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公爵家の転生侍女ですが、どうやら私はヤンデレ悪役令嬢に娶られて王妃となるようです……なんて?  作者: 禍成 黒いの


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第32話 こうして私は『呪われた』

 覚えている最初の記憶は、病床に伏す私を心配そうに見つめる母の姿。

 飲んでは吐き、食んでは下し、あっという間に衰弱していく私を心配そうに、でも何か覚悟をしたような目で見ていた。

 ……おそらく、数日前に同じ流行り病(コロリ)で死んだ父と私が同じ運命を辿ると察していたのだろう。

 私に向ける視線に反して、狐憑きの因子が顕在化した耳がピンと力強く立っていたのを覚えている。

 私も狐憑きだから今はわかる。

 あの時、母は決意したのだ。

 私の命を、《《呪って》》でも助けると。


 状況が変わったのはその夜。

 少しでも何か食べろと出された粥に魚とも肉とも付かぬ欠片が入っていた。

 味は、そう美味しくはなかったように思う。

 もしくは、どうせ吐いてしまうのだからと私が食事自体を煩わしく思っていた故の記憶か。

 その食事から毎食、その肉が粥に浮かぶようになった。

 そして、食事ごとに元気になる私に反して、母はやつれていった。

 当時の私は、母も同じ病にかかったのだろうと、そう思っていた。


 その翌日ぐらいだっただろうか。

 目が覚めて、体調が完全に回復していることを実感した私は母を助けるために布団を跳ね除けて起き上がった。

 私と同じ病であれば、その身が汚物に塗れている可能性を考慮して沢山の布と水桶を用意して母の元へ向かい……。


 そこで、全身傷だらけで、身体中全ての血液をぶちまけたように死んでいる母を見つけた。


 わけがわからなかった。

 戸口は閉まっていたし、母の寝室にこんな傷をつくるような凶器は見当たらない。

 ただ、あまりにも酷い母の死体を必死で拭いながら泣き喚いていた事は覚えている。

 母の死体の損傷はこれ以上ないほど酷く、胴は半ば千切れた状態で、四肢は無数の獣に齧られたような傷が無数にあった。

 今ならわかる。

 私も、いずれ死ぬ時は《《こう》》なるのだろう。


 《《戦巫女》》をしていた母の死を受けて、すぐに役人がやってきて母の葬儀をしてくれた。

 母の亡骸を見た、神主の様な服の人が「比丘尼を、娘に継がせたのか」と恐ろしい顔で呟いていたのは印象深かった。

 

 その後、その神主?の口利きもあって私は戦巫女になった。

 幸い、これからは戦巫女と禰宜侍が重要な職になるからと環境が改善されたばかりで、とても働きやすい職場だった。

 ……というより、日々の訓練が仕事であって何か仕事をしているという実感が無かったのものある。


 ただ、ある程度の訓練期間を終えたものが呼ばれる、神器授与の儀式に一向に呼ばれないのだけは不満だった。

 そりゃあ、同期や後輩が儀式に呼ばれ、何か凄い武装を持って帰ってくるのだから呼ばれない者は焦るのが当然だろう。

 

 結果、焦れた私は仲の良かった同僚の薫子かおるこに頼み込み、儀式終わりに『蔵』へ潜り込むことにした。

 物陰に隠れて儀式をやり過ごし、扉の開いた『蔵』へ薫子と手を繋いで飛び込んだ。

 警備がざる過ぎるという思いが今なら浮かぶが、まあ、あの時代ならばそんなものだったのだろう。

 しかし、あの真っ黒な帷によくもまあ元気よく飛び込んだものだと今でも思う。


 飛び込んだ先は、武器庫のようだった。

 壁には槍、薙刀、刀、その他諸々の武器が飾られていて……。

 宝物庫だ、と聞いていた当時の私は首を傾げたものだ。何せ宝物なんて一つもなく、武具しか並んでなかったのだから。

 でも、不思議と不安は感じていなかった。

 ……手を繋いで飛び込んだはずの薫子がどこにも見当たらなかった事すら気にならない程。


 武器の扱いは訓練で学んでいるし……。

 というか、他の皆は魔法の鍛錬を重点的にしているのに私は全然制御が上手く行かなくて、憂さ晴らしに武器術をかなりの頻度で訓練しているおかげか武器には興味があった。

 だから、壁に飾られている武具を目利きでもするように感心しながら眺めていると……。


 1本の刀が、光って見えた。

 造りは、かなり古いものだ。

 刀そのものが古いんじゃなくて、刀の造りが古いって話。

 気になるので手に取ってみる。

 瞬間、私の視界は暗転し……。


 「千鶴ちづるちゃん!?」

 「……あ、薫子?」

 入ったときと同じく、手を繋いだままの薫子と『蔵』の外に立っていた。

 あの、刀を持って。

 

 あの日から、私は完全に魔法が使えなくなった。

 ……いや、使えは、する。

 だが、一切の制御が効かない。

 私の狐火は、いつだって蛇口を全開にした水道みたいに魔力をぶっ放して《《私を含めた》》全てを灼く。


 誰かが言った、呪われたのだ……と。


 あれから幾年経っただろうか。

 戦巫女と禰宜侍ねぎさむらいは祓い巫女と祓い禰宜ねぎへと名を変え。

 年号は明治から大正、昭和、平成を経て令和へと変わり……。

 

 気がつけば、ノイ・アトランティスなんていう異国の地に私は立っている。

 

 「篠影さん、大丈夫ですか?今ぼーっとしてませんでした?」

 「魚住、篠影さんのそれは平常運行だからほっといても大丈夫だって。お年寄りなんだからさ」

 「……待って待って待って?確かに私は戸籍上えっと、何歳だっけ?150歳ぐらい?だけど、神器の影響で《《精神年齢》》も昔から変わらないんだからお年寄り扱いはやめてっていっつもいってる!おこるよ?ぷんすこだよ!?」

 

 《《死ねない》》私が、まだ若い他の巫女の盾になるために。

 

 「でも、ほら、お煎餅とかおまんじゅうとか大好きじゃん篠影さん」

 「金摺かなすれ、それ禁句だって!あーあーあー、お昼!お昼きつねうどん作りますから!ほら、篠影ちゃん尻尾膨らませて威圧するのやめて?ね?」

 

 それはそれとして、いくら《《肉体年齢が12歳から変わってないから》》って、事あるごとに頭を撫でてくる同僚にはちょっとこう、思う所が無いでもない。

 「きつねうどん、お餅もトッピングして。そうすれば許してあげる!……だって、私はみんなよりお姉さんだもんね」

 「「はーい」」


 まあ、最近はその、色々楽しくやっているけれど。


☆★☆★☆★☆


年増ロリお姉さん狐耳ドM巫女!

……ってプロットには書いてありました。

ところで、ちいかわ映画とネタが被ってるらしいですよ?

……なんで?


ということで、第二章開始です。

ヒロインは150歳児お姉さん!(精神・肉体年齢とも変化しないため)

刀は最初、祢々切丸にしようと思ったんですが

「巫女、超大太刀……。前に思いっきり書いた記憶があるな!」と別の刀になりました。

銘と性能については後ほどで。


ということで、次回「母、襲来」

更新予定は8月8日20時です。

どうかよろしくお願いします。


次の更新が楽しみだと思われた方は、良いねコメント★拡散等で応援していただけるとありがたいです。

よろしくお願いします。




最新話までお読みいただき、感謝致します。


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どうかよろしくお願いいたします。

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