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公爵家の転生侍女ですが、どうやら私はヤンデレ悪役令嬢に娶られて王妃となるようです……なんて?  作者: 禍成 黒いの


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第9話 将来、何かを守るために……。

 「行きますの!ナイフの雨!」

 ルテの投げ放ったナイフの群れが重力操作で《《横向きに落下》》して私へと迫ります!

 このまま何の防御もしなければそりゃ死ぬだろうという危険度激ヤバな《《牽制》》。

 まあ、届かないんですが。

 

 「甘いですね」

 私の周囲の地中から白い液体が滲み出し、集まり、壁となってナイフの群れを絡め取らんと立ちふさがります。

 ……白い液体は片栗粉と水を混ぜ合わせた所謂ダイラタンシー流体ですからね?エロいやつじゃないですよ?

 「雑な牽制は狩られ放題ですよ!」

 「メリーこそ、雑な防御は格好の的です!レーザー光線ですの!」

 

 おっと。

 壁にするため空中に浮かせた白い液体へ突き刺さる光の槍。

 しかし、それも想定内。

 壁の内側、芯として使用している水銀を表面に露出させてレーザーを拡散し時間を稼ぎます。

 同時に……。

 「水蒸気ですの!?」

 朝露を高速振動させて気化させ、空気の透明度を下げてレーザーの威力を大幅に緩和します。

 

 「でしたらっ!」

 お、攻め手を隠すためでしょうか?今度は光学迷彩でルテが姿を隠しました。

 しかし、朝露が気化した薄い霧の中では光学迷彩によって歪む輪郭がはっきりと見え……、見え……、なんかいっぱいいるー!?

 「ふふふっ、驚いてもらえましたのね!重力魔法でわたくしと同サイズ、同重量の歪みを作って動かしてますの!これならばどれが本体かわからないでしょう!?」

 なるほど、考えましたね。

 「いやまあ、呼吸時の気流でわかっちゃうんですけどね」

 はい、これにてチェックメイト。

 見破ったルテ本体の足を先程の流体で拘束し、足の裏にいい感じの振動を与えます。


 「うひ、ひゃっ、あはっ、あはははは!や、めっ!メリー、降参!降参ですの!」

 「相変わらずルテはくすぐりに弱いですね。……よし、これで朝の模擬戦は55勝55敗99引き分けで五分ですよ!」

 「ぐぬぬ、折角三連勝して勝ち越しましたのに追いつかれてしまいましたの」

 悔しそうな顔をするルテですが、前世の知識から来る応用や技術込みでギリ食らいつけるぐらいの天才ですからね貴方!?

 というか魔力量に関しては花眼の影響もあって私の10倍近いはずなんですよ!

 なんとか短期決戦に持ち込んで互角を演出してますが、もうちょっと性格悪く攻めてくるようになったら絶対太刀打ちできませんからね!?


 あ、ちなみに私の流体制御魔法で体内の血流を乱すとか、ルテの重力操作で内臓を直接押しつぶすとかの明らかにやべぇ攻撃は禁止にしてあります。

 というか、実は大怪我させたらさせた方の負けというルールもあったり。

 あくまで模擬戦ですからね。

 ガチでやるもんじゃないんですよ。


 「では、シャワーを浴びて着替えましょうか」

 「はいですの!」

 ……と、そんな感じで日曜朝の日課が終了しましたが、何故こんな事になっているかと言うとですね?


☆★☆


 あれは、遡ること4年前。

 ルテを連れて始めて実家に帰った翌年、ルテが10歳の時の話です。

 

 「あ、王様また負けてますの!多分これで10敗目ですのに!?どうしてこんな方がまだ王様でいられるのですか!?」

 「次の王になりたがる人が居ないんですよ。今期はこれで3敗目なので、弾劾決闘を挑んで勝てば勝った人が次の王なんですけどね……。王様やると魔王とタイマン張るハメになるのでやりたくない、かといって3アウト取られた王様を《《合法暗殺》》するとあの性格の悪いと噂の第一王子か第二王子が次の王になってしまって今より悪くなる可能性が高い。結果、未だにあの『逃げのナレーシ』がアトランティスの王様をやっているわけです」

 「そのせいで大勢の兵士きぞくが亡くなっているわけでしょう?わたくし納得いきませんの!」

 うーん、ぷんすこしててもルテは可愛いですね。

 その日、ルテはネットニュースで流れてくる王様連敗のニュースに憤慨していました。


 「ルテの怒りは最もなのですけど、次の王になるべき人達って魔王達にピンポイントで目をつけられない限り基本死んだりしないんですよ、なにせ強いので。……でも、王になってしまうとその戦うと死ぬかもしれない魔王と少人数で戦う義務が生じるわけで。まあ、身も蓋もない言い方をしてしまうと《《おいしくない》》仕事なのです」

 「むむぅ……」

 「それに納得がいかなければ、ルテが強くなって弾劾決闘でナレーシ王を討ち倒すしかないですね。……一応、公爵家には無条件の弾劾決闘が認められてますので、ナレーシ王を暗殺して王子達に弾劾決闘を仕掛けてもいいですよ。1回でも3アウトを取った王を伯爵以上の爵位の貴族が暗殺した場合、罪に問われませんから」


 『無能な王は暗殺しても無罪』

 これは、3代目の王様がチクタク鳴る隠れ家(いきのびたこやぎ)という寓話霊装メルヒェンで弾劾決闘を《《挑まれる事》》から隠れて逃げ回ったせいで出来た規則ですね。

 魔王との戦闘も隠れてやり過ごせるし、王様として贅沢な生活も出来る。そして決闘さえ受けなければ誰もその地位を脅かせない、というアホみたいな状況をひっくり返すために議会がそんな規則を制定しました。

 その後、無事?『臆病者のジョン』は暗殺され、 『勇者王ガイガ』が王位について引退までの30年無敗で戦い抜いています。

 ……なお、勇者王ガオルグの寓話霊装メルヒェンはオズの魔法使いのライオンモチーフなハンマーです。

 勇気を奮い立たせるほど威力の上がるヤツ。

 まさか、ネタで仕込んだつもりだった王様が実在するとは思わず資料を読んだ時思わず爆笑してしまいました。

 「あとは勇気で補えばいい!」をガチで実行する存在が居た世界。

 夢とロマンに溢れていますね!


 「……ではメリー。わたくし、強くなりたいですの!わたくしが成人した時にダメな王様だったら打ち倒してわたくしが王になりますの!それでなくても、ダメな王様が逃げた後にわたくしと、わたくしの大事な人が守れるだけの力がほしいんですの!大事な人の大事な人も守りたいですし、そうなるともっともっと力が必要ですの!」

 うおう、ルテ、良い子に育ってますね……。

 私が担当したヒロインズと主人公、あとは自分の身が守れればそれでいいかな程度に考えていた私よりよっぽど善人です。


 「わかりました。……正直な所、私自身も鍛えないと戦場に連れて行かれた後にあっさり死にそうで怖かったのです。ルテ、一緒に強くなりましょう!」

 「はいですの!」

 「では、いつもの魔力制御の練習に加えて……。そうですね、毎週一度、模擬戦でもやりましょうか。勝者が敗者になにか一つ命令できる権利とかもセットで」

 「!?やりますの!是非やりましょう!」

 「……なんか、物凄くやる気出してません?」

 「当然ですの!」

 

 とまあ、そんなやり取りがありまして。

 ニチアサはスーパーヒーロータイムが始まる前に模擬戦をする事になってしまいました。

 なお、スーパーヒーロータイムの10分前がタイムリミットです。

 時間になったら速やかにシャワーを浴びてテレビの前に正座ですから。

 ……魔法のアイデアになるからとおすすめしたんですが、ルテが想像以上にがっつりハマっちゃったのは想定外なんですよねぇ。

 ちなみに、スーパーヒーロータイムが終わったらプリティでキュアキュアな時間です。


★☆★

 

 って事があって、つい先程の模擬戦に繋がるわけですね。

 「ではメリー、勝者の権利ですの!お願いをどうぞ?」

 「じゃあ、今日はちゃんと一日中着衣で行動しましょうねー」

 「またですの!?もう、もう!メリーはそればっかり!」

 「そうは言っても、ルテのお願いも大体は『今日はずっとそばに居て欲しいんですの!』ですし大差ないじゃないですか」

 「そうですけど!そうですけど!むー!」


 はい可愛いー。

 しかし、アレですね。

 こうやって勝った時の脱衣を禁止してる反動なのか、ルテってば普段の生活で隙あらば全裸!みたいな性癖に育ちつつあるんですけど……。

 これ、悪役令嬢フラグはなんとかなってても露出狂の矯正、失敗してません?


☆★☆★☆★☆


大西洋に浮かぶ島でのスーパーヒーロータイム放送時間は時差で10時間ぐらいズレてるのでは?と思わないでもないですがきっと国に合わせた放送時間のチャンネルがあるんですよきっと。

ということで、リシェルテ様14歳、メリーさん16歳の日常でした。


そろそろ物語が本格的に動き始めます。

最初だけちょっとシリアス君の仕事がありますが、まあ大した出番じゃないので大丈夫でしょう。


ということで、次回更新は6月13日20時の予定です。

どうかよろしくお願いします。



次の更新が楽しみだと思われた方は、良いねコメント★拡散等で応援していただけるとありがたいです。

よろしくお願いします。




最新話までお読みいただき、感謝致します。


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