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公爵家の転生侍女ですが、どうやら私はヤンデレ悪役令嬢に娶られて王妃となるようです……なんて?  作者: 禍成 黒いの


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第50話 押しも 押されぬ 汚姫様

 えー、せっかくなのであのままお風呂までついて行ってあんなところやこんなところを洗ってやろうと画策していましたが、セイラさんに「邪魔ですので」の一言で止められました。

 なんか、彼女的には女の子がこんな状態なのがとてもとても許せなかったらしく、かんっぺきに磨き上げてさしあげます!と意気込んでました。

 ……セイラさんの完璧はですね、完璧なんですよ。

 ええ、はい。

 私とルテが閲兵式《デビュタント》前夜を思い出して遠い目をするぐらいには。


 そんな感じなので、私達4人は適当な部屋で待機状態です。

 多分ですが、この後はメインが食事の会食、その後に雑談というか会談というか……という流れだと思います。

 元王女様をセイラさんが引きずっていった後、暇だったのでそのへんのメイドさんに聴取した所、案の定食事をまともに摂って無かった事が判明しましたし。

 食事は部屋の入口でトレイを交換する感じで運んでたらしいんですが、全く手を付けた痕跡が無かったりそもそもトレイが返ってこなかったりで、下っ端としてはどうしていいかわからない状態だったらしいです。

 ……あと、あまりに臭すぎて部屋に近づきたくなくて、持っていったフリだけしてた新人が居たことが判明してたりしましたが流石にそれは怒られててください。

 私とルテに忖度した風の口を聞いてましたが、別に私もルテも元王女の彼女になにか恨みがあるわけでもないので……。


 「暇……でしてよ。せっかくですし、トランプ(カード)でもやりまして?親睦を深めるにはちょうどいいでしょう?」

 「シュー……コー……。どうぞ、ティア様こちらを」

 「いや、ガスマスクはいい加減に外しましょうよ!あとトランプどっから出したんですか!?今、明らかに胸の谷間から出しましたよね!?」

 「大富豪!大富豪がいいですの!」

 まあ、我ら肉体年齢だけで見ればJKの集団ですからね。

 トランプ一つで十分盛り上がれたりするのです。

 ……私の精神年齢?

 考えたら負けですよ!


☆


 「シュー……コー……。革命、セルフ革命返し、再革命……で、8切り。勝利です」

 「いや、おかしいですよね!?なんで他の人が1枚もカードを場に出さずにゲームが終わってるんですか!?」

 「イカサマ!イカサマですの!だって、わたくし場に出された札と同じ札を持ってますの!」

 「アルドラ、いつまで経っても見破られなくて飽きてしまいましたのね。それならイカサマ抜きで楽しめば良いのに」

 あ!今気が付きました!

 アルドラさんの影魔法って影に物を収納出来る系の魔法ですね!?

 で、同じトランプを1セットそこに仕込んでおいて手札を入れ替えてたんですね!?

 さっきから、なんか場に出たはずの札が手札から1枚2枚出てきてて不思議に思ってたんですよ。

 ……いや、気づけって話ですね、はい。


 と、そんな感じで私はともかくルテがだいぶ大貧民状態で涙目になりつつも盛り上がってた所に……。

 「はぁ、さっぱりしたけど毛まで全部剃る必要あったのこれ?いや、ほんとさっぱりして気分が良いのは確かだけど、あそこまで念入りに手入れする必要あった?」

 と、とてもとても美しい金髪碧眼で見惚れるほど可愛らしい《《エルフ》》がセイラさんを伴って入室してきました。

 

 ……そう、エルフです。

 エルフなんですよ!あの元王女!

 しかも、最近流行りのどこもかしこも太ましいエルフじゃなくて由緒正しきほっそりぺったん平成初期のエルフ!

 ……平成初期のエルフってなんだ?という疑問は深く考えないでください。そもそも日本人の想像するエルフのヴィジュアルはトールキンからだろうという話とか色々めんどくさくなりますので!

 ディード◯ットはギリギリ昭和じゃね?とかいう話も気にしたら負けです!


 「で、人が好き勝手に研究出来た環境に割り込んできたあんたらは誰なの?」

 まあ、その本人は興味が無いことにはこんな感じの人物なんですが。

 貴方の両親の仇ですよー?というか、そもそも新たに戴冠して魔王まで倒した新王ですよー?

 「あ、待って。貴方はわかった。この魔力波長、ガラスの靴《アッシェンプッツェル・マギア》ね。ということは、貴方はシュネーファル侯爵家のご令嬢。お隣はボガートの回廊(ボギー・コリドール)をお持ちの腹心の方ね?シュネーファル家のお嬢様、私の最高傑作の使い心地は如何かしら?」

 「ええ、違和感も無くとても我が身に馴染んでおりましてよ。……なるほど、貴方が制作者でしたか」

 ……あ、不味い。

 興味が寓話兵装《クライナー・メルヒェン》に移った。


 「でしょう!?その寓話兵装《クライナー・メルヒェン》はね、人造寓話霊装(メルヒェン)の革命なのよ!通常、殺しきっても塵になって消えない魔蝕性侵略体・首魁級(ファッティ)の死骸に特殊な加工をすることで算出される魔骸晶を核に制作する所を、倉庫の奥にずーーっっと眠ってた伍の魔王の遺骸塵を持ち出して加工して創ったの!勝手に持ち出したから、持ち出したこと自体はめちゃめちゃ怒られたけど、ガラスの靴(そいつ)を見せて黙らせたわ!でね!魔王の塵を《《処理》》している途中に法則がわかったの!だから、たまに現れる魔蝕性侵略体・首魁級(ファッティ)でもないのに死骸が残る魔蝕性侵略体(クリーチャー)の肉を加工して魔骸化出来ないかの実験をしててね!それで……」


 ……それにしてもこの元汚姫様、ニッコニコである。

 「……あの、どういう方なんですの。この方?」

 そして、マシンガントークを眺めるルテは超絶困惑顔である。

 ……まあ、私達の顔すら知らないのに魔力波長だけで誰がどの寓話兵装《クライナー・メルヒェン》を持っているか認識した挙句、あんなふうに急に饒舌になったら困惑もしますよね。

 「あれで、世界最高の寓話霊装《メルヒェン》学者だって言ったら、信じます?」

 「え?ありえますの?まだ12歳なのですよね!?」

 それがあり得るから怖いんですよねぇ。


 「……って、そっちの2人はどうして貴族《ぐんじん》なのに寓話兵装《クライナー・メルヒェン》を持ってきていないの!?これじゃ、誰かわからないじゃない!」

 「人間を、所持している寓話兵装《クライナー・メルヒェン》で見分けるのはどうかと思いますよ。フィアネイアお嬢様?」

 「ひゃいっ!」

 あ、暴走が止まりましたね。

 ……なんか、セイラさんに手綱握られてません?

 お風呂で何かありました?


 「まあ、私達に関してはこれを見てもらえれば……。ててててん全てを識る鏡《シュピーゲル・デア・ヴュンシェ》~」

 「わた、私の知らないクライ……いや、違う、この魔力波長は!まさか、モノホンの寓話霊装《メルヒェン》!?」

 「ついでに、この前魔王を倒しました」

 「!?」

 「更に言うなら、その魔王の素材を使ってとある物を創って欲しくて来ました」

 「!?!?!?!?」 

 「更に更に、そのための研究材料に日本の『神器』を用意出来ます」

 「犬とお呼びください!!!!」


 元気よくそう叫んで、仰向けに寝転がりハッハッハと洗い息を吐く元汚姫様。

 ……人としてのプライドとか無いんか?

 って、これ地味に私の下着覗いてません?

 「それを見て良いのはわたくしだけですの!」

 「ぐげふっ!」

 あ、ルテのマジ蹴りが入りましたね……。

 ……自分のは他人に見せるのに、私のはダメなんだ。

 基準が、基準がわからん!

 

 「私、あの子が作った寓話兵装《クライナー・メルヒェン》を使ってますの?……捨ててしまったほうが良いのかしら」

 「ティア様、道具に罪はありませんので……」

 ほーらー、吸血姫主従とか引いちゃってるじゃないですかー!


 「で、えーっと、わたくし、貴方のご両親と御兄弟を殺してしまった本人ですの。……それでも、メリーの言う事に協力してくださいますの?」

 「え?両親と兄弟?……ああ!だから寓話霊装《メルヒェン》を!というか、だから私あの部屋に移されて隔離されてたの!?」

 って、そっちは今まで気がついてなかったんですか!?


 「いやまあ、上の兄は研究資金工面してくれるから媚びてたけど、別に人間的には全員クズだったし別にどうでもいい存在だったから……。正直母親とか顔も覚えてないし……。研究素材が怖いとかであんま皆近寄ってこなかったからあんまり話とかもしてないし……」

 で、把握した状況に対して何の気負いもなくぶっちゃけるフィアネイア嬢。

 まあ、はい、私は識ってたのでそうだろうなぁと思ってましたけど。


 「それより、何を創ってほしいの!?望む効果は!?抽出対象の寓話は!?というか、どの魔王を倒したの!?素材は今どこ!?」

 ……しかしまあ、識ってるのと実際に会話するのとはやっぱり全然違いますね。


 この暴走特急、どうやって制御すればいいんでしょう?


☆★☆★☆★☆


えー、別作品読んでる読者の方はなんとなく察している気がしますが。

……この汚姫様、作者の手を離れました。真面目に制御できてません!

想定してた性格と出力される文章の乖離がこう、誰だお前は!


ということで、汚姫様改めエルフ姫フィアネイアさんのエントリーです。

で、彼女にちーちゃんの「呪い」をどうにかする案を出してもらう流れになるわけですが、果たしてどの様な解決策が出てくるのやら……。


次回「これじゃ、足りない」

更新予定は9月19日20時。

どうかよろしくお願いします。


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最新話までお読みいただき、感謝致します。


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