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あれから四日後、薪島に電波塔が建築されることになった。
国から元々提案があったけれど、薪島村側で拒んでいたらしい。
山本議員は、僕達に謝罪してその日のうちに辞任。
だけど、僕は情報をつかんでいた。井上さんと一緒に逃げたらしい。
そして、僕は薪島の中央にある薪島村役場に来ていた。
木造庁舎の村役場で、島では一番大きな建物。紙袋を持った僕は、村長室へ向かった。
ノックすると、村長室で難しい顔をした着物姿がいた。
「村長、だいぶ慣れました?」
「ああ、駿。お前のおかげだ、感謝している」
相変わらず着物姿で、凛々しい村長。
村長室は大きなテーブルと、ソファーとまあ一般的な役場の機能がそろっているが、パソコンだけはない。
「こんな僕でも、冬子さんのお役にたててうれしいです。これ、僕達の会社で作った情報端末」
「ほう、前から欲しかったのだ」
「なれるとパソコンなんかよりずっと使いやすいですよ」
僕は冬子さんに説明する、だけどITが苦手の冬子さんはずっと唸っていた。
「難しいな、しゃべりかけたり、指でなぞったり」
「難しく考えなくていいですよ、声か指、好きな方を使えばいいんですから」
「そうなのか?」
「そうです、どっちか好きな方を選べればいいんです。そういえば」
「タッチパネルですから、指でも動きます。後、最新の機能も付けたんですよ。
この端末に声を吹き込んで、最後『検索』って言ってください」
僕の説明通りに、冬子さんが『薪島 検索』っていうと、画面には薪島の情報を持ったサイトが出てきた。
トップに来るのが、僕たちがかつて作ったホームページ。
「これは、すごいな」
「まだネットワークはこの役場内の内線ケーブルしかつながっていませんが。
近いうちに、島とこの役場がつながります」
「難しい、YAYOIシステムで説明できるのか?」
「そうですね、そちらを見てください。この端末にも内蔵しておりますから」
「うむ、感謝するぞ」
冬子さんは、まだ釈然としていないようだ。
端末を持ったまま、難しい顔を見せていた。
「して、駿」
「なんですか?」冬子さんは僕に聞いてきた。
「どうやって、あの動画を手に入れられたのか?」
「ええ、『存在学会』が僕に力を貸してくれたんです」
「『存在学会』?聞いたことないな」
「ちょっと変わった学会でして、『存在は数字を持っている』その証明をするべく研究している学会です。
前に弥生のことをレポートで書いたら、学会のネットワークで汽船会社を調べたんです。
あっ、そうだった。すいません、冬子さん」
僕は申し訳なさそうに、頭を下げた。
「どうした?」
「僕、これから彼女にあってこようと思います。冬子さんも来ますか?」
「いや、辞めておこう。今は村長だ、私はもっと自分を磨かねばならない」
冬子さんは、やっぱり立派な人だ。僕とは違う、彼はこの村も守らないといけない村長なんだ。
「そうですか。では、失礼します」
僕は、そんな立派な人に挨拶だけをして部屋を出た。




