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公爵家の転生侍女ですが、どうやら私はヤンデレ悪役令嬢に娶られて王妃となるようです……なんて?  作者: 禍成 黒いの


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第26話 陸の魔王 破壊の天使

 場内の《《匣》》置き場から取って返し、私達は急いで移動用の緊急車両に乗り換えました。

 まあ、移動中になにかあっては問題なのと、最悪障害物を乗り越えて進めるどでかい装甲車ですね。

 ちなみに、何故か離宮時代からずっと一緒に居てくれるメイドのセイラさんが同乗してます。

 「本来ならばわたくしめが運転したかったのですが……。免許も取りましたし」

 「わたくしの初陣の時も運転してくださいましたもの、リムジンでしたけど。次回からそう手配しますの!」

 「ルテの初陣って、ええ……?動画あります?あ、配信があると。……後でチェックしますね?」

 何があれば戦場にリムジンで突っ込む事になるんです?

 なんか、目が覚めてからこっち首を傾げるような話ばっかり出てくるんですが、ルテさんはっちゃけすぎてませんか!?


 「ではお嬢様、ジェイドメリア様、ピンマイクをどうぞ」

 「はいですの!」

 「マイク?マイクナンデ!?」

 「初陣、前回と非常にウケが良かったからですね。お嬢様が芝居がかった台詞を吐きながら敵を圧倒するのが思いの外面白がられております」

 あー、ルテはそういうとこありますからねー。

 空を飛んでビームを放ちながらかっこいい台詞とともに無双する女王様。

 ……なるほど、これは覇権コンテンツですわ。


 そんな感じでやいのやいのしてたらいつの間にか戦場に到着していたようです。

 聴こえるのは、彼方から響く嘲笑の声。

 ろくの魔王、割と明確に人間と同程度には知能がありそうでめんどくさい相手なんですよねぇ。

 「ではお二人とも。ご武運を」

 「はい!」

 「はいですの!」

 まあ、相性は良い相手なので気楽に行きましょう。

 対魔王なんて時間切れまで死ななければ勝ちみたいなものですし。



 さて、そのろくの魔王ですが……。

 遥か遠くで、取り巻き達の組体操を椅子に、そのてっぺんからこちらを指さして爆笑してます。

 何が面白いのか、座ってる部下をべしべし叩きながら。

 ……部下。

 そう、この魔王は周囲の取り巻き含めて1体の魔王なのがとても面倒な魔王なのです。


 いや、取り巻きがいる事自体はいつものことではありますし、そこ自体は問題じゃないんですよ。

 取り巻きが普通の雑魚よりかなり強いとか、取り巻きの攻撃の隙間を縫って普通に魔王が攻撃してくるとかの厄介さはありますが魔王自体の戦闘力は他の魔王よりまあまあ低い方ですし?

 ただ、これが魔王の支配する《《概念》》もセットだとめんどくさいことこの上ない敵へと変わります。


 魔蝕性侵略体・首魁級(ファッティ)という、魔王不在時の魔王軍指揮官は周囲の環境を自分の住みやすい環境へと改変する能力を持ちます。

 ただし、これは気温が下がるとか、空気が薄くなるといった魔法で再現できる程度の変化で済む話。

 対して、魔王は物理法則を書き換えるを超え、自分にとって最も好ましい《《概念》》を自分の支配領域に適用させます。

 

 ろくの魔王の支配する概念は《《崩壊》》。

 奴の支配領域テリトリー内では全ての物質が強度を落とし、簡単に崩れるクッキー程度の硬度へと変わってしまうのです。

 実際、現在(ろく)の魔王が座ってる取り巻きのオブジェも一番下に居る取り巻きが耐えられずに徐々に崩壊を始めています。

 なんだったら、こちらを指さしながらバンバン叩いてた椅子役君も叩かれた箇所がぼろぼろになっちゃってますかわいそう。

 ……いや、ほっとくと再生するから可哀想でもないか。


 崩壊の概念ってそんなもん?と思いました?

 じゃあ、これが魔法や、寓話礼装メルヒェンにすら適用されるとしてもそう思います?

 崩壊した魔法は本来の威力を失い、崩壊した寓話礼装メルヒェンはそもそもその機能すら停止させる。

 何だったら、直接攻撃系の寓話礼装メルヒェンなんてろくの魔王に接近してぶん殴るだけで自己崩壊しますからね。

 実際、かの勇者王ですら殴りかかったハンマーが砕け散ってしまい撃退に失敗した経歴を持ちます。


 まあ、寓話礼装メルヒェンは次元の狭間に吸い込まれようがバラバラに砕け散ろうが完全な状態で手元に戻ってくる謎機能がついてるので大きな問題はないんですが。

 それでも、砕け散ってからの再生に1か月以上かかってしまい 魔蝕性侵略体・首魁級(ファッティ)相手に苦戦する勇者王が情けなかったとの記録が残ってます。


 取り巻き相手に装備を消耗させ、魔王としては弱い自分のもとに到着する頃には大きく戦力を落としている相手を弄ぶ醜悪な悪魔てんし

 それが、(ろく)の魔王なのです。

 まあ、勝ちますけどね。

 あ、ろくの魔王のト書きですか?

 【自分以外全部壊れてしまえばいいと思ってる破滅主義者。基本、嘲笑ってる表情で描いて】

 ですって!

 攻略情報とかじゃないんかい!



 「では、メリーの初陣ですの!魔王ぐらい倒さないと華々しさが足りないと思いません?」

 「私には火力がないので、魔王討伐はルテのお仕事ですけどねー」

 「ええ、任せて下さいですの!」

 ということで、サクっと戦闘開始してしまいましょう。

 まあ、シナリオ上(でんぱ)でルテ達がどうやってあの破壊天使を撃破したか知ってる私からすれば今回はボーナスゲームみたいなものです。

 ただし……。


 「取り巻き9体は多いですって!」

 「思ったより攻撃が激しいですの!」

 本来4人で、なおかつメンバーの入れ替え可能な魔王相手の攻撃が全部抱き合ってる私達に集中する構図をどうにか出来ればの話ですが!


 炎や岩石、竜巻に電気と9体の取り巻きから発射される弾幕が私とルテに攻撃の暇を与えません。

 おまけに……。

 「ルテ!急降下!」

 「はいですの!」

 ルテの光線魔法にも勝るとも劣らない出力の純魔力ビームやら追尾式のインスタント使い魔やらがろくの魔王から隙を見て飛んでくる始末。

 これは流石に……。


 「寓話礼装メルヒェン無しでの討伐は無謀っぽいですね。解禁しましょう!」

 「わかりましたの。でも、初手はメリーにおまかせしますの!」

 舐めプじゃ無理っぽいですね!

 

 というわけで使わせてもらいましょう。

 「起きなさい、ハートの女王の配下達ゾルダート・フォン・シュピールカルテン!」

 腰に装着したデッキケースから数枚のトランプを引き抜き放ちます。

 ……トランプがデッキケースに入ってるのはちょっと謎ですが、なんか妙に馴染むのでアリだと思いました、はい。


 放たれたトランプは空中で高速回転を開始し……。

 「さあ!尖兵達よ、敵陣を撹乱し隙を作れ!」

 私の命令に従って敵陣へと突入しましす。

 え?崩壊の領域に入って大丈夫なのかって?

 まあ、トランプ本体に攻撃が当たればそりゃダメでしょうけど……。


 取り巻き達へ接近したトランプは外周に円形の魔力刃を形成。

 敵を掠めるように飛び回り手傷を与えます。

 とまあ、本体が接触しない攻撃ならそうそう破壊されはしないのです。

 「まあ、あれはメリーが操ってますの?それとも自動?」

 「自動ですね。命令権は私にありますが、判断は寓話礼装メルヒェン任せです!」

 「便利ですのね!」

 トランプ達に妨害されてほんの少し密度の下がった弾幕をくぐり抜けながらルテが笑いますが、強力な効果にはデメリットがつきものなんですよねこの世界。


 「ただ、ハートの女王クイーン引い(ドローし)てしまうと全トランプがこちらに攻撃してくるので怖い装備でもあるんですけど……ねっ!」

 あっぶな!今の魔王ビーム、取り巻きの投げた岩石を気流操作でぶつけて防いでなければ直撃コースでしたよ!?

 これは、トランプ兵に増援が必要みたいですね。

 

 ということで……。

 ドロー、トランプの兵士(モンスターカード)!ドロー、トランプの兵士(モンスターカード)!ドロー、トランプの兵士(モンスターカード)!あ、シャッフル。ドロー、トランプの兵士(モンスターカード)!ドロー……、カテゴリー8か、おもしろい!

 と、たまにシャッフルを挟みつつ、トランプを引きまくります。

 え?ハートの女王クイーンが怖くないのかって?

 ええ、全然怖くありませんとも。


 だって。

 【これ、ハートのQね】

 って、カード裏に書いてあるんですもん!


☆★☆★☆★☆


おわかりの方はおわかりでしょうが、BGMは妖星乱舞でお願いします。


ということで、魔王戦です。

メリーさんアイがだいぶ反則感出てきましたね……。

しかし、相手もこれまで13代のアトランティス王が倒しきれなかった魔王。

果たして、メリーとルテはこの魔王を無事打ち倒すことが出来るのか。


次回!「蹂躙、蹂躙、いちゃいちゃ、蹂躙」

更新予定は7月22日20時。

どうかよろしくお願いします。


次の更新が楽しみだと思われた方は、良いねコメント★拡散等で応援していただけるとありがたいです。

よろしくお願いします。




最新話までお読みいただき、感謝致します。


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