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公爵家の転生侍女ですが、どうやら私はヤンデレ悪役令嬢に娶られて王妃となるようです……なんて?  作者: 禍成 黒いの


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第3話 トラウマはサクと排除しちゃいます

 地球……。

 まあ、地球は地球なんですが、産業革命直前に『魔力』なんて別のエネルギーを発見した地球と言いましょうか。

 それにより、蒸気機関による産業革命と《《同時に》》魔力による様々な実験・開発が行われました。

 で、まあ、結果として石油関連の技術が開発されるより早く魔力を電気に変換する素材が開発されまして。

 どうなったと思います?

 ……他の技術はともかく、発電に関しては魔力発電が主な手段になった世界線なんですよこの地球。

 

 ちなみに、魔力の主な使用目的が発電なので電気文明としては転生前の地球と同じぐらいまで通信技術含めて発展しています。

 ……まあ、よくある知識チートってやつは望めない状態ですね。スマホもありますよ?

 おっと、その辺りはおいおいですね。

 この国の成り立ちとかも関わってくるそこそこ面倒な要素がありますのでお嬢様がもうちょっと大きくなってから一緒に授業で習いましょう。

 ……まあ、家にあった資料をざっと流し読みした感じ、私が書いてたシナリオの世界と大きな齟齬は無さそうなので私は勉強必要ないかもしれませんが。


 「やっぱり、はだかのおーさまはおおばかですの!」

 絵本を読み終えると、リシェルテ様は楽しそうに笑って言いました。

 「だって、もしはだかだったとしても、はずかしくないはだかならどうどうとしていればよかったんですの!」

 ……あ、あの設定の片鱗が。

 「そうですの!どうどうとして、みせつけてやるのがこうきなるもののいんげんをしら……たき?し、しいたけ……?」

 威厳を知らしめる、辺りですかね?

 いえ、それはともかく……。

 やっぱり片鱗が見えますね、露出狂の……。

 

 ……よし、グレてしまう原因となる出来事と一緒に、その辺りも矯正しましょう!

 露出狂で事あるごとに脱ぎまくる公爵令嬢とか洒落になりませんからね!

 というか、安くないんですよこの子の裸は!シナリオ上脱がしまくってたのは私ですが、だからといってそれは私が受け取った電波でのお嬢様がそうであっただけで私の責任ではないはずです!

 「お嬢様は素晴らしい考えをお持ちですね。ですが、このお話の大事なところはそこではなく、見えないなら見えないと正直に言いましょう、というところですからね?」

 「それはとうぜんですの!とうぜんすぎてきょうくん?にもなりませんの!」

 ん゛っ!ドヤ顔かわわわわ! 

 とりあえず、健全に育てるためにしっかりと倫理観の教育とかやっていきましょう。

 


 で、そんな感じでお嬢様の可愛さを限界ギリギリまで流し込まれる侍女生活が2ヶ月ほど続いた頃。

 とうとうお嬢様が悪役令嬢として歪みを抱える事となるイベントが発生しました。

 ……いや、ホントに起こるんですねコレ。

 正直、私の書いたシナリオ通りになるのか、どれだけこの世界の出来事を予言してる感じになるのか怪しんでいたんですが、このイベントはきっちり起こってくれたみたいで安心しました。 

 いえ、安心しましたとか言ってはいけませんね。

 なにせ、リシェルテ様は今この瞬間めちゃめちゃ追い込まれた心境になっているはずですから。

 

 「ダメです!お嬢様がどこにもいません!」

 「離宮から出ていったって事はないはずだ!お嬢様はまだ小さい!どこかの物陰でお倒れになっているのではないか!?」

 「そんなの!もうとっくに探しましたよ!メイド総出で!それでも見つからないんですよ!」

 ……はい、5歳の時に起こるリシェルテのトラウマその1、失踪事件です。

 これ以降、リシェルテはそこそこ頻繁に姿を消して、この離宮に勤めている人間全員に多大な心労を掛けることになります。


 そして、そんな失踪事件を何度も起こす娘に対して、実の親であるアルトシュリア公爵の対応は……、まさかのスルー。

 というか、このクソ親、私がリシェルテ様にお仕えするようになってから1度も会いに来ていません。

 ……まあ、完全放置系毒親なので当然っちゃ当然なのですが。

 ぶっちゃけ、彼にとって娘という存在は邪魔ですらあるとカテゴライズされていますので。

 仕事の合間に会いに来る、なんて行動は100000%ありません。

 私のシナリオ通りに進むとすれば、確か成人扱いとなる16歳の誕生日まで一切顔を合わせないはずです。


 さて、では急いでリシェルテ様を《《助けに》》向かいませんと。

 何故なら、彼女は今自分では動くことの出来ない状態に陥っているからです。……設定通りなら。

 原因は、魔力を覚醒した際に起こる魔法の暴走。

 本来、10歳で覚醒するはずの魔力をそのたぐいまれなる才能によって認識してしまったが故に起きた事故です。

 本来であれば、専門の魔法の教員によって即座に魔力制御を覚えさせられて魔法が暴発することは無いのですが、ちょーっと彼女の使う魔法の問題でこの失踪が制御不能な魔力による暴走状態だと誰も認識できない状態だったんですね。


 この国では貴族の血脈に連なるものでなければ魔法は使えないため、本来の覚醒年齢より5年も早く魔法が使えるようになったなど使用人には想像の埒外です。

 あ、一応使用人の方とか一般人も、魔力自体はあるんですが出力が低いので魔法として発現させられない感じで。なので魔力感知とかその辺の専門技能って習わないんですよね。

 ……さて、恐らくはこの辺りでしょうか?

 お嬢様の寝室の中央で立ち止まり、そっと言葉を紡ぎます。


 「風よ……流れて……」

 いやぁ、お嬢様と顔を合わせた日からめちゃめちゃ必死に魔法の練習を続けた甲斐あって、私も魔法を使えるようになってて助かりました。

 この辺りは、設定担当とうんうん頭を悩ませながら作ったことわりを知っている私唯一のチートと言えるでしょうか?

 ……あ、部屋の隅で風の流れがおかしい。

 何も見えないのに、明らかにそこに《《うずくまった幼女》》ほどのサイズの何かがあるのを感じます。

 ええ、そうです。

 これがお嬢様の魔法であり、繰り返される失踪の原因です。

 ……ついでに、露出狂となる原因の一つでもあります。はい。


 光学迷彩。

 「隠れてイタズラしよう」というほんの僅かな稚気に光の魔法の暴走が重なって発生した効果。

 この効果のせいでリシェルテは失踪したかのように思われたわけで。

 ……で、この効果のせいで後に、屋外で服を脱ぐという興奮を学習して露出狂になっていく事に。

 ただ、普通に光学迷彩の魔法が発動しているだけなら普通に移動して誰かにイタズラを仕掛けたりして存在に気が付かれるのですが……。

 実はリシェルテ、2種類の魔法が使えるキャラでして。

 

 同時に発動した重力操作の魔法のせいで動けなくなっているのです。

 リシェルテは様々なトラウマやら毒親のせいで歪んで悪役令嬢化するまえはとても優しい女の子なので、重力操作の魔法によって周囲に何か被害が出ることを恐れて反射的に自身を対象に使用してしまってる状態なんですよ。

 で、自身に通常の数倍の重力が掛かってる状態なんですね。

 5歳児が数倍の重力を浴びたら普通に動けなくて声も出せない状態になります。

 で、これが魔力枯渇で気絶するまで続くんです。

 しかも、魔法が暴走する度に毎回。

 そりゃ歪みますよ。

 

 暴走する度に、誰にも見つけられず声も出せず動けない。

 見つけられる時には気絶してるので、疾走して戻ってきて呑気に寝てただけと使用人たちは認識する。

 親は会いにこないので魔力が覚醒していることに誰も気が付かない。

 これがトラウマにならない幼女はいません。

 だから、私が助け出す必要があったんですねー。

 ……ちなみに、見つけるだけなら懐中電灯一つあれば事足りる話なんですが、魔法の制御方法も教える必要があったので地味に私の魔法の覚醒も必須事項だったりしてます。


 「見つけましたよお嬢様。ん、少し太りました?とりあえずベッドまで運びますね?」

 いやぁ、見つけられてよかった良かった。


☆★☆★☆★☆


光学迷彩と重力操作の魔法で、空中を全裸で飛び回る露出狂公爵令嬢!

……になるルートは回避され……たのか?ホントに?

あと、重力によって血の流れが恐ろしく悪くなるので動けないし声も上げられないって状態になるわけですね。

……ドラゴン◯ールみたいに重力100倍とかやったら筋肉とか鍛えてるとか関係なく内臓がイカれて死にます、はい。

サイ◯人は多分ダイジョブなんでしょうけど。

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