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公爵家の転生侍女ですが、どうやら私はヤンデレ悪役令嬢に娶られて王妃となるようです……なんて?  作者: 禍成 黒いの


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第14話 とりあえず、王を殺しましたの

 「……メリー?」

 今、この瞬間自分の目に映るものが信じられずに声を上げました。

 大事な人が、愛しい人が、わたくしの全てが、眼の前で炎に包まれ、悲鳴を上げて崩れ落ちていく姿。

 「メリー!!!!」

 しくじりました、普段のメリーからかけ離れた様子に思わず呆然としてしまいました。

 だって、いつもあんなに強くて完璧なメリーが、あのような悲鳴を上げて無様とも言える仕草で暴れ狂うなんて思いもしなかったんですもの。

 ……だから、駆け出した今とても後悔しています。

 もし、一瞬の遅れでメリーが助からなかったりしたら、わたくしっ……!


 未だ身を焦がし続けているメリーを両腕で抱き起こします。

 炎の熱さ?火傷?それが何か問題ですの?

 今大事なのはメリーを助けることです!それ以外、わたくしの身体や服がどうなろうと知ったことではありません!

 ……炎がわたくしにも燃え移ることで性質を理解しました。これは魔力自体を燃料に燃えるものですのね?

 ならば、メリーの身体を焦がす炎もわたくしの腕に纏わりつく炎も、諸共に同じ魔力で吹き飛ばしてしまえば!


 メリーの身体を抱きしめ、メリーの身体をわたくしの魔力で包んだまま一気に魔力を放出して炎を押し流します。

 ……どうやら、成功したと見ていいでしょう。

 「メリー!炎は消しましたの!メリー!」

 ……ダメです、もう意識がありません。

 何より、この焼けただれた右半身。

 戦場に立つ者として身につけた医学知識が、「これはもう助からない」と酷く冷静な判断を下しました。

 

 「あ、おい、その……、だ、大丈夫なのか?」

 耳障りな声。

 「黙れ」

 返事と同時に放った重力塊で軽く潰し、身動きを封じます。

 ……今この瞬間に縊り殺してやりたいのは山々ですけれど、ええ、今はメリーをなんとしても助けることが大切ですので。

 でも、この火傷で助かる方法なんて……。

 いえ、諦めてはダメですの。

 だって、メリーならわたくしが《《こう》》なってもきっと諦めないはずですもの。


 何か、何か方法が……。

 ふと、脳裏をよぎったのはつい先程メリーと交わした会話。


──そういえばルテ、聞きました?今年の閲兵式デビュタント、治癒の魔法を使える聖女様が参加するそうですよ?──


 「聖女……っ!」

 希望が、見えました。

 聖女は今、ええ、このパーティー会場の直上、謁見の間にてナレーシ王と話をしているはず。

 なら、話は簡単ですの。

 魔力感知にて人の配置を確認し、光魔法レーザーにてわたくしがメリーを抱いたまま飛び込めるだけの空間を切り開きます。

 あとは、そこへ重力制御で飛び込むだけ。

 感情が昂ぶっているせいなのか、ほんの少し光魔法レーザーが強めに出て風通しが良くなりましたけど、些細なことですの。


 謁見の間に居たのは、桃色の髪の可愛らしい少女と玉座にて無駄に偉そうに座っているナレーシ王、そして王妃。

 わたくしは一も二もなく少女の方へ駆け寄り懇願致しました。

 「お願いです!メリーを!メリーを助けてください!」

 わたくしの懇願に、メリーの姿に、突然現れたわたくしに対して困惑していた聖女の表情が真剣なものに変わります。

 

 「おい、誰だお前は。こんな大穴を空けやがって!というかアレだぞ!聖女の治癒魔法の優先権は王族のものd」

 「五月蝿いですの……」

 ……囀らないでくださいますか、無能な王。


 光刃一閃。

 天井と同じく、光線魔法一振りで愚王と王妃の首を飛ばしました。

 大丈夫、熱で切断面は炭化しているので出血はありません。玉座周辺が汚れなくて掃除の手間が省けましたの。

 ……まあ、玉座ごと焼ききれてしまって改修は必要なのですけれど。

 しかし、メリーならこの程度の魔法簡単に防いでしまいますのに……。

 本当に、弱い王様でしたのね。


 「ひっ!」

 その様子に聖女が悲鳴を上げますが……。

 「何を呆っとしているのです?さあ、早くメリーを、わたくしの大切な人を癒してください。」

 「……は、はいぃっ!」

 「……それに、無能な王の暗殺は合法ですのよ。どうせ、わたくしがやらなくても誰かが殺ってましたの」

 怯える聖女に、メリーのマネをして優しく話しかけてみました。

 ほんの少し、わたくしに対する警戒が緩んだような気がします。……気のせいかもしれませんけど。

 

 純白の魔力がメリーの身体を覆い、焼け焦げていた皮膚が剥がれ落ちてゆっくりと新しい皮膚が作られていく様子が見て取れます。

 ただ、それだけでしたの。

 わたくしの大好きな優しい顔は右半分を酷く歪めたままで……。

 わたくしの大好きな柔らかい腕は赤黒い皮膚が引きつったままで……。

 わたくしの大好きな人の残酷な姿に、涙が止まらなくなってしまいました。

 「メリー……、皆を守るためにこんな姿になって」

 「大丈夫……ですっ!命は、何としても救ってみせます!」

 ……命は。

 ……そうですのね。あの優しく美しい顔も、柔らかな腕も戻ってきませんのね?

 

 わたくしは、涙を拭いて立ち上がりました。

 ……腕の火傷が痛みますけれど、気にしてなんていられません。

 「……メリーは、貴方に任せますの。絶対に助けてください。もし、メリーが死んでしまえばわたくし……、何をしでかすか、自分でもわかりませんから」

 ほんの少しの間、傍を離れるのを許してくださいね、メリー。


 自らの空けた穴から飛び降りて仇敵の元へと向かいます。

 仇敵、ええ、仇敵ですの。

 わたくしの宝物を、わたくしの全てをけがした何よりも憎い敵。

 ……ああ、もしかしてこのまま殺してしまったらわたくし殺人罪に問われてしまうのかしら?

 それはそれで構わないのですけれど、そんな事になったらメリーの傍に居られなくなってしまいますのね。

 流石に困りましたの。


 ……あ、でもあの方たち《《王子》》ですのよね?

 うふふ、なら話は簡単でしたの。

 重力を操り、ふわりと着地をして……。

 まずは先程お友だちになった皆さんですね。

 「メリーは聖女に治療をお願いしましたの。……きっと、きっと助かりますの。聖女も、何としても救って見せるとおっしゃってましたし……」

 自分自信にも言い聞かせるように、メリーの状態を説明しました。

 それでも、不安そうな表情は拭えませんでした。

 ……わたくしもメリーのように他人に元気を与えられる人間なら良かったのに。


 ただ、ええ、この怒りも後悔も、全てぶつけるべき相手が居るのは、最悪さいこうですの。

 「第一王子アストン、ならびに第二王子ジケイド。貴方達に弾劾決闘を申し込みます。会場は今ここで。証人はわたくしの後のお嬢様方。……さぁ、二人まとめてかかってきてくださいまし?」

 ああ、わたくし、こんな顔も出来るんですのね。

 今、自分がどれだけ歪んだ表情をしているか自覚が出来るほどの顔で王子達へと向き直りました。

 本来、弾劾決闘は負けを認めれば終わりですけれど……。

 わたくしがそんな機会を与えると思いますの?


 「な!?弾劾決闘!?我々は確かに次期国王ではあるが、今はただの王族だぞ!?」

 「……確かにちょっとやらかして魔法撃っちまったのは悪いけどよ、アレ子爵か伯爵の令嬢だろ?逆に戦場に出ずに済んで死ぬ可能性が減ったまであるし、そんなに怒ることでもねえだろうよ」

 は?何を言ってますのこの方。

 ……ええ、殺しましょう。少なくとも第二王子は殺していい奴ですの。

 

 「何をおっしゃっているの?国王はつい先ほど亡くなりましたのに。つまり、今は貴方方のどちらかが国王。どちらかを倒せばもう片方が国王になるのなら、今ここで二人同時に相手したほうが手間がかかりませんの」

 そして何より、わたくしが王になればメリーには最高の環境での治療を受けさせてあげられますの。

 ……無意味な口論の末にメリーを殺しかけた王子達も憎いのですけど、どちらかといえば多分、そちらの方が重要です。


 「……正直、父上が死んだだの弾劾決闘だの情報量が多くてよく飲み込めんが、舐められているるということだけはわかった。令嬢一人に負ける次期国王ではこの国は成り立たんだろう。……その無謀、受けてやろうではないか」

 「おう、次期国王はオレだが、そんな事は関係なく女一人に舐められるのはオレも許せねぇ。叩き潰してヒーヒー言わせてやるぜ。……次はこんな不意打ちは受けねぇ。王の血統ってのは、強えからこそ王位継承権があるって所を思い知らせてやる」


 「……なるほど、メリーが昔言っていた通り、弱い犬ほどよく吠えますのね。では、今から開始ですの。いつでもどうぞ?貴方がたのご自慢の魔法、メリーから鍛えられたわたくしが全て、正面から、片手間に、ぶっ潰して差し上げます!」


☆★☆★☆★☆


流石に1話で3キルまでいきませんでしたー。

あと、ナレーシ王も台詞が入ってしまいナレ死させることが出来ませんでした。無念。

ということで、ブチキレリシェルテ様無双回です。


果たして、王子2人はこの先生きのこ!


ということで次回「これでわたくしが王ですの」

更新予定は6月24日「21時」。

どうかよろしくお願いします。


次の更新が楽しみだと思われた方は、良いねコメント★拡散等で応援していただけるとありがたいです。

よろしくお願いします。




最新話までお読みいただき、感謝致します。


このお話を少しでもおもしろいと思ってくださった方は、


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どうかよろしくお願いいたします。


 

 

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