第31話 死が二人をわかつとも
あれから、大変でした。
凱旋パレードから連日の祝勝パーティから実に百年ぶりとなる魔王撃滅に関するインタビューから……。
こちとらつい先日病床から起き上がったばかりの病み上がりぞ!?
って感じで、禄にリハビリする時間も取れず、そろそろ昏睡から目覚めて2週間が経過しようというのに未だに移動はルテのお姫様抱っこによって行われています。
……なお、車椅子用意しましょう!という私の極めて真っ当な提案はルテに秒で却下されました。
ルテにとっては、両手が使えないことよりも私を常に抱きしめられる事の方が重要な様です。
……というか、いざとなれば重力魔法で私を浮かせて両手を使えば良いのでそりゃそうですね。
で、忙しすぎたのでどうでも良さそうなインタビューとか、あと時間の掛かりそうでかつ緊急でない謁見の依頼とかは後回しにさせてもらってます。
というか、アトランティスの王族って政治とか何もしなくて良いはずだから基本的には毎日鍛錬だけしてればいいって話だった記憶があるんですがなんでこんなに忙しいんですか!?
あー、そう、鍛錬、鍛錬で思い出しましたが……。
なんかインタビューでもやたら鍛錬・修行・練習等の言葉が多く出てくるんですがどうしたんですかね?
毎週末ルテと模擬戦やってる以外はそんなにおかしなことはしてない……はず。
結局、魔法の練習なんて長時間使う以外にありませんからね。
ルテと一緒に、常に、いつでも、《《寝てる間》》でもずーっと極低出力で魔法を使い続けた、それだけのことです。
単純作業にならないように、色々工夫しながらね?
ネットのほうでは、私とルテが退位までにどれだけの魔王を倒せるかが話題になってますね。
まあ、陸の魔王は相性差で圧勝できた様なものなのでその他の魔王となれば流石にルテと二人だけで全勝するのは難しいでしょうね。
なので、まあ、何体倒せるかは私がルテを説得して第二王妃や第三王妃を娶ってもらえるかにかかってる感じなんじゃないでしょうか?
あとは超強力な貴族と友好的な関係を築いて魔王戦に参戦してもらうとかですね。
一応、シナリオではルート次第で何人か最終戦に参加してくれてましたし。
私達の一つ上の世代……、まあ、私の年齢からすると実は一つ年下になる世代の最強キャラさんは是非とも参戦してもらいたいところなんですよね。
夜間最強の吸血姫令嬢とか、中二病すぎてビンビンきません?
で、それはそれとして……。
「やっぱり、せっかくお互い白黒の2色ずつドレスがあるんですから、最初は二人共白で入場して、途中で黒にお色直しするのはどうです?……というか、私白い方のドレス来た時意識不明だったんで着た記憶が無いんですよ!あと、気になるんですが意識のない人間にウェディングドレス着付けるのって物凄く大変じゃありませんでした?メイドさんたちにお礼いいました?」
「メリー?ドレスの着付けはわたくし一人で行いましたの!だって、あの時はその、とても気が立っていて誰にも、いえ、セイラとベル以外には誰もメリーに触れて貰いたくなかったんですもの。……細かい動作以外は、重力魔法でメリーの身体を操って着て貰ったのでそこまで難儀はしませんでしたの!……下着着せ忘れてたのに気がついたのは戴冠式終わってからでしたけど」
「ちょっ!?それは聞き捨てなりませんよ!?私、全世界に意識不明で下着履いてない状態で姿を晒してたんですか!?」
「ほぼ下着姿になったわたくしよりはマシですの!」
「むしろ喜んで脱いだでしょうがルテは!」
「てへっ、ですの♪」
「はいかわいー」
はい、えー、私が寝てる間に籍は入ってたんですが、結婚式自体はやってない事に気が付きまして……。
現在、二人で色々打ち合わせ中です。
まあ、最終的には私達の組んだ内容が議会に送られて調整されたものが決定稿となるのですが……。
なんだかんだ私達の使う資金は全て欧州全体から徴税した税金から出てるとは言え、結婚式の内容まで議会で議論されるのは流石に恥ずかしすぎませんか!?
「ねえメリー?ケーキを陸の魔王と似た形状にしてもらって、それを一刀両断するのとかわたくし、いいと思いますの!」
「後で食べる方が困るでしょうそれ……」
まあ、下手するとこうやってルテの提案が通っちゃったりして変な企画になることもあるでしょうし、やむなしですかね。
☆★☆
で、私達の作ったプランは筆頭メイドのセイラさんの精査が入った後に議会へ送られ、爆速で承認されて音速で準備が進み、びっくりするほどすぐに結婚式当日がやってきました。
……多分これ、結婚式の時に取った写真やらがグッズ化してアトランティスの運営資金になるから話題性のある今のうちにやっちまえ的なやつだと思います。
まあ、正直その辺りはしょうがないと思うので存分にやっちゃってください。
ただし、ルテのグッズは私の元へサンプルを送るように!
そんでもって、肝心の結婚式なんですが……。
某十字架とかがシンボルの一神教がだいぶ衰退した世界であるにも関わらず様式は引き継いでる感じなんですよねぇ。
いや、わかりますよ?ウェディングドレス、着たいですもんね?
まあ、様式を引き継いでるだけで、神なんぞには誓わず、招いた人々に証人になってもらう感じの人前式が人気ですが。
「では、新婦二人の入場です」
会場への入場は、通常父親にエスコートされて行ったりするものですが……。
まあ、ルテは親がアレなのでいつも通り、ルテに私が抱きかかえられたままヴァージン・ロードを進む流れにしてもらいました。
……実家にその旨を連絡した際、イケオジパパンにめちゃめちゃ泣かれましたがそもそも私、一人で歩くのに魔法を使って液体を身体に絡ませながらじゃないと無理ですからね!?絵面酷いですよ!?って感じで諦めてもらいました。
ルテの方はメイドのセイラさんに頼む案もありましたが、どうにもセイラさんは当日カメラの操作に忙しいとのことでこちらも断念しました。
……カメラ操作?
「新婦ジェイドメリア。あなたはここにいるリシェルテを病める時も、健やかなる時も。喜びの時も、悲しき時も、妻として愛し、敬い、慈しむ事を誓いますか?」
ここで、神父さんではなくアトランティス首相が問いかけてくるのちょっとおもしろいですよね。
……誓への返答は決まってます。
「非才なる我が身が果てるまで」
ちょっとだけ、「前向きに善処します」みたいな事を言いたくなりましたが我慢しました。
ここはボケる場面じゃありませんからね!
「新婦リシェルテ。あなたはここにいるジェイドメリアを病める時も、健やかなる時も。喜びの時も、悲しき時も、妻として愛し、敬い、慈しむ事を誓いますか?」
そして、ルテの返答は……。
「ええ、死が二人をわかつ《《とも》》、ですの!」
うーん、愛が重い!
これ、死ぬまでどころか死んだ後でも絶対に離れないって言ってますよね!?
「では、指輪の交換と、誓のキスを」
指輪の交換は、あっさりと。
誓いのキスは……。
「メリー?わたくし、ちょっと嬉しすぎて色々我慢できそうにありませんの。……覚悟してくださいましね?」
「え?は?」
直後に行われた、約10分にも渡る濃厚なディープキスは半ばエロ動画扱いで切り抜き動画が異様な再生数を叩き出したとかなんとか。
その後の出来事?
ブーケトスをお友達のリーズリットさんがナイスキャッチしたり……。
ケーキ入刀をレーザーで行おうとしたルテを必死に止めたり……。
ずっとイチャイチャしてたら、色々限界を迎えたルテが披露宴途中キャンセルで帰宅して初夜突入したりと色々ありましたが……。
……あの、全部ひっくるめて一言いいですか?
どうしてこうなった?
☆★☆★☆★☆
はい、ということで第一章終了でございます。
結婚式、もうちょっと荘厳な雰囲気になるかと思いましたが二人がイチャイチャしたがってるので軽い感じになりました。
ここから閑話を1~2話?まあ、2章のプロットが完成するまで挟みまして次章開幕となります。
ここまでお付き合い頂きありがとうございました。
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で、次回は駄宮司の正体がわかる閑話ですね。
更新予定は8月3日20時。
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