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公爵家の転生侍女ですが、どうやら私はヤンデレ悪役令嬢に娶られて王妃となるようです……なんて?  作者: 禍成 黒いの


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第59話 雑魚は しょうきに もどった

 「雑魚をけしかけて来ている間、肆《よん》の魔王の攻撃は自分の駒への巻き込みを恐れて手薄になります!今ならちょっと前に出て大技使っとくかーも可能ですよ!」

 「……メリーの寓話霊装《メルヒェン》による支援もありますし、ちょっと鬱憤が溜まってますのでわたくし、一度全力で行きますの!|王の新たなる装い《アウスツィヒ・マハト・ディヒ・シュターカー》!50%《フュンフツィヒ・プロツェント》、開花《ブリューテ》!……滅びの光《フェルニヒトゥング・グランツ》」


 初手は、ルテの光の雨から始まりました。

 ……いやその、威力と演出的にこう、天から降り注ぐものが世界を滅ぼしそうな感じなんですが大丈夫ですかルテ?それは倒したと思ったら右側のヤツが本体だったりするラスボスの技ですよ?

 ただまあ、乙女のキスと裸の王様、2種類の寓話霊装《メルヒェン》から強烈なバフを受けた超イケイケ状態でのルテが魔法名を宣言しながら繰り出す魔法です。

 威力はもう、並のアトランティス王の全力をそこそこ越えてるレベルでしょうか。

 現に、ただの一撃で光の魔法に耐性のない雑魚はほぼほぼ全滅しました。

 

 ただ、それでも一切怯むこと無く突撃してくるのが肆《よん》の魔王が引き連れる魔蝕性侵略体(クリーチャー)達なんですよねぇ……。

 「ねえねえおかあさん。どうしてあの魔蝕性侵略体(クリーチャー)達、死ぬ時にぽかーんとした顔で死んでいくの?」

 「んー……、まあ、多分、死ぬ直前に『正気に戻った』からなんじゃないですかね。あとまだおかあさんじゃないです」

 「……ぅぁ、やっちゃった」

 「可愛かったからメリーさんも許してくれるよ、千鶴ちゃん!……って、やだ、おかしの防具は壊れてないけど隙間から攻撃食らっちゃった!?いっぱい細かい怪我してるじゃん!……治すからね!答えは聞いてない!」

 うーん、ベルさん強くなりましたねぇ。


 「では、残った可哀想なガリさん達は私が頂きましょう。日暮れも近づいてきましたし、ティア様にはまだ魔力を温存していていただきたいので」

 「ガリさん……?たまにだけれど、アルドラは何言ってるかわからない事があるのが困りものなのよね」

 ……いやまあ、その、確かにめちゃめちゃ古いミームなのでアルドラさんの年齢で知ってるのはおかしいんですが。

 あの人、明らかに私の方を見てネタ振りませんでした?

 ……なんか怖くなってきたので考えないようにしましょう!

 いやその、正直シナリオ(でんぱ)の中に居なかったキャラなのでどう扱って良いものかちょっと困ってる感はあります。

 だって、普通に接するには言動や行動がファンキー過ぎるんですもん!


 とまあ、ルテの狩り残しをアルドラさんが影の魔法で処理してる間、こちらはこちらでやることがあったり。

 ちょっと、流体制御で気流を操作して《《穴》》までの距離と、《《穴》》自体の正確なサイズを測ります。

 私が受け取ったシナリオ(でんぱ)の中では、直径10メートルきっかりだったはずなんですが……。


 【測らなくても10メートルで間違いないよ?どうしたん?】


 ……こういうのは、自分で測定しないと心配なんですよ!

 ああもう!

 こっそり《《頭に絡みつこうとしてくる暗黒物質》》が邪魔でしょうがありません!

 常時魔力制御で魔力の流れそのものを操作して防いでいますが、隙あらば侵入しようとしてくるので《《皆の分全部を防ぐ》》労力は並大抵のものじゃないんですよ!

 というか、私自身は完全にシャットアウト出来てると自信が持てますが、皆には多分、量の大小はあれど侵入されちゃってると思います。


 だから、《《作戦を説明出来ない》》んですよ!

 流石に《《洗脳》》までさせる量は侵入させませんけど、深度の大小はあれ、私以外は全員肆(よん)の魔王に《《思考を読まれている》》のは間違いありません。

 まだ相手に有利な現状ではこちらの行動に対して肆《よん》の魔王としての反射でしか行動してませんが、雑魚魔蝕性侵略体(クリーチャー)が全滅した辺りで多分、第二形態へ移行(目を覚ま)します。 

 はー、相性が最高に良かった陸《ろく》の魔王以外の魔王は全部めんどくさいことこの上ないですね!

 

 「リューサン・インザスカイ!」

 「だから、ネタがわからないと言ってるの!」

 と、考え事をしている間に吸血姫主従が雑魚を狩り終えた様です。

 温存するはずのティアリスさんが攻撃に参加してしまってますが、あれは多分、見てるだけでは我慢できなかった感じのヤツでしょう。

 とはいえ、メリーがいい感じにブッパしてくれたおかげで敵の数はかなり減ってましたし、大した負担では無いかと思います。

 まあ、操られれてる関係で雑魚は全部突撃してくるだけですからね。

 これで、種族間の特徴を活かした連携とか仕掛けられたらこんなに余裕は無かったと思います。


 ……しかし、他の魔王のところの魔蝕性侵略体(クリーチャー)とか、どうやって調達してきてるんでしょうね。

 

 【繋がってる世界全部で、魔王同士バチバチだから侵攻された(ちょっかいかけられた)時に奪ったんでしょ】


 は?

 つまり、魔王は魔王同士で戦ってるって事です?

 だから、同時に出てきたりしない?


 【あ、やっば】


 ……私もそれなりに迂闊な自覚はありますが、ト書きさんも相当ですよね。

 っと、今は戦闘中でした!

 

 手持ちの駒を狩り尽くされた事で他に手が無くなったのか、空に浮かぶ暗黒物質が地上付近で大きな塊を作ります。

 ……第2形態への移行ですね。

 陽光を遮っていた暗黒物質が薄くなったおかげで、西の空に墜ちようとしている夕日がよく見えます。

 んー、もうちょっと雑魚と戯れてたら日没してティアリスさんがフィーバータイムに突入できてたんですかね?

 まあ、ミスらなければ勝てるチャートを組んできてあるのでこの程度は誤差ですよ誤差!


 「……あれは、なんですの?」

 「わかんないけど、すっごく気持ち悪い魔力を感じるね……」

 「ええ、あんなに気味の悪い魔力、他の魔王にもいらっしゃらなかったと思うのですけれど?」

 「……あ、気持ち悪いと思うように操作されてるんですね。なるほど」

 さて、この世界で始めて降臨する肆《よん》の魔王の魔力に皆が不快感を示します。

 ……なんか、約一名暗黒物質による精神操作を自覚してる人いません?

 ほんと何者なんですか貴女!


 「……ちーちゃん、あの黒いのが見えなくなった瞬間に急いで前に出て盾を構える……って、出来ます?」

 「転ばなければ!」

 うん、良いお返事です。

 まあ、今回は転びそうになったら私が魔法で姿勢制御するので大丈夫でしょう!

 ……流石に、この場面で盾が壊れると対応が難しくなりますし。


 数十秒、いえ、1分ちょっとは経過したでしょうか。

 高密度に凝縮された暗黒物質が結晶化して実体を持つ存在を作り上げます。

 その姿は、一言で言うなら異形。

 巨大な殻の様な物体を纏った小さな顔と、躰に対して不釣り合いに大きな手。

 その癖、足は短足で、躰を支える以外の仕事は出来そうにありません。

 体躯の所々に埋め込まれた青とも黒ともつかない水晶は、おそらく魔法の《《砲台》》となる器官だと思われます。

 

 あえて何かに例えるならば……。

 そうですね、背中を丸めて尻尾で立ち上がったザリガニ……でしょうか?

 まあ、エビ類と比較すると胴体が分厚いのでそこまで似てるわけではありませんが大体のイメージとして、ですね。


 【私はミジンコに見えるなー】


 ああ、言われてみれば……。

 っと、そろそろ形態移行が完了しますね。

 「ちーちゃん、準備は……?」

 「いつでもだいじょーぶ!」

 良いお返事です!

 よし、後はタイミングを測って……。

 「今っ!」

 「とー!」

 

 盾を構えて、クレープのマントを靡かせながら駆け出すちーちゃん。

 ほぼ同時に、第2形態へと移行した(本気を出した)肆《よん》の魔王から超圧縮された暗黒物質ビームぶっ放されます。

 「うやー!」

 しかし、なんとか転ばずに目標地点に到達したちーちゃんのビスケットシールドに防がれて拡散。

 あとはまあ、直撃弾でさえなければここに連れてきたルテや吸血姫主従がまともにダメージを食らうはずもなく……。

 唯一心配なのはベルさんですが、そもそもお菓子の盾を作り出せるのがベルさんなので……と。

 

 ということで、肆《よん》の魔王が真の姿を表しました……が。

 この形態になってもシナリオ(でんぱ)通りなら遠距離に攻撃する手段は魔法以外に無かったはずです。

 ふぅ、これでやっとベルさんを連れてきた意味を皆に教えられそうですね!


 「よし、今ですベルさん!《《穴》》を中心にでっかいお菓子の家を立ててアイツの帰り道を塞いじゃってください!」

 「……え!?いや、流石にそれはズルくない!?」

 ズルくないでーす!シナリオ(でんぱ)でもやってた正攻法でーす♪

 

 「はぁ……、相変わらずメリーはそういう事ばっかりすぐ思いつきますのね」

 ……あの、ルテさん?なんでジト目で私のことチラ見したんです今?


☆★☆★☆★☆


地味に腕がデカかったり、本当は小さい顔がついてたりよく見ると全然ミジンコじゃないんですよねアイツ……。

ということで、ボスなら第2形態ぐらいもっとかんかい!な回でした。


そして、逃走防止の出入り口封鎖戦法。

これが必要だから、ベルさんを現場に呼ばなきゃいけなかったんですねー。

さて、お互い手札は場に伏せたのでどちらの手が強いかオープンしましょう!


さて、次回更新予定は10月10日20時。

どうかよろしくお願いします。


次の更新が楽しみだと思われた方は、良いねコメント★拡散等で応援していただけるとありがたいです。

よろしくお願いします。




最新話までお読みいただき、感謝致します。


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