラスが増えている?

 

 ナニコレ?

 

 兄上もそのグラスに怪訝な顔をする。

 なんだか生臭いし…。

 

 「スッポンポポンの血だ、貧血にはそれが一番だと薬種問屋で聞いて手配した」

 と、マテアちゃんふんぞりかえる。

 

 「スッポンポポン…? 」初めて聞いたが?

 「血というとイキモノ? 」

 兄上も嫌な予感がしたのかグラスから離れた位置を取った。

 あーにーうーえー?

 「ポーションとかではなく? 」

 「コレの生血にショウガとジンジャエールを混ぜて飲みやすくした」

 ごそごそと腰のポーチをまさぐって何やらポーチのサイズに合わない大きな干物を取り出した。

 マジックバッグか? いいな俺も欲しい。

 侍従が必要な荷物は持って付いているけど。

 

 とりいだしたるは妙に平べったい黒い干物……カメ?

 

 「魔獣スッポンポポン、干物を粉にして煎じて飲めば滋養強壮の薬になるらしい」

 「夜の生活も捗る」

 やめろ、子供に聞かせられないネタは。


 ポーション用に合成するわけでもなく、ダイレクトに魔獣…。

 俺に魔獣の生き血を飲めと…。

 

 「ほれ、ぐいっといけ!」

 兄上、聖女がグラスを持って移動してきたのに合わせて…逃げた。

 逃げた上に俺を盾にした!

 それが次期皇王のすることか!

 

 「ぎゃぁあああああ!」

 

 「ポーションだと思え! ポーションにだって龍の髭だの鉱石だの入っているだろう」

 「それとこれとは別ーーー!」

 ポーションは原型を留めてないし火を通しているよぅ! それ、生! 生血!

 「薬種として出回っている奴だから、処理もされているから生とはいいがたい」

 「うそだーーー! 」

 絶叫した俺。

 「じいちゃんはコレで八人も子供作ったって言ってた! 」

 知らんがな!

 「それ、意味違わないか? 」

 流石に兄上がツッコむ。

 黒いの気にしない、何故か鬼気迫るものがある。

 貞操の危機?

 

 「皇太子、抑えろ! 」

 ちょっと! 兄貴に命令していいと思ってるのか?

 兄上、後ろからガシッと羽交い絞めにしてくる。

 兄ちゃんも聖女の言うこと聞いてんじゃないよ!

 次期皇王の矜持は何処(いずこ)

 

 「済まない、尊い犠牲だ」

 耳もとで囁く兄上も聖女と違うタイプのイケメン、甘めのイケボだった。

 

 「裏切ものぉおお!」

 車椅子だから逃げられない! 兄上に後ろ取られて動けない! ついでにマテオちゃんが顎クイで口に指ツッコんで来る?

 それ、必要?


 「いい子にしていたらご褒美をやろう」

 逆光で影になった顔がヤバイ、目が光ってる?

 

 「黒くて太くてデッカイ奴を咥えさせてやるよ…」


 はいいぃいい?

 自分でデカいとか言っちゃうか!


 マジ貞操の危機だったのか!

 

 と、イキナリの言動に頭真っ白になったところで生臭いモノを口に入れられた。

 吐き出さないように手で口を抑えるオプション付き。


 「飲み込め」

 耳もとでイケボで囁くな! あと顔が近いイケメン近い。

 聖女、くちなしと違ういい匂いがする。

 筋肉服の上からもボインボインボボイン。

 

 ごっくん…。

 

 生臭くて甘くてショウガ味で…気持ち悪い…。

 涙目。

 鼻から生臭さが抜けて来る。

 泣いてもいいよな俺、16歳お年頃だけど。

 

 「よーしよしよし頑張った」

 兄上が何故か頭をぐりぐりしてくれるが、綺麗に編み込んだ頭が崩れるのが嫌なのか侍女が凄い顔で兄上を見ている。

 兄上は侍女の睨み位では動じない。

 だって皇太子だもん(笑)。

 

 「ほら、ご褒美だ 黒くて太くてデッカイ奴を咥えさせてやるよ…」

 いいよもう、そのエロい掛け合いは…と、言おうとしたら黒くて太くてデッカイ奴を咥えさせられた…うごっ!

 「ぶほっ! 」

 

 一口かみ砕いて口から離す。

 「バカ野郎 パウンドケーキ、丸ごと口に入れようとするなぁ」

 黒くて太くてデッカイ奴…ガトーショコラのパウンドケーキ…。

 美味しいものを粗雑に扱うな! パウンドケーキ様に失礼だろ! もきゅもきゅ。

 

 オチはケーキバーとか串焼きかと思ったらまさかのパウンドケーキ。

 デカ過ぎるよ、化け物か!

 

 「切ってお茶の時間に皆で食べよう」

 おやつに取っておいて貰おう。

 黒くて太くてデッカイ奴でお茶会… 世も末だ。


 もっきゅもきゅ。

 

 「うっ! 」

 俺はもっきゅもきゅしながら胸を抑えてうつ伏せに丸まった。

 「どうした! 喉に遣えたか」

 兄上、イケボはやめて。

 「チョコレート成分で発情したか!」

 ばかやろう! 聖女がナニ言ってる!


 俺は胸を掻きむしって叫んだ。

 「可愛い女の子とらぶらぶしたい! 」

 別にスッポンポポンが効いた訳でもチョコレートで発情した訳ではない。

 「よしこい!」

 何故、聖女(真っ黒黒助)が両手を広げて正面で待っている?

 むカァ!

 「ばかやろう! ドレス着て出直してこい! 」

 「よしきた! 」

 

 はい?


 マテアちゃんは物凄い勢いで部屋から走り去った。

 俺たちはそんな聖女を呆然と見守るしかなかった。

 

 「なあ、にいちゃ」

 「懐かしい呼び名だなぁ」

 もう身内だけなのでほっこり成分が勝ってキラキラ皇太子のレッテルが剥がれてきた。

 「聖女ってなんだろう…」

 きっと俺は遠い目をしているだろう。

 「私に聞かれてもわからない」

 だってにいちゃも遠い目で聖女様のいた場所を見ていた。

 俺ら兄弟だからきっと同じ顔していると思う。

 

 そして、その晩の夜会で俺たちは聖女の本気を知ることになる。


 話は遡る。


 アントニオ皇子が意識不明に陥って二日目の晩、俺は皇子と二人きりにして欲しいと皇太子に頼み込んだ。

 毎晩、皇太子か王妃、片眼鏡をかけた侍従が付き添っていて俺の奥の手を出すのに邪魔だったからだ。

 

 倒れ、意識不明の皇子を運ぶ馬車で乳兄弟だという侍従を問いただした。

 皇家には(まれ)に眠りの長い、歳の取り方が遅い短命な子供が生まれるという。

 幾度も人より長い眠りを繰り返し、いつか目覚めなくなるのだと。


 「政略だとしてもそういう子供を婿に送り出すのは詐欺に近くないか?」

 俺たちの結婚は政治だ。

 皇家は聖女を名目だけでも取り込みたい。

 俺たち一族は聖女をエサにしてでも西の辺境での地位が欲しい。

 アントニオ皇子が西の辺境伯として立ち、嫁に名目だけでも聖女()が並ぶなら無位無冠の一族に居場所が出来る。

 西の砂漠の最強民族を名乗る一族が根を張れるチャンスにすぐ儚くなる様な皇子が婿では詐欺だと勘ぐりたくなる。

 「アントニオ皇子にとってもこの結婚が生き残る為の最後のチャンスなのです」

 悲痛な叫びのように皇子の一つ上だという片眼鏡の侍従は語った。


 永遠の眠りの片端に立つ()()()()()の俺は二人きりで対峙する必要があった。

ヤバいす、あの黒聖女

襲われる皇子様を観ているとドキドキします。

いや、お助けしないと!

と、思いながら目を覆う掌の指の隙間から覗いてしまいます

侍従なのでお助けしないと!

それより皇子の齧ったパウンドケーキをコレクションにくわえないと!

お前、アウト(皇太子談)

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