第35話 ブラックコーヒーってすぐ酸化しません?
まあそんな感じでざっくり2週間後。
──緊急連絡です。魔王軍の出現が観測されました。貴族の皆様は迅速に装備を整え、戦場へ向かってください。なお、魔王自体は未だ観測されておりません。繰り返します。魔王軍の出現が観測されま……──
はい、約1ヶ月ぶりの魔王軍のエントリーですね。
今回は魔王を倒したばかりですし、他の魔王がやってくることもなく魔蝕性侵略体・首魁級が率いての攻勢みたいです。
ま、予想通りですね。
しかも、天候はどんよりとした曇り空、時刻は日暮れ前と、ヒロイン達とは別口で味方に引き入れたかった人物が暴れられる条件が揃っています。
……正直、篠影さんの戦闘は見てて結構精神にクるものがあると思うのでどうなるか識ってる私は遠慮しておきたいと思ってまして、はい。
とりあえず、お空を自由に飛び回る吸血令嬢を観察してたいかなーと。
「メリー、本当にわたくし達は見てるだけで大丈夫ですの?魔蝕性侵略体・首魁級相手とはいえ、寓話霊装無しで戦うのは普通は相当難儀するものなのではありませんの?」
「ですよね!私、怪我人がたくさん出るのは好きなじゃないから、出来れば魔蝕性侵略体・首魁級相手は二人が加勢した方が良いんじゃないかなーって思うんだけど……」
なお、ルテと黒ラ……めんどくさいからもうベルちゃんで良いですね。ルテとベルちゃんはやや不安そうな顔をしてました。
「まあ、苦戦しているようなら介入しましょう?でも、他の貴族達だって訓練を積んできた猛者ですよ?自分の寓話兵装を使った戦術を磨いてきた歴戦の兵士達に、『心配なので介護しますね?』って言うのはある意味舐め腐ってませんか?」
そう、実際貴族の皆さんは魔法使いの集団としては世界最強クラスなんですよ。
……安易に最強って言わないのは、主に日本が結構な勢いでやべー奴を量産してるからですね。
なお、『毒クズバーゲン』がちゃんと発売されてたら2作目の舞台は日本になる予定でした。
「お嬢様方、到着いたしました。お食事は済ませましたか?装備の確認は?戦場の端で優雅にお茶を飲みながら観戦する心の準備はOKですか?」
うーん、セイラさんに関してはほぼピクニック気分ですね!
まあ、実際ちょっと血なまぐさいだけのピクニックになるとは思いますが。
ということで、戦場端の監視塔に登ってシートを……あ、人数分の椅子とテーブルが既に用意してありますね……。
ついでにお茶するための茶器やらお菓子やらも。
……よ、用意周到ですね?
まあ、私達としてはとても過ごしやすくなったのでセイラさんには感謝しておきましょう。
……ちなみに、私はまだ歩けないので相変わらずルテにお姫様抱っこです。
最近になって会談・面会の件数も減ってようやくリハビリがまともに出来るようになったばっかりなんですよ!
しかも、完全快復までは結構な日数がかかると言いますし!
毎日筋肉痛でしんどいですし!
……私、前世でも骨折とかもしたこと無くてリハビリって存在に縁が無かったんですが、こんなに大変だとは思いませんでした。
皆、怪我には気をつけましょうね?
病気で寝たきりに関してはまあ、気をつけてもしょうがないものがあるので……。
おっと、そう言えば今回の魔蝕性侵略体・首魁級がどんな奴なのか確認しとかないとですね。
「む、魔蝕性侵略体・首魁級、頭がとても大きいので多分、漆の魔王の眷属ですの」
「あ、倒されたら形態変化するんだよね!?えっと、あとなんだっけ……」
「縛りプレイ強要系ですねぇ。魔王本体だと魔法が封印されたり、直接攻撃が封印されたり、とにかく自分に有利な状況を作り出して戦おうとしてくるめんどくさいやつです。頭がでかいだけあって知略にも秀でてるとかなんとか」
とりあえず、今回の相手はやたらと頭がデカいタコ頭巨人ですね。
タコの足が8本あるのに、その上で人間の手足4本があるのはどうなんでしょうね?
なお……。
【魔力で急激な温度変化を頑張って止めてるので熱・冷属性に強い……というか、熱いのやら冷えるのやらの攻撃に弱いから逆に対策してる的なやつ】
色々頑張ってるみたいです……。
というか、そういう弱点情報とかは魔王戦の時に出してくださいよ!
どうでもいい時だけ役に立つとか、不便さに見合う性能は持っててくださいよ謎の右目!
んー、まあ、何の努力も無しに勝手に生えてきた能力なのでこんなもんでしょう。
とりあえず、私達が出張らずとも勝てそうな魔蝕性侵略体・首魁級で良かったです。
「お嬢様方、とりあえずお飲み物は如何ですか?お嬢様は紅茶、メリー様はコーヒー、ベルクローラ様もコーヒーでしたね。お砂糖はいくつお入れしますか?」
「あ、私はブラック飲めます!」
あ、そうですね、せっかくテーブルもカップも用意されてるんですからお茶しながら観戦せねばセイラさんに失礼というもの。
ちなみに。
【ブラックを飲めるほうが大人っぽいから我慢して飲んでるけど、ホントはミルクとがお砂糖たっぷり欲しい!らしい】
なんて、残念な情報が見えました。そういえば君はそういうキャラでしたもんね……。
うん、ブラック飲んでる人かっこいいですもんね。わかりますよ?
でも、無理して飲むのはおすすめしないなぁ。
「あ、この豆、私思ったより好きじゃないかもです。……ちょっと失礼?うん、こっちの方が多分好みのやつです。ベルさんカップ交換しませんか?……あ、ミルクとお砂糖はもうたっぷり入れちゃった後なんですけど……」
「あっ、えっと、め、メリーさんがそうしたいならー……」
うーん、ちょっとわざとらしかったですかね?
地味にルテから飛んでくる視線がとんがってます。
「ルテ、ルテにははい、これ。紅茶にマシュマロを直接どぼんです。ふわふわに溶けたマシュマロと紅茶の二層構造になってちょっとおもしろいですよ」
まあ、そんなときの気の回し方は慣れたものです。
なんたって10年間隣に居ますからね。
「むぅ、メリーは絶対その気がなくても別の誰かを引っ掛ける気がしますの。わたくし、その点がかなり心配ですの!」
「……うん、正気ここはルテに同意かなー。これはね、悪い女だよルテ。大丈夫、刺された時には私が治療してあげるからね?」
……結果として、なぜか二人からジト目を向けられる事態になりました。
あれ?私なにか失敗しました?
っと、そんな事をやっていたらいつの間にやら魔王軍と貴族達の戦闘が開戦していました。
……ってあれ?魔蝕性侵略体・首魁級がまだ元気なのに雑魚がボロボロ突っ込んできてますね?
レアパターンでしょうか?
もしくは、頭脳派な漆の魔王の眷属らしく、私達が不在と見て兵隊を削りに来たか……。
後者な気がしますが、それはちょっと舐めすぎってものですよ。
対する貴族達からは、隊列を組むアトランティス貴族を尻目に巫女服の小さな女の子が突出し……。
「えっ!?」
「ああっ!」
「あー、やっぱり……」
先頭を走っていた竜人から袈裟斬りに斬りつけられて、戦場に真っ赤な血の花を咲かせました。
あの子の戦闘、グロいんですよねぇ……。
って、セイラさんが用意してくれたのお茶菓子、ベリーがたくさん使われた真っ赤なケーキなんですけど……。
これ、二人共食べられます?
☆★☆★☆★☆
現状出てる情報
1巨竜 3氷の魔神 5太った悪魔 6破壊の天使 7頭がデカい形態変化する奴 8不明
法則がわかるかな?
ということで、戦闘開始した直後で終わっちゃいました。
ほぼお茶の準備しただけやなこれ!
ちなみに、メリーさんのコーヒーはマンデリンの深煎りです。
ミルクと砂糖はたっぷりで!
ルテはディンブラ、ストレートです。
大体ルテのが大人な味覚してたりします。
ベルさんはその辺良くわかんない人なのでお任せでした。
次回「自己犠牲中毒者」
更新予定は8月15日20時。
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