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YAYOI(下)  作者: 葉月 優奈
六話:旅立ちの夏
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僕の乗ったフェリーは、本土に向かってたどり着いた。

と言っても会社のある東京じゃない、静岡のとある港。

港に着いたら、三人の男が迎えてくれた。全員、橙色のつなぎを着ていた。


「こちらです」

そんな三人が案内してくれたのが、客船のドック。

それは持ち出しができない、大きな船。何隻も並ぶ姿は壮観だ。

だけど一隻の船だけは、甲板部分に大きな穴が開いていた。

それを見て、僕は涙が出てきた。悲しさと切なさが、胸を締めつけた。


それは、もみ消したフェリー座礁事故。その舞台となった定期船。

存在学会のDVDには、この汽船会社のことが書かれていた。

そして、座礁したフェリーもここに隠してあるのが分かった。

なぜか?そこには、乗ってはいけないモノが乗っているから。


僕は、渡り橋をわたってフェリーの中に入った。

「これです」

既にフェリーの内部は鉄の浸食が始まっていた。甲板部には、大きな穴が開いていた。

客室の椅子は、ぐちゃぐちゃになって散乱していた。足の踏み場もない、椅子がれきの山。

それから生ものの臭いが、鼻をつく。僕もこの中は、初めて入った。


そして、僕は三年ぶりに彼女と会った。

ガレキの中に押しつぶされた、救命胴衣を着た白骨化したモノ。

一部の骨は、破損していて原形は崩れていた。


でも僕には、弥生の姿とはっきり重なった。両足を抱えて、ボロボロの布を守った骨。

「おかえり、弥生」

僕は最後に、一言だけかけてあげた。

そして、僕は涙を抑えることなく泣いていた。


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