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公爵家の転生侍女ですが、どうやら私はヤンデレ悪役令嬢に娶られて王妃となるようです……なんて?  作者: 禍成 黒いの


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第52話 どうか追加をおねがいしまぁあす!

 「はーい、ちょっとチクっとしますよー」

 「注射は平気!」

 「……わたくしはちょっと苦手ですの」

 「ルテ、注射する時は針が刺さる瞬間を見ないように必死ですもんね」

 「メリーお嬢様は逆に刺さる瞬間をじっと見つめてますよね」

 だって、痛みがいつ来るかわからないほうが怖くありません?


 ということで、フィアネイアさんによるちーちゃんの神器分析が始まりました。

 彼女曰く、やはり肉体を変異させて効果を発揮している装備なのは間違いないとのことで、現在はちーちゃんの身体のパーツのサンプルを集めているところです。

 ……まあ、パーツと言っても手!足!みたいな部位ぶった切りのヤバい奴ではなく、髪、爪、皮膚組織、血といった、怪我をさせずに回収できるものだけですけどね。

 

 「やっぱり、魔臓に融合……いや、寄生?共生?してる感じなのかなぁ?効果はどんなのなんだっけ?」

 「えっとね、不老不死と、手とか足とか無くなっても架空の手足がそこにある感じのやつ!」

 「あと、どんな状態になっても身体を元の状態に戻す再生能力ですかね。時間はかかりますが」

 「……映像を見ると、手足の欠損まで治ってますものね。私達吸血鬼の再生能力とどちらが上かしら?」

 「ティア様の再生は魔力消費が激しゅうございますからねぇ。魔力が尽きても絶対に死なず、最終的には再生するとなればあちらのほうが強い……と言えるかと」

 寓話霊装《メルヒェン》とか神器とか無く、素の種族特性として高速再生が出来る吸血種って、やっぱり相当なチートなのでは?

 一応、生活リズムが強制的に夜型になるとか、長時間日光を浴びるとお肌がボロボロになるとか、数えられるもの(米粒とか)を目にすると衝動的に全部でいくつあるか数えたくなってしまうとか、流れ水を渡るのに相当な気合が必要とか色々あるらしいですが……。

 

 「よし、サンプルは……。ねえ、やっぱりお肉ちょっと貰っちゃだめ?というか、再生過程を確認したくって……。いいよね?ちょっとだけ!ちょっとだけだから!先っぽだけだから!」

 「いいよ!私のために色々考えてくれるんだもん、ちょっと痛いぐらいは平気!」

 「やたっ!再生過程の生映像!うひぃ、カメラカメラ!映像に残さなきゃ!」

 「いるなら、腕を切っちゃうとかでもいいよ?」

 「はいアウトー。ちーちゃん、それはダメです。おかーさんは許しませんよ!?」

 「メリー。メリーは千鶴さんのお母さんではありませんの。わたくしのお嫁さんですの!」

 ちょっ、ルテ?おかーさんっていうのは流石にネタですよ!?

 ガチ嫉妬の視線でちーちゃんを牽制しながら抱きつかないでくださいよ!

 「……やっぱり、おかあさんだよ」

 ん?ちーちゃん何かいいました?

 

 まあ、そんな感じで、汚姫様はちーちゃんのサンプルを取り終えて自室……ではなく、私達が食事やら何やらをしてる間にセイラさんが用意させていた研究室へと引き上げて行きました。

 なおその際、「コレを放置するとまた汚部屋の汚姫様になるのでは?」という疑惑が発生したため監視役としてティアリスさんとアルドラさんがしばしお城で一緒に生活することになっています。

 「では、代わりに魔力制御の訓練も教えてくださいましね?」

 なんて約束と共に。

 まあ、戦力の増強になるので教えない理由はありませんね!


☆★☆


 で、あれから2週間が経過しました。

 「ねえ、メリーさん式の魔力制御訓練さ、脳筋すぎないかな?いや、なんかこう、私も四六時中魔力を指先でうにゃうにゃしてたらなんかこう、患部に素早く届く!みたいな運用能力は確かに上がった気はするんだけどさ。確かに効果はあるんだけどさ!あと、寝てる間までとかは流石に意味不明じゃないかな!?」

 「ええ、概ね同意でしてよ。あの狂気の沙汰とも言える魔力制御技術が、こんな、こんな単純な反復練習で身につけたものだなんて……。いえ、確かに寝てる間まで訓練しているのは意味不明なのですけれど」

 「でもティア様、地味な訓練ほど身になるといいますし。実際、ルテ様に確認しても彼女も同様の訓練で制御技術を身につけたといいますし……。寝てる間はともかくとして」

 「うあーん!なんで私だけまだ踊りながら訓練させられてるのー!?」

 うん、魔力制御技術の訓練は概ね好評なようですね!


 「最小単位での魔力制御が規模を拡大しても同様の感覚で扱えるというのは多分、盲点ですの。注ぐ魔力を増やせばそれだけ操作が困難になると思われてたのでそれなり以上の魔力を操作する訓練が伝統でしたけど、その訓練は長時間行えませんでしたし……」

 「まあ、MPが100あるとして、10消費する訓練は1日10回しかやれませんけど、0.01の消費なら1万回出来ますからね。慣れてくればもっと1回の消費量を減らせますから、あとは寝てる時もやれるように脳に動作を刻み込むだけです」

 「……寝てる間までやるのは、わたくしも流石におかしいと思ってますの」

 ……そういえば、ルテでも寝てる間はやってませんでしたね。

 あれ?もしかして私やべーやつ扱いされてます?

 いやでも、寝てる間に特定のタスクを実行し続けるのって別に訓練すれば身につく能力ですからね?

 って、前世での友人から教わりましたし。

 彼女曰く「ほら、アレですよ。偶に、歩きながら寝る人とか居るじゃないですか。あれを意図的にやっているようなものですよ!」だそうで。

 ふ、普通ですよね?


 まあ、そんな感じで、私がリハビリしつつ身内の練習を監督していたところに。

 「おっはよー!」

 げっそりしつつ目だけギンギンなフィアネイアさんがやってきました。

 ……ティアリスさん曰く、食事は摂らせてるけど睡眠時間に関しては「横になって寝息を立て始めたと思ったら急に『思いついた!』とか叫びながら起き上がるケースが頻発していて制御はあきらめました」だそうで。

 なお、アルドラさんは「ですので、起床時間が一定時間を超える度に魔法で絞め落としております。……寿命が心配になる人種ですね」なんて言ってました。

 寝かせるために絞め落とすってなんですかね?

 アルドラさん、地味に怖い人だったりしません?


 「今日はね?ちょっと、援助のお願いに来たんだけどぉ……」

 で、そのフィアネイアさんが妙に神妙な態度で私の前でくねくねし始めました。

 ……それは、シルエットがもうちょっと女性的になってからやってくださいね?

 がりがりぺったんぼでーでやっても意味はないですよ?

 しかし、援助ですか。

 結構な研究・開発資金を王として自由に使える予算から供出したはずなんですけど、足りなくなったんですかね?

 ……いや、あの額を2週間で?


 「ちょーっとね。理論は完成してて、神器の効果を複数人に与える代わりに効果が弱くなる的な寓話兵装《クライナー・メルヒェン》を創り始めたんだけどね?えっとね?その、とある材料がその、ちょーっとね?足りなくなってね?」

 ふむふむ、なるほど。

 比丘尼祝詞の効果をちーちゃんではなく別の誰かがコントロールする装備を媒介に複数人に分け与えると。

 これ、欠損補完や不死の効果を分け与えることで戦闘中の生存率がめちゃめちゃ上がる素晴らしい寓話兵装《クライナー・メルヒェン》が完成するんじゃないですか!?

 生き残れさえすれば、あとはベルさんの魔法で回復してもらえばいいわけですし!


 「ふむふむ、良さそうな寓話兵装《クライナー・メルヒェン》ですね?そんな素晴らしい寓話兵装《クライナー・メルヒェン》を、ちゃんと効果が出るように制作してくれるなら素材の調達ぐらい頑張っちゃいますよ?」

 「もう、メリーはそうやってすぐ安請け合いしますの。……でも、効果からするに戦闘中の死亡率が下がりそうな寓話兵装《クライナー・メルヒェン》ですし、確かに魔王と戦闘するわたくし達には必要だと思いますけれど。……で、何が足りませんの?」


 で、そんな私達の言葉に対してフィアネイアさんは膝をつき、両手を頭の上にあげてー……。

 「魔王の遺骸が足りません!どうか追加をおねがいしまぁあす!」

 なんて叫びながら土下座しやがりました。


 ……いや、あの。

 魔王1体分を消費した『ガラスの靴』であの性能なんですよね?

 ……今作ってる寓話兵装《クライナー・メルヒェン》、どんだけ化物性能に仕上げるつもりなんですか!?


☆★☆★☆★☆


ほら、たまに運転中に寝ちゃっても華麗にカーブを曲がってたりするアレを意図的にやってるようなものです(危ないので停車して寝ろ)

ということで、どこで覚えてきたのかドゥゲザーする汚姫様回でした。


寝てる間も頑張ってないと死ぬ血液操作の流派のすごい人とかいますし、多分普通ですよ普通。

あと自分でおかーさんとかいい始めて大丈夫なんですかメリー=サン?


んで、次回はどういう物を創ろうとしたのか回ですね。

更新予定は9月23日20時。

そろそろ章ボスの魔王が決まるぐらいですかね。

次回もどうかよろしくお願いします。


次の更新が楽しみだと思われた方は、良いねコメント★拡散等で応援していただけるとありがたいです。

よろしくお願いします。




最新話までお読みいただき、感謝致します。


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