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僕が起きた場所は、白い部屋。
真っ白な部屋に、いつの間にか水色のパジャマに着替えさせられてベッドの上。
汗びっしょりの僕は、頭越しに窓が見えた。
また、周りの白さで僕は直感で分かった。
ここは病院だと、すぐにわかった。
薬の臭い、僕の腕には点滴の針が刺さっていたから。
「起きたのね」
ボーダーシャツの夏帆が、大きそうなリュックを背負ってそばの椅子に座っていた。
ぼんやりする頭と目がなれると、すぐ気になったのが、
「どうなった、プレゼン?」体を起こして僕は問いただした。
「心配性ね、草薙君。大丈夫、小泉助教授が何とかしてくれたわ」
そういいながら夏帆は、リュックサックを膝に乗せていつも通りゴソゴソと何かを探していた。
取り出したのが、黄色い携帯電話。見せた画面には、画質は荒い動画が見えた。
それは、僕の代わりに小泉助教授が僕の代わりにプレゼンしていた。
「そっか……」
「安心した?」
夏帆の言葉に、僕は安心と後悔があった。
自分が招いたミスを、助教授がちゃんとフォローしてくれた。
でも失敗すれば『クサナギエージェント』の運営に関わる大きな事。
うつむいて、元気なく病室のシーツを見ていた。僕は、失態をした自分を悔いていた。
「ごめん……」僕は謝った。すると、夏帆の顔がわずかに不機嫌になった。
「草薙君、また仕事のことを考えていたでしょ」
「夏帆……悪いことしたなって……」
携帯を持った夏帆は、ベッドの上に落として僕の手をつかんできた。
驚いた僕は、夏帆の顔を見るがいつもと違う。なんだか、泣きそうな顔に変わった夏帆。
「えっ、夏帆?」
「ねえ、仕事に取り憑かれないで。私を一人にしないで」
その声は、明らかに普段とは違う。冷静さもなければ、むしろ弱さも感じた。
そして、僕の手を不意に握ってきた。
いつもマイペースで、どこか冷めた夏帆が急にいとおしく見えた。
普段と違う夏帆の姿に、僕は息を呑んだ。
「夏帆、何言っているんだ?」
「あなたは、私の父に似ている。仕事が大事で、暇があってもずっとしごとしごと。
家に帰っても仕事、だから……死んだ」
夏帆は今にも泣きだしそうな顔でため息をついた。
弱そうな顔の女性に、僕は苦手だった。
「あなたは、死んではいけない。私は、誰かが死ぬのは見たくない。
ましてや、草薙君が……」
「ごめん、夏帆」
「だから、頑張りすぎないで。そのために私、なんだってするから!
もう二度と、倒れたらダメ!私は、この居場所が好きなの!」
夏帆は顔を両手で覆い隠し、指の隙間から僕の目をしっかり見ていた。
その目は、いつも濁ったような目だけど涙が見えた。
「ああ、夏帆……」
そんな夏帆に、僕は自然と惹かれているのが分かった。と、そこに病室のドアが開く。
「いやあ、おつか……おおっと」
病室に、あまりにもタイミング悪く小泉助教授が入って来た。
菓子折り持ってきた小泉助教授の姿を見て、思わず僕は顔を赤めてしまった。
それと同時に、夏帆は僕を突き飛ばして何事もなかったかのように席に着いた。
突き飛ばされた僕は、ベッドから落ちそうになっていた。




