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公爵家の転生侍女ですが、どうやら私はヤンデレ悪役令嬢に娶られて王妃となるようです……なんて?  作者: 禍成 黒いの


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閑話 教導部筆頭 瞠目院鉄葉の日常

 日本は、平和だ。

 欧州はアトランティスの、無限湧きする魔王軍に対応するため日々戦力をすり減らしている。

 アメリカは、まあ割とうまくやっている方だが人口がバラけ過ぎていて魔力発電を上手く使えていない。というか、魔力を搾取するなと反魔力発電団体やらが騒いでいて治安の悪化にも繋がっている。

 魔蝕汚染物質の処理にはそこまで困ってないみたいだが、たまに漏れ出す魔蝕性侵略体(クリーチャー)の対処には苦慮している印象だ。

 まあ、祖霊装束トーテム・ドレスとやらに選ばれるのが大抵ネイティブアメリカンな事もあってあれこれ問題を抱えているのだろう。

 

 中露は、正直よくわからない。

 人口から考えて、中国なんかはかなりの勢いで魔力発電を行っていると思うのだが、汚染物質の処理方法が不明だ。

 最初期は日本海に思いっきり不法投棄されていたが、海の魔蝕性侵略体(クリーチャー)は対処が難しく自国にもかなりの被害が出たことで中止したようだった。

 となると、内陸部で処理していることになるがそのあたりの情報が一切流れてこない。

 

 実際にはアトランティスと同じく、《《穴》》が空いて居ても不思議じゃないだろう。

 となれば、一国での対応は難しくいずれ破綻する可能性が高い。

 別の画期的な方法で処理しているとの噂もあるが、あの国ならそんな技術を開発したら嬉々として高額で魔蝕汚染物質を引き取る商売を始めるはずだ。

 それがないということは、まあ、そこそこヤバい事になってるんじゃないだろうか。

 ……まあ、これも一種のチャイナリスクだな。

 いずれ破綻した時のために日本としては魔法戦力の育成に力を割かずにはいられない。

 

 ロシアは、んにゃぴ、もっとわからん。

 天然資源の宝庫だから魔力発電はあまり行ってないという話もあれば、人口密集地はバリバリの吸魔銀内臓建造物だらけで積極的に魔力発電を行っており……なんて話もある。

 ……魔力発電は発電所の場所を問わんので規模がわからんのよなぁ

 結局、こっちも一応は警戒しとかなきゃならんって話になっては居る。

 資源と言えば、とっくの昔に見限られた《《原子力》》に手を付けてるって話もあって正直こわい。

 

 とまあ、そんな世界各国に比べて日本は保有魔法戦力に対して魔蝕性侵略体(クリーチャー)の発生数が低くかなり余裕なわけだ。

 《《神器》》の数も多いしな。

 そうなるとまあ、政府としては魔蝕性侵略体(クリーチャー)による被害を災害とみなし、巫女や禰宜ねぎを派遣して対応するみたいな外交政策を摂りたくなるわけで……。

 そんな、巫女や禰宜ねぎが派遣先で死なないように鍛える仕事も重要になってくる……と。


 「駄宮司、終わった。次のトレーニングメニュー(トレメ)はよ」

 「いや、早いでしょ。後見てみ?依霞ちゃん以外全員半分も終わってないっしょこれ。あとハンドルネーム(ハンネ)で呼ぶなし。一応上司よ、オレ。職場で呼ぶ時は瞠目院どうもくいんさん、もしくは鉄葉てつよう先生な?……これでも、教導部筆頭でめちゃめちゃ偉いんだからな、オレ」

 だから、オレみたいな引退した禰宜ねぎが教導部隊として歳を食ってもまだ働かされる環境が出来てるわけだ。

 まあ、他国の魔法使いがどんな戦術で戦っているのかを把握するため……、なんて名目でアトランティスの戦闘映像を仕事中に見てても余程忙しい時以外は文句をつけられない環境なのは良い。

 割と古くからネット文化に親しんできたオレとしては最高の職場とも言える。


 ちなみに、今やってるのは新人の振り落としも兼ねた基礎トレ。

 魔力量や特異な魔法属性でスカウトされた人材はともかく、魔法を使ってかっこよく戦って年収高めでうっはうはなんて事を考えて応募してきたやつをふるいにかけるための儀式みたいなもんだな。

 例年、ここで95%は落とす事になってる。


 ……まあ、とはいえそろそろ6月。

 ここまで粘れた根性のあるやつはそこそこ最後まで生き残る。

 ただまあ、訓練に着いてこられただけで増長されても困るので大体この辺りから現役の、スカウトで入った若いのを混ぜて格の違いってやつを教えてやる過程が混ざる。

 頑張って高校生活を部活やらなにやらで頑張ってきて、それでも年下の女の子に全然敵わないのは堪えるだろう?

 特に、今年はコミュニケーションが最低限の依霞ちゃんだ。

 ボロボロになってひーひー言ってるやつにも「がんば」ぐらいしか声をかけない。

 そりゃ、心も折れかけるってもんだ。


 ……ここで折れてくれれば死と隣り合わせの仕事なんてしなくて済むからな。

 損耗率は1%前後とはいえ、気を抜いた頃に同期の訃報が届く職場だ。

 確かに見た目は華々しいが、仕事としては絶対におすすめしないね。

 というか、普通はアトランティスみたいに強制的に参加させて人数を賄うもんなんだよ!

 なんでこんなに志願者多いんだよ日本は!

 自衛隊は人手不足で困ってるってのにな!

 

 あ、そうだ、心が折れるといえばアトランティスの新婚カップルによる魔王討伐な。

 基礎トレメニューが一区切りついて、魔法の使い方を勉強し始めた新人に見せるには劇物すぎる動画だったよ、うん。

 15歳と18歳のペアで、相性が良かったとは言え魔王を相手に快勝だからな。 

 そろそろ五十路に差し掛かろうってオレでも真似する気さえ起きないヤバい技術。

 あんだけの技術を鍛え上げたメニューが有るなら、あの篠影さんちの巫女もなんとか救ってくれるかもしれないな。

 ……都合よく篠影の巫女はアトランティスに派遣されてるし、謁見依頼でも入れておくか。

 あちらさんとしても日本から来てる応援戦力が強くなるのは歓迎だろうしな。


 おっと、そろそろ基礎トレが終わるかな?

 ……って、依霞ちゃんは勝手にスマホゲー開始するんじゃありません!

 オレだってメンテ開けのガチャ回したいの我慢してんの!

 ったく、スカウト組は自由すぎて困るね全く。

 まあ、スカウトした以上死なせちゃならないってんで、今新人がへばってる訓練なんてへのツッパリにもならん密度で訓練してきた以上、それが許されるだけの強さを持ってるのも事実なんだがなぁ。

 

 「吸魔銀を避けて奥の的に魔力を届かせるだけで、なんでこんなに体力を使うんだ……」

 「青貫の巫女さんとかこんな繊細なコントロールとかしてなかったじゃん、なんでウチらだけこんな……」

 「疲れた……。頭痛い……」

 繊細なコントロールしてないように見えるのは、神器の影響で《《してないじゃなくて》》、《《できない》》状況になってるからなんだよなぁ。

 それでも、一応目標周辺しか被害が出ない攻撃が出来てるんだから十分なんだよ、アレは。

 火力だけなら世界一までありえるしな。

 

 「神器持ちになったら魔力制御難度が跳ね上がるんだぞ?現状でまともに制御出来てないやつにそんな物を渡せると思うか?ほら、一人前になりたかったらもう1セットこなしてみろ。……2つ年下の依霞は涼しい顔でこなしてんぞ?」

 もっと言うなら、3つは下のリシェルテ女王なら半分寝てても出来る作業だろうよ。

 ジェイドメリア王妃に至っては、ここにおいてある的全てに同時に魔力を届かせる作業でも片手間以下でやってのけるだろう。

 はー、ほんとどうやったらあんな腕前になるんだろうねぇ。


 「駄宮司、終わった。帰る、NP?」

 「……だからー、ちゃんと呼び方変えてって言ってるでしょー?まあ、メニュー終わったんなら帰っていいけどさー。あ、宿舎の冷蔵庫にプリンの、高いやつ買って来といたからみんなで分けておいて」

 「k。thx」

 「はいおつかれー」

 

 「ってことで新人諸君。この1セットが終わったら今日の訓練は終わりだ。ついでに、オレも来週から出張でしばらく居ないから別の宮司が担当になる。優しい担当に当たるといいな!」

 ってことで、今年の新人の訓練担当はこれにて終了!

 オレから解放されるって喜んでる奴らが多いが、正直他の宮司や巫女も似たようなもんだと思うんだよなぁ……。


 しっかし、死んでほしくないからって訓練をキツくすると逆に恨まれるの、なんとかなんねぇかなぁ……。

 ままならんねぇ。



☆★☆★☆★☆


ということで、駄宮司は巫女さんやら禰宜を鍛える教師のてっぺんの方の教導部の人でした。しかも責任者。

とは言え、自衛隊じゃないので先生呼びです。

呼ばれてないみたいですが!


ということで、日本の状況をちょろっと垂れ流して本編に戻ります。

次回「こうして私は『呪われた』」

更新予定は8月5日20時。

どうかよろしくお願いします。


次の更新が楽しみだと思われた方は、良いねコメント★拡散等で応援していただけるとありがたいです。

よろしくお願いします。




最新話までお読みいただき、感謝致します。


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