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今、僕は夜の客船乗り場に来ていた。
夜の港を彩る、大きな客船が停泊していた。
客船乗り場を示す大きなマストは、光のイルミネーションで輝く。
デートスポットに出てきそうなこの場所で、僕の前には一人の女性。
まさにデート、といきたいがそうではない。
その女性は、相変わらず大きなリュックを背負っていた。
カバンを持つ僕の方を見上げていた、いつも通りの夏帆。
「行ってしまうのね、草薙君」
夏帆は、少しさびしそうな顔を浮かべていた。
そんな僕は、夏帆に負けない大きなボストンバッグを持っていた。
「今回は、一週間の予定だから」
「式部島に行くのね。お土産期待しているわ」
「分かったよ、任せろ。とはいっても、仕事の話で行くわけだけど」
前回の電話、それは冬子さんからの仕事の相談だった。
懐かしい冬子さんの声を聞いて、ちょっとうれしかった。
まあ、冬子さんには確認したい噂もあったし。
詳しいことは、薪島で聞くことになっていた。だから早い夏休みで一週間、島に戻ることになった。
「まあ冬子さんの頼みだから、断るわけにもいかないし」
「家族は大事よ、大切にしなさい」
いつも落ち着いた声で、僕にアドバイスしてくれる彼女は頼もしい。
そんな船乗り場のそばには、『大七夕』と書かれたポスターが貼ってあった。
「少し苦労かけるかもしれないけれど、会社の方を頼むよ」
「分かりました、お気をつけて。草薙社長」
そういいながら、僕は大型客船に乗った。
夏帆と別れ、僕の乗った大型客船は出航した。




