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公爵家の転生侍女ですが、どうやら私はヤンデレ悪役令嬢に娶られて王妃となるようです……なんて?  作者: 禍成 黒いの


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第10話 勝負の1年がやってきました。

 説明しましょう!寓話霊装メルヒェンとは!

 

 魔力発電が開発され、次いで魔蝕汚染による脅威が世間に浸透してきた1900年代初頭に《《錬金術師》》を名乗る謎の美女によって、当時まだ存在していた各地の『王国・帝国』へもたらされた魔力兵装である!

 その総数72!意味深な数ですね!

 各地の寓話・民話・土着信仰を元に形成された寓話霊装メルヒェンはこれまでに人類が開発してきた魔力兵装とは段違いの性能を有し、地球全土での魔蝕性侵略体クリーチャーの排除に高い有効性を示しました。

 しかし、寓話霊装メルヒェンは強力な反面、2つの大きな制限が掛けられていたのです。


 まず、人に対して使用出来ないこと。

 自分にバフを掛ける系の寓話霊装メルヒェンは別枠として、攻撃に用いることの出来る寓話霊装メルヒェンは人間相手に一切の効果を発揮しません。

 |一振りで七発の攻撃を放つ布剣ひとうちななつも、無敵な長靴猫の従者(カラバのまほう)も人間相手には何の効果もありません。

 まあ、そもそも魔蝕性侵略体クリーチャー相手に使えともたらされた装備なので正直ここは問題ではありません。

 

 問題となるのは2つ目の制限でした。

 この寓話霊装メルヒェン、なんと『王とその伴侶』もしくは、『土着宗教の長』にしか扱えなかったのです。

 おそらく、「お前らの政治の結果、魔蝕性侵略体クリーチャーが脅威になってるんだからお前らが戦え」的な制作者の意図だったのでしょう。

 ついでに言うなら、こちらは使用制限ではありませんが寓話霊装メルヒェン側からお前はオレを使え!と指定してくるめんどくさい機能までついてました。

 ……で、こちらは大問題になりました。

 なにせ、1900年代前半は各国で王政の絶滅が始まっている時期です。

 魔蝕性侵略体クリーチャーは脅威だが、王はもういらん!王政なんて懲り懲りだ、これからは民主主義の時代だ!

 そんな時期に王様しか使えない武器があっても困るのです。

 一方、土着宗教の方は一部地域でしか元々機能していなかったのであまり問題にはなりませんでしたけどね。


 ……ただまあ、流石人類というかなんというか。

 システムを悪用させたら超一流な所は現代と変わりませんでした。

 王の定義、貴族の定義・その他必要条件を寓話霊装メルヒェンの機能解析によって逆算し、架空の王国を作り出すことで対処したのです。

 どこの国のことか、もうおわかりですね?

 はい、それが我が国、アトランティス王国です。


 ちなみに、この時の解析によって、《《錬金術師》》の作成した寓話霊装メルヒェンよりは弱いけれどそれでも使用に足る劣化寓話霊装(メルヒェン)寓話兵装クライナー・メルヒェンが制作できるようになりました。

 なお、クライナーってのはドイツ語で小さいとか、そんな感じの意味の単語ですね。

 まあ、メルヒェンがドイツ語なので、その流れを汲んだ装備もドイツ語になるのはその……、オタクはドイツ語大好きだからしょうがないよね!です。

 前世の友人はラテン語のがかっこいいって言い張ってましたが、うちの会社の人間ははドイツ語推しのが多かったです。


 あ、寓話霊装メルヒェンにしろ寓話兵装クライナー・メルヒェンにしろ、重要なのは「土着の民話」がモチーフになっている点なので一神教系のお話は基本再現できません。

 ……その影響で、この世界では所謂「アブラハムの宗教」は前世に比べてかなり勢いを落としています。


 ……で、何故急にそんな解説を始めたかと言うとですね?


 「あけましておめでとうですの、メリー!これでわたくしも今年で15歳、成人年齢になりますの!王宮で寓話兵装クライナー・メルヒェンを受け取り、戦場に立つ事が出来ますのよ!」

 「はい、あけましておめでとうございます、ルテ。……正直、今の私とルテの魔法なら下手な寓話兵装クライナー・メルヒェンを使うより実力だけで戦ったほうが強いんですが、自分だけの武器っていうのはやっぱり欲しいですからね」

 

 はい、今年でお嬢様が成人し、戦場に立つ流れになるからですね。

 ついでに言うなら、私の書いたシナリオの開始時期もちょうどこの2026年の元旦になってます。

 ここから、ルテは年度の変わる4月にお城へ行って、トラブルに巻き込まれて、なんやかんやあって聖女ちゃんと出会って、一緒に戦場に出る度に仲良くなって、王様を弾劾決闘でぶっ倒して王になった聖女ちゃんに娶られて魔王を倒してハピエンするのです。

 それを全力でサポートするのが今年の私のお仕事となります。


 ……で、聖女しゅじんこうに娶られて王妃になるルテには専用の寓話霊装メルヒェンがあるわけじゃないですか、シナリオ的にも。

 ある意味、その装備を手に入れさせないためにがんばって性格を矯正してた面もあるんですが、ちょっと無理そうなんですよねぇ。

 「とはいえルテ?いくら服が邪魔だからって室温上げ過ぎでは?」

 「むぅ、ちゃんと全裸ではなく下着は着ているのだからメリーは許すべきですの!」

 これ、どう考えても裸の王様の寓話霊装メルヒェンに選ばれちゃいますよねぇ……。


 あ、ちなみに高位貴族付きの腹心は本来の成人年齢に関わらず主人が成人すると同時に成人として扱われることになります。

 なので、私も今年からやっと成人、というわけですね。

 ……成人して、戦場でちょっとやそっとで怪我とかしないようにルテをめちゃめちゃ鍛えた結果、ちょっとした化物が生まれてる気がしないでもないですが多分シナリオには問題ないはずです。

 あとは私という、私が受け取った電波(シナリオ)上に存在しなかった異物がどれぐらい物語を歪ませるかが気になるところですね。


 とりあえず、4月の登城時に絶対に防がなければならないのはクソ第二王子による攻撃での負傷です。

 これによってキズモノとなったルテが第二王子の婚約者に本人嫌がってるのに選定されてしまうというお話が積み重なったトラウマを爆発させ、露出狂悪役令嬢が完成するわけですから。

 ……あれ?でも現状私ががんばって取り除いたので積み重なったトラウマとか無いですよね?

 というか、キズモノになるのを防ぐとそもそも一切歪みのない(露出狂なのはともかく)キラッキラなリシェルテお嬢様が爆誕して、その状態で聖女しゅじんこうと出会う流れになってシナリオ歪みません!?


 あ、いや、でも性癖的にお互い顔がバチクソ好みで恋に落ちる流れだけはきっと変わらないはずなので、今の明るく可愛いリシェルテお嬢様が積極的に好みの顔の聖女しゅじんこうに声をかけに行くはずで、最終的には娶られるところに収束する……はずです。


 「メリー、メリー、新年お祝いに、メリーの手料理が食べたいですの!」

 「昨日も今年最後ですの!って言いながらそれねだりませんでした?」

 「だって、この離宮で日本のお料理が作れるのはメリーだけなんですもの!」

 ……いや、ルテがハマってるのはカレーやらホワイトシチューやらハンバーグなので日本の料理とはいえその、ちょっと違うというか。


 「ダメですの?」

 「……かしこまりました、もう。すっかりおねだり上手になりましたね」

 「えへへ、メリーが甘やかすからですの!」

 それはルテが可愛いからしょうがないんですよ、もう!

 ぐぬ。ハピエン確定ルートになるとはいえ、この私に甘えまくりなルテが聖女しゅじんこうとイチャイチャし始めて私の脳が破壊されないかだけちょっと心配になってきました……。

 

 なお、私達のやり取りをメイドや使用人の皆さんはとても生暖かい目で見てくれてます。

 これでもう10年になるやり取りですからね。

 皆さんからすると、面倒を見てた近所の子供が高校生になっても仲良しぐらいの感じなんでしょう。

 そりゃ微笑ましいですよね。


 ……でも、流石にご令嬢が下着姿で館内をのし歩いてるのは注意しましょうよ!?


☆★☆★☆★☆


おとぎ話モチーフは最強、MTGプレイヤーなら皆知ってるね!

エルドレイン、オーコ……うっ、頭が……。

ということで、寓話の小道……じゃなくて寓話霊装メルヒェンの解説と今年の予定でした。


宗教的侵略を受けていない、もしくは受け流しまくった某日本とか土着信仰がそのまま残ってるのでやべー寓話霊装メルヒェンとかいっぱいある気がしません?

なお、某一神教系は《《土着信仰》》とは言い難い感じなのでハブられています。

土着信仰を悪役にして上書きする宗教レイヤーですからねアレ。

童話に関しては結構な割合で原作となる土着の話があったりするのでセーフ扱いです。


で、ラテン語が好きな友人、誰なんだ一体。

なお、世界線が違うので今回出番はありません。多分。


ということで、次回更新は6月15日20時の予定です。

登城回で、一瞬で出番が終わりそうな第二王子関連の話があるのか無いのか……。

まあ、そんな感じです。

どうかよろしくお願いします。



次の更新が楽しみだと思われた方は、良いねコメント★拡散等で応援していただけるとありがたいです。

よろしくお願いします。




最新話までお読みいただき、感謝致します。


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