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公爵家の転生侍女ですが、どうやら私はヤンデレ悪役令嬢に娶られて王妃となるようです……なんて?  作者: 禍成 黒いの


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第51話 挿話士

 「で、どういうのが欲しいぬぐぇっふ!」

 ぎゅばっ!と、ものっそい緩急で私の息がかかる距離まで接近しようとする元汚姫様に思わず肘でカウンターを入れてしまいました。

 「あ!すみませんびっくりしたのでつい……」

 「だ、大丈夫。今日はまだ胃の中に何も入ってないから。で、寓話兵装《クライナー・メルヒェン》!要求仕様は!?」

 うわ、めげないのすごい。

 「て、徹頭徹尾自分の研究のことしか考えてませんの!」

 「どうして皆、こんなになるまで放って置いたのかしら」

 まあその、見て分かる通りお近づきになりたくなかったんじゃないですかね?


 しかし、困りました。

 よく考えたら、どういうルートに入ればちーちゃんをベストハッピーエンドへ連れていけるのか私は知りません。

 ……ト書きさん、その辺どうすればいいんです?

 

 【「呪い」を好きな時に弱められるようにすれば、最悪好きなタイミングで自殺できる】


 ……なるほど。

 いや、ハッピーエンドの最後が自殺はハッピーエンドではないのでは!?


 【あと、「呪い」の共有も可能にしてみると良いよ】


 ふむ……。

 多分、ト書きさん的にはどうすればいいかが見えていて全部伝えたいんでしょうけど文字数制限とかで伝えられず簡易な誘導しか出来ない的な奴ですかね?

 あと、おそらくですがト書きさんはト書きを送る度に何かを消費している感じなんじゃないでしょうか?

 そうでなければ、ここで作ってほしい寓話兵装《クライナー・メルヒェン》の全仕様を複数回に分けて羅列する方が効率がいいはずですし。

 ただ、送ってくるどうでもいい情報の頻度から考えて、時間経過で回復するなにか……といったところでしょうか?

 近いのは……まあ、魔力ですよねぇ。


 【だいたいあってる】


 ですよね。

 でもまあ、とりあえず……。

 「ここで先に話しちゃうと、またご飯抜きそうなので食事の後にしましょうか」

 「はい、メリーお嬢様正解です」

 「おあづけ!?このタイミングで!?」

 ……フィアネイア嬢って、なんか柴犬感ありません?


☆


 「おお、とてもいいコシですね。美味しいです」

 まさか、アトランティスで本格的なうどんが食べられるとは思っていませんでした。

 「フィアネイアお嬢様の消化器の状態と必要カロリーから考えて、こちらのメニューがベストだと考えましたので」

 ああ、セイラさんの案でしたか。そう言えば、昔作り方を教えた記憶がありますね。優しい味で私は大変満足でした。

 なお。


 「このパスタ、フォークで食べるのが少々難しいですの。メリー、お箸、わたくしも使いたいですの」

 「ずー、ずずずー」

 「アルドラ、それどうやっているのかしら?」

 「……ねえ、あの、このかきあげ?ていうの?だんだんバラバラになっていくんだけどどうすればいいの?」

 現地組は少々苦戦している様子でした。

 ……アルドラさん以外。

 なんかこの人、フリーダム過ぎません?無敵かこいつ?

 ちなみに、ルテには私の転生が発覚して以降にお箸の使い方を教えたので、流石に麺をすすることは出来ませんが食べること自体は可能になっています。

 かきあげは、まあ、バラバラになる前に食べきるか、出汁を吸ってバラバラになったものを楽しむかの派閥が分かれますよね。

 私はバラバラ派です。


 なお、うどん自体はとても好評でアルドラさんがセイラさんからレシピを受け取っていた事を追記しておきます。

 ホントは、私は蕎麦のほうが好きなんですが、シナリオ(でんぱ)の中でフィアネイアさんが蕎麦アレルギーで死にかける話があってですね……。

 基本的に虚弱タイプなんですよあの子。

 

 「で、欲しい仕様!はよ、はよ!」

 「びっくりするほどブレませんのね、この方」

 はい、食事が終わるやいなや速攻でこっちにダッシュしてきた見た目だけ清純白ワンピースお嬢様エルフにルテですらちょっと感心してますね。

 まあ、多分この子の脳内を図解したら99%に寓話霊装《メルヒェン》!って書いてある感じでしょうし、まあ、さもありなんということで。


 「欲しい仕様は、解除できないとある「神器」の効果を任意でオンオフ出来る事。あと、その「神器」の効果を他人と共有出来たりするともっと良いですね。納期は特に設けませんが、10年以内ぐらいのスパンで考えてくれればいいです。他になにか質問はありますか?」

 「……どういう意図でその「神器」の効果を薄めたいの?というか、解除できないってことはまさか、肉体改造系の装備!?しかもそれを共有って事は一時的変化にも対応してるんだよね!?なにそれ、どんな寓話霊装《メルヒェン》なの!?というか、開発期間10年って何よ!アナタ!……えっと、鏡の人だから、……メリー王妃!私を舐めてるでしょう!そんなもの、材料と適切な加工施設さえあれば1年で完成させてみせるわよ!……いやその、実物を見ないと断言は出来ないけど、それぐらいの意気込みなんだからね!」

 

 まあ、とりあえず実物を見せろはご尤もですよね。

 なんかその、劇物すぎてちーちゃんに会わせて良いものか悩んでまして。

 いやでも、一応精神年齢基準で考えると12歳同士になるはずで……。

 ……諦めて、顔合わせイベントに以降しますかぁ。

 

 「それはそうと!ガラスの靴《アッシェンプッツェル・マギア》さん!じゃない!えっと、ベルティアリスさん!私の寓話兵装《クライナー・メルヒェン》の使い心地はどう!?不具合は!?何か不満はある!?追加して欲しい機構は!?」

 ……しっかしこの汚姫様、ちーちゃんとは別の意味で元気だなぁと。


☆★☆


 まあ、多少不安に思いつつもフィアネイアさんを私達の生活区画へと「持ち帰り」ました。

 なお、あの超絶臭かった汚部屋に関しては後で自分で片付けてもらいます。

 ……というか、この汚姫様の扱いをどうするか私とルテが方針を決めなきゃならないんですよね。

 なんかこう、めんどくさくなってきました。

 研究費だけ出資して放置とかでいいですかね?

 

 で、あの寓話霊装《メルヒェン》マニアが神器使いのちーちゃんに全力ダッシュとかすると印象が最悪になるので、現在ルテの魔法にて拘束の上、ぷかぷかと空中に浮いてもらっています。

 ぬあー!とかぬぐあー!とかうめき声が聞こえますが、気にしたら多分負けです。


 「ただいま戻りましたー。ベルさん、ちーちゃんいますかー?」

 「おかえりなさい。ここにいますよ」

 「あっ!おかぁ……えりなさい!メリーさん!」

 で、最近私達がくつろぐのに使っている一室へ到着するなりちーちゃんが満面の笑みを浮かべてダッシュで突っ込んできます。

 ドタドタ走るよ千鶴ちゃん ですね。

 「わぷっ」

 「はい、捕まえました。今日は何してましたかー?」

 「えっとね、大戦からアトランティス(このくに)の管理国がドイツに代わって、EUに代わってーって流れを教えてた!懐かしかった!」

 

 ……「教えてた」。

 そう、精神年齢が12歳なだけで長く生きてきた知識は十分にあるんですよねちーちゃん。

 そう考えれば、変人の一人や二人見たことはあるでしょうし、汚姫様とも普通に付き合えるんじゃないかって気がしてきましたね。


 「ぬっ、へっ、ほっ!とりゃー!……抜けたっ!その子だよね!?日本人っぽいもんね!?へいへい!ちょいとそこのお嬢さん!お顔みーせてっ!」

 「いいよ!」

 で、蛇みたいなうねうねした動きを嫌がってルテが拘束を解除した瞬間に走り出す変態寓話霊装(メルヒェン)学者。

 「ほっほー、これはこれは……。架空魔臓に癒着する形で融合してるのかな?というか、変圧魔力が2種類ある?ふむふむ……。もしかしてお嬢ちゃん、神器だっけ?を2つ持ってたりしない?」

 「すごい、見ただけでわかるんだ!?お姉さん、学者さんの人?」


 「が・く・し・ゃ?……私を呼ぶなら、挿話士《テイラー》って呼んで欲しいな!」


 挿話士《テイラー》。

 アトランティスにおいて、寓話兵装《クライナー・メルヒェン》を実際に制作している技術者の事を指します。

 ……ああ、そう言えばこの子、学者じゃなくて制作が本業でしたっけ。


☆★☆★☆★☆


うどん、美味しいですよね。

出しが西だったのか東だったのかは謎です。


ということで、肉体年齢的には同年代のロリが顔合わせしました。

質問に素直に答えそうなちーちゃんと、ガンガン突っ込んでコミュニケーションらしきものと取る汚姫様とは結構相性がいい気がしてきましたね。

……こいつ、最初はツンデレの想定だったんだぜ?嘘みたいだろう?


……まあ、内容的には神器の鑑定まで進まなかったので前回予告を回収できてないわけですが!

ですので、次回こそ「足りない」です。

更新予定は9月21日20時。

どうかよろしくお願いします。




次の更新が楽しみだと思われた方は、良いねコメント★拡散等で応援していただけるとありがたいです。

よろしくお願いします。




最新話までお読みいただき、感謝致します。


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