第42話 新たなる友に乾杯
用意されていた晩餐は、シュニッツェル……ではないなこれ、どう見てもとんかつですよね!?
前に私が手料理でルテにとんかつを食べさせて以降、彼女の好物となったコレを知っているとは地味にリサーチ能力高いですねシュネーファル侯爵家。
ちなみに、別段エセ貴族マナーにこだわったりはしてないのか腹心のアルドラさんもテーブルについています。
更に言うなら、私達のグラスに注がれているのは水や炭酸水ですが、アルドラさんのグラスにはしゅわしゅわと美味しそうな泡を立てる炭酸苦麦茶が!
うう、飲みたい!呑みたい!
けど……。
……あれ?よく考えたらアトランティスの飲酒可能年齢ってイギリス基準の18歳じゃありませんでしたっけ?
……呑めるじゃん!
「あ、アルドラさん。私もビール飲みた……」
「メリー?流石に会談が終わってからですの。先にお食事をとはなってますけれど、これはこちらから申し込んだ会談ですの」
「……はい。って、いやでもそこのアルドラさんは」
「私は今回メインではないので。それに、この程度のアルコール、ジュースみたいなものですから」
そうですよね、私達としてはお酒飲みながら「ちょっと魔王戦で一緒に戦って欲しいんすよ」とは言えないですよねぇ。
寓話霊装が使える私達と違って、寓話兵装で戦わなければならない貴族の方々は通常の戦闘より遥かに高い死亡率の戦闘になりますから。
……でも、アルドラさんずるくないですぅ!?
まあ、それはそれとして『匣』の仕組みと寓話霊装の起動条件が完璧にわかっちゃってる私なら、協力してくれる貴族の方達に寓話霊装を配り歩くのは良い手に思えるんですが……。
彼女、ベルティアリス嬢の場合はその寓話兵装が寓話兵装の頂点とも言える傑作装備ですのでちょっと難しいところですね。
あとまあ、魔力制御の問題もありますし……。
それはそうと、気になってるのはアルドラさんの方なんですよね。
彼女、さっき間違いなく影の中からにゅっと出てきましたよね?
影魔法ですよね?
……吸血鬼の従者が影魔法とか、ちょっと狙いすぎなんじゃぁありませんか!?
しかも、わりかし胸元が寂しい主人と正反対のどたぷんぼでー!
なんでこのキャラの設定を受信できなかったんですか私は!
むしろこの主従をメインで1本作れますよ!?ねぇ!?
と、ここまで考えてですね?
やや中二病気味で薄くて細いボディをお持ちの主人と、なんかこう、やたらと胸がデカい角付き従者……。
あ、これ私とルテのポジ丸かぶりじゃないです?
あれ?これ外野からは同じように見えてたりします?
【見えてる。というか君のがインパクト強い】
ト書きさんも虚空に文字だして反応してるんじゃないですよ!
というかあんた誰なんだ一体!
「で?本日のご要件は何なのかしら?一番ありそうなのは、魔王戦への参戦願い。次点で、今後の魔蝕性侵略体・首魁級戦での主力をこちらへというお話。大穴で、……第二夫人への打診?」
「ティア様?相手は新婚ですよ?」
「でも、わたくしの戦力を更に増強して手駒として戦線へ投入する案としてはアリなのではなくて?魔力制御は困難になりそうですけど、そこに専門家がいらっしゃるでしょう?」
おっと、何やら期待に満ちた視線を向けられてますが、私に教えられるのは鍛錬方法だけですよ?
というか、使い続ければ上達する魔力制御。
どうして誰も、「とにかくずっと使う」というひたすら単純な鍛錬を思いつかないんですか?
ま、とりあえず鍛錬方法についてはインタビューなんかで赤裸々に全部答えてますし、今後広まっていくのに期待しましょう。
とりあえず、こちらが本題に入らないと会話が進みそうにないので切り込みますか。
「ええ、予測の通り、魔王戦への参戦願いですの。わたくしとメリー、歴代のアトランティス王の中でもトップに近い強さだと自覚はありますけれど、それでも対魔王の戦闘を二人だけで切り抜けられると考えるほど自惚れてはいませんの」
「陸の魔王は完全な相性勝ちでしたからね。ルテの主な攻撃手段が光の魔法である以上、魔力で空間という概念すら凍らせてくる参の魔王、意志を持つ暗黒物質であり、光を吸収してしまう肆の魔王、レーザーの性質を分析して鏡やら何やらを持ち出してきそうな漆の魔王辺りはとても二人だけで対処出来るとは思いませんし……」
撃退……だけならまあ、問題は無さそうなんですが撃破は流石にねぇ。
とりあえず強い、硬い!な壱の魔王も、魔法合戦になって攻めきれなさそうな弐の魔王も、時間操作で光線すら普通に回避してきそうな捌の魔王も、勝負にはなりますが勝ちきれる気はしません。
篠影さんというメイン盾を加入させたとて、厳しい相手が結構居ますからね。
「ですので、戦闘時間が夜間に突入する相手のみのピンポイントでいいので、お手伝いして頂けないでしょうか?」
なので、私達を数に入れてさえ「夜間最強」と称される夜の女王には是非とも参戦頂きたいんですよ!
実際、《《前》》「夜間最強」だった父親にも勝ち越してるみたいですし?
「どうしましょうか、アルドラ」
「いつも通り、ティア様のお好きなようになさればいいかと」
「そ。じゃあ、好きにするわ」
そんな短いやり取りのあと、吸血令嬢は自分のグラスを干しました。
「では、こちらの条件は一つだけ。わたくしの参戦時に、アルドラも連れて行かせて?わたくし、彼女が居ないと本調子がでませんので。……ああ、ついでに魔力制御の鍛錬法も教えてくださる?戦力が上がる分には、お互い損はありませんでしょう?」
……ゴネられることも、何かもっと王族にしか出来ないような要求をされることもなくすんなり通りましたね?
もうちょっと、政争じみた会談を想定していた私とルテは肩透かしを食らってお互いを見つめてしまいました。
「えっと、では、それでお願いしますの」
「こちらも、戦闘の準備は専任のメイドさんに任せてますし、従者一人が増えるぐらいは大丈夫ですよ」
とりあえず、こちらは問題なく同意ですね。
「……ああ失礼。少々お互いの考えに差異があるようなので修正してもよいかしら?アルドラを連れて行くのは、戦場へではなく、《《戦闘》》へ、でしてよ。彼女、戦闘面でもわたくしの片腕ですので」
「これでもそれなりに強いですよ。ティア様のフォローが出来るぐらいには」
む、そっちでしたか。
だとしたら、夜はこの2人に協力を頼んで、昼間はベルさんと篠影さんに協力を頼む感じでイケますかね?
「……メリー?」
「多分、大丈夫です。夜間と昼間で適宜メンバーを入れ替えて戦う感じになりますかね。……少なくとも現状、夜のほうが強そうですけど」
なんたってあのガラスの靴、18時から24時まで『無敵』を謳ってますからね。
「では、決まりでよろしいかしら?なら、これからは会談ではなくただの《《お友達》》との夕食ですわ。せっかくですので、父のコレクションから1本拝借しましょうか。……イケる口でして?」
「それなりに?」
「わたくしもですの!」
「……ダメですよルテ。ルテはまだ飲酒出来る年齢じゃありませんから」
「醸造酒なら、ですね。……ベルティアリスさん、シュネーファル侯爵から拝借する1本、ワインです?」
「ウィスキーでしてよ?」
「はいだめー!」
「むー!」
……ルテに人前でお酒を飲ませるわけには行きませんからね!
だって、マッハで全裸になるんですもん!
ルテの裸は安くないんですよ!まったくもう!
さて、これで篠影さんルートで起きる問題に対処するための戦力は整いましたね。
あとは、篠影さん本人にがんばって運動音痴を克服してもらって……。
……シナリオ上ではそこそこあっさり改善してましたけど、正直そんなにホイホイ改善するようなもんじゃないと思うんですよねぇ。
もうちょっとしっかり様子を見てあげましょうか。
「では、新たなる友に……乾杯」
「「かんぱーい!」」
「やっぱりわたくしも呑みたいですの!」
「んぅ、お酒にがぁい……。アルドラ、アイスココアを用意してくださる?」
「せっかくだから、でお酒なんて飲むからですよ……」
「だって、こういう席ではいいお酒を呑むものでしょう?」
「ティア様は死ぬほど甘党なんだからそういうお酒にしておけばよかったんですよ!」
「メリー、やっぱり一口だけ、ね?ダメですの?」
「脱がないと約束するなら?」
「……自信がありませんの」
……で、なんですかねこのカオス。
あ、このウィスキーおいし♪
☆★☆★☆★☆
イギリス基準だと、保護者同伴なら飲食店において、ビールやワイン等は16歳から呑めるみたいです。
え?ルテ15歳じゃなかったかって?
家庭内なら5歳以上ならなんでもいいらしいです。
法律がザルぅ!
ということで、吸血姫と爆乳悪魔が仲間になりました。
なお、夜間のみのスポット参戦な模様。
次回は、篠影さん側からの訓練風景ですね。
更新予定は8月31日20時。
どうかよろしくお願いします。
次の更新が楽しみだと思われた方は、良いねコメント★拡散等で応援していただけるとありがたいです。
よろしくお願いします。
最新話までお読みいただき、感謝致します。
このお話を少しでもおもしろいと思ってくださった方は、
・「★で称える」の+をお好みの回数押して「★」で評価
もしくは
・作品フォロー
等の方法で、応援していただけると励みになります。
どうかよろしくお願いいたします。




