第5話 3年後のお嬢様と歴史の授業
あれから3年が経過して私は11歳、リシェルテ様は8歳になりました。
こらそこ!Bボタンを連打しない!まだロリどころかペドの領域やぞ!?お嬢様の最終形態は16歳前後だからそれまでは進化してもええやろがい!
……なんて冗談はおいといて。
日本なら小学校に通っている年齢になりましたが、高位貴族は魔力覚醒時の暴走という危険があるためこの国では家庭教師による学習で教育を終えるケースが多いです。
……いや、別に魔力覚醒時の暴走は誰でもやらかすんですが、高位貴族ほど魔力量が多いので大変なことになりやすいんですよ。
まあ、21世紀に貴族制度が《《存続させられ続けている》》特殊な国ですからね。
……いや、実際は貴族制度とはかなりかけ離れてるものなんですが。
で、現在はその家庭教師による授業中です。
「ではリシェルテさん、1890年代に発電技術を飛躍的に進歩させた発明は何でしょうか?」
「はい!吸魔銀と蓄魔鉱ですの!」
「正解です。とても良く学んでいますね。この調子なら《《義務教育は5年で詰め込んで》》問題なさそうですね」
うんうん、流石お嬢様。
教科書も良く読み込んでいますし、私との毎晩の勉強もしっかり身についていますね。
「つまり、この2つの素材により効率的に民間人より魔力の回収が出来るようになったわけですね。そして、魔力での発電が可能となった事で化石燃料による発電は《《予備の技術》》として重要度を下げることになりました」
「先生、質問ですの!魔力の回収って、どれぐらいの量が取られますの?」
「いい質問ですね。……正直な所、根こそぎ回収されると言っても過言ではないですね。《《この国の貴族》》ならともかく、普通の人は大した魔力がございませんので。魔力が極端に多い方は税金の優遇か、もしくはこの国で貴族となることを選ぶことが出来るようになっています」
まあ、わざわざこの国の貴族になりたがる奇特な人なんて滅多にいませんけどね。
「では話を戻しましょう。魔力発電によって、発電による公害はかなり削減することが出来ました。しかし、別の問題が発生したのです。では、ジェイドメリアさん、わかりますか?」
「魔蝕汚染による魔蝕性侵略体の発生です」
「はい、正解です。蓄魔鉱から直接魔力を噴射することによって、そのエネルギーを電気に変換するのが魔力発電ですが……。発電開始から3年後に問題が発覚しました。長時間魔力を浴び続けたタービンが魔蝕汚染、魔力による変質を起こしてしまったんですね?」
完全にクリーンなエネルギーなんて無いって話ですね。世知辛いものです。
「魔蝕汚染された物体は周囲の思念を取り込み、物理現象を伴った思念体として実体化させます、汚染された魔力が消えるまで何度でも。これが、魔蝕思念体と呼ばれる貴方達が将来戦うべき敵です。……これについては後日また説明しましょう」
まあ、この国の成り立ちに関わる話なので長くなりそうですしね。
しかしこの先生、私とリシェルテ様の理解力が高いとわかったらサクサク授業進めますね……。
義務教育と高校までの分のカリキュラムを《《7年》》で仕上げなきゃならないので仕方ないんでしょうけど。
高卒分まで勉強が完了したら即《《戦場》》ですからね。人権なんて最低限しか守られないのがこの国の実情です。
……そうでもしないとちょっと不味いぐらいの自体が起きちゃってるので、全く持ってしょうがないんですが!
「……さて、そろそろお二人もお疲れでしょうから今日の授業はここまでと致します。これでジェイドメリアさんは以前やった所まで追いつきましたね?これからは『もう習ったから知っている』とドヤ顔で聞き流したり出来ませんので気をつけてくださいね?」
「ドヤ顔なんてしてませんが!?」
「してましたの!」
おうふ、お嬢様から背中を撃たれてしまいました。
まあ、いうて母国語じゃない国語はともかく、小学生レベルの算数と理科なんてお茶の子さいさいですし?社会に関しては設定担当とめちゃめちゃ話し合って決めた内容ほぼそのままなのでもっと余裕ですからね。そりゃドヤ顔もしますよ。
「……はふぅ、疲れましたの」
「お疲れ様でした、ルテ。お茶にしますか?それともお昼寝します?」
「お茶でお願いしますの。……わたくしも一緒に入れますの!」
部屋で机に突っ伏するお嬢様の髪を撫でてミルクティーを淹れに向かいます。
……魔力暴走による失踪事件からずいぶんと懐かれてしまいました。
今も手を繋いで隣を歩いているぐらいに。
最近ではごはんも一緒、お風呂も一緒、寝る時も一緒と親に甘えられてない分が全て私にかかってきてる感じです。
可愛いので問題ありませんが。
あと、二人でいるときは愛称で呼ぶ約束もさせられましたね。
なんか、ちょっと依存の前兆が出てる気がしますが、きっとまだ子供だから寂しいだけですよね!?
「メリー、メリー、今日の授業を聞いて思ったのだけど、この国以外の国では魔法は使えなんですの?」
「そうですねー、基本的には建物の壁や道路に吸魔銀が埋め込まれてますからルテぐらいの魔力がないと魔法は一切使えなくなっちゃいますねー。でも、魔力暴走やら魔法での犯罪やらが起きなくなるので人間社会としてはソッチのほうが安全だと思いますよー」
実際、誰でも魔法が使える世界って全員がナイフを隠し持ってるのと変わらないのでめちゃめちゃ怖いと思うんですよね。
この世界はその辺を全部吸収して電気にして還元する!で解決してる感じなんですが。
設定担当と話し合って決めたときはめちゃめちゃいい考えが浮かんだ!と思ってたんですが、この世界という電波を受け取っていただけだったのは地味にショックです。
「はい、準備が出来ましたのでお部屋に戻りましょう」
「はいですの」
まあでも、受け取った電波が正確なほどこの世界の今後の事が予測しやすくなるので良かったと思いましょう。
一応、今後の未来としては大まかに、お嬢様があれやこれやあって王族に傷を負わされて、特に望んでないのに責任を取るぜーって王子と婚約させられて、なんやかんやあって聖女ちゃんが心の傷を癒して王子からNTRしてラスボスを倒してハピエンみたいな感じなんですが……。
私が最初のトラウマを消しちゃってるので最初のあれやこれやが無くなって負傷イベントがカットされる感じなんじゃないかと思うんですよ。
……あれ?この時点でルート変わりまくっちゃってて予測なんてつかなくないです?
……まあ、その時はその時で公爵令嬢として戦闘しながら普通に暮らしてもらう感じになるのかな?
聖女が居るならどうあっても目立ってくると思うのでその時にどうなるかですね。
「メリー、お部屋についたらお洋服脱ぎたいですの!邪魔ですの!」
「……全部はダメですよ?シャツと下着は残してですよ?」
「……むぅ。でもメリーの頼みなのでしかたありませんの!」
問題は、露出癖が矯正出来てなさそうなことぐらいですかね。
……とりあえず、今のところ外で脱ぎたいと言い出さないので良いとしましょう。
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この世界との違いのお話。
多分作中世界には原発無いです。
火力発電所も最低限。
ただし、魔力発電所による汚染物質アリ。
汚染物質からなんやかんやあってモンスターが出るようになるなら、一箇所に集めて処理したほうが効率的だと思いません?
じゃあ、専門の人達を集めて……、とそういう話ですね。
順次説明していきますので、よくわかんない人はよくわかんなくて大丈夫です。
あと、遂に水を沸かしてタービンを回す発電から脱却してますこの世界!
なお、お湯を沸かす工程が省かれただけで結局タービンを回して発電する模様。
しょうがないよね、そこそこ効率いいし……。
ということで、次回は「魔法の練習」です。
更新予定は6月3日の「21時」です。
どうかよろしくお願いします。




