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YAYOI(下)  作者: 葉月 優奈
五話:大七夕の奇跡
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今、僕は夜の客船乗り場に来ていた。

夜の港を彩る、大きな客船が停泊していた。

客船乗り場を示す大きなマストは、光のイルミネーションで輝く。

デートスポットに出てきそうなこの場所で、僕の前には一人の女性。

まさにデート、といきたいがそうではない。


その女性は、相変わらず大きなリュックを背負っていた。

カバンを持つ僕の方を見上げていた、いつも通りの夏帆。


「行ってしまうのね、草薙君」

夏帆は、少しさびしそうな顔を浮かべていた。

そんな僕は、夏帆に負けない大きなボストンバッグを持っていた。


「今回は、一週間の予定だから」

「式部島に行くのね。お土産期待しているわ」

「分かったよ、任せろ。とはいっても、仕事の話で行くわけだけど」


前回の電話、それは冬子さんからの仕事の相談だった。

懐かしい冬子さんの声を聞いて、ちょっとうれしかった。

まあ、冬子さんには確認したい噂もあったし。

詳しいことは、薪島で聞くことになっていた。だから早い夏休みで一週間、島に戻ることになった。


「まあ冬子さんの頼みだから、断るわけにもいかないし」

「家族は大事よ、大切にしなさい」

いつも落ち着いた声で、僕にアドバイスしてくれる彼女は頼もしい。

そんな船乗り場のそばには、『大七夕』と書かれたポスターが貼ってあった。


「少し苦労かけるかもしれないけれど、会社の方を頼むよ」

「分かりました、お気をつけて。草薙社長」

そういいながら、僕は大型客船に乗った。

夏帆と別れ、僕の乗った大型客船は出航した。


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