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僕の乗ったフェリーは、本土に向かってたどり着いた。
と言っても会社のある東京じゃない、静岡のとある港。
港に着いたら、三人の男が迎えてくれた。全員、橙色のつなぎを着ていた。
「こちらです」
そんな三人が案内してくれたのが、客船のドック。
それは持ち出しができない、大きな船。何隻も並ぶ姿は壮観だ。
だけど一隻の船だけは、甲板部分に大きな穴が開いていた。
それを見て、僕は涙が出てきた。悲しさと切なさが、胸を締めつけた。
それは、もみ消したフェリー座礁事故。その舞台となった定期船。
存在学会のDVDには、この汽船会社のことが書かれていた。
そして、座礁したフェリーもここに隠してあるのが分かった。
なぜか?そこには、乗ってはいけないモノが乗っているから。
僕は、渡り橋をわたってフェリーの中に入った。
「これです」
既にフェリーの内部は鉄の浸食が始まっていた。甲板部には、大きな穴が開いていた。
客室の椅子は、ぐちゃぐちゃになって散乱していた。足の踏み場もない、椅子がれきの山。
それから生ものの臭いが、鼻をつく。僕もこの中は、初めて入った。
そして、僕は三年ぶりに彼女と会った。
ガレキの中に押しつぶされた、救命胴衣を着た白骨化したモノ。
一部の骨は、破損していて原形は崩れていた。
でも僕には、弥生の姿とはっきり重なった。両足を抱えて、ボロボロの布を守った骨。
「おかえり、弥生」
僕は最後に、一言だけかけてあげた。
そして、僕は涙を抑えることなく泣いていた。




