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エレメンタルワールドⅡ~波~  作者: ゆめみじ18
第5章「テイルズ編」今現在歴2030年4月7日〈日〉

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98/109

第98話「承・採点者」

 今現在歴2030年4月22日〈月〉

 プラネットコアサーバーを停止してから1週間が過ぎた。電車はベノムリザード駅行きの途中で止まっている……一応インターバル、休憩や今後の事前準備の為に止まっている計画的運休である。


「え? 採点してほしいの?」

 桃花先生がそう読み取ったらしく、BIG4の3人、天上院咲、真城和季、信条戦空が自身の作品世界観の採点を桃花先生に頼んだ。

 もちろん、桃花先生の作品は〈読み切りとしては100点満点〉だったのだが……、正直つまらない横槍のせいで問題用紙も解答用紙も無くなってしまったので〈バックアップは除く〉当時は100点満点だったがどんどん他者から減点にされた、というニュアンスが強く。面白さという意味では100点満点なのだが……あまりこの場では意味を成さない。というよりアレ以上が存在しない、という意味での100点満点なのでこれ以上上がりようがない。


「……まあ気分でいいなら付けるけど……、いや、マジで気分だよ??」

 そういえばステータス表や種族値、戦闘力みたいな後に上昇するであろう細かな設定は作っていたが。公で公表する採点の点数はオーバーリミッツが咲を採点した80点ぐらいしか無かったか……と桃花先生は今思い出した。


「お願いします!」

「俺からもよろしく頼む!」

「嫌な予感がするぜ……!」

 咲は昔の80点からバカみたいに頑張ったので懇願し、真城は世界の基準点という名の修復点を作れる絶好の機会で、戦空は単純にサボっていたので減点されるのが目に見えていた……。


「かと言って作品の点数……だと他者が偽造? しずらいなあ~~これを正式な歴史の点数にするのはちょっと違うので〈場外乱闘が多すぎるから〉……数学の点数としてならいいよ? 〈理由が多すぎるから〉」

 と言って咲の答案用紙を見た。


「天上院咲。数学として95点。よく出来ました賞を与えたいかな、なんだかんだありつつ落としどころ付けて完結まで行ったしそこに問題はない。あとはただの屁理屈が付いてるだけなので問題なし。問題があるとするなら冷静さを欠いてほぼ推敲していないこと。この中で誰にも出来ないほど冒険しているので95点かな。本当はもうちょっとネタ温めて推敲するクセさえあればよかったかな」


 咲としても冷静さを欠いている自覚はあったのでそこは想定内、前回の雪辱を晴らしてガッツポーズ。


「真城和季。……んん~~難しいな、数学として70点。80点にしたいところだけどそれだと本気で人気を狩りに行った咲に失礼だし。あの短い文章でここまで論理的に回して世界の秩序を安定させた所は好印象。だがしかし、縁の下の力持ち過ぎて実績に乏しい……評価する判断材料が少ないし、やってることと言えば〈頑張って平均点に戻すこと〉だけ……、明暗が別れている以上高得点は難しい。今後に期待」


 和季も、確かに満点を目指していたらもっと尖ったアクションをするはずだし。作品として、エンタメとして考えるならば確かにそうか。と納得してしまう、彼らは平和維持が目的であって派手な戦闘は最後の最後になってからじゃないと出来ないのだ。


「信条戦空。数学として50点」

「低っくい!?!?」

 コレばっかりは言い逃れ出来んぞ。あと理系文系関係なく感覚派なのでそこもちょっと数学と相性が悪い。


「お前自覚あるだろ? 確かに勝つ所ではちゃんと勝ってくれる期待感や信頼はあるが、お前自身の過去話の深堀りも無ければ、成長エピソードもほぼ皆無、私という100点満点がいる以上〈読み切りなのでこれ以上活躍出来ませんでした〉は通らぬぞ? 単純に昔のストックと紙とインクに助けられただけ! 今後に期待なのは解ってるがそれにしても迷い線多すぎて微妙すぎる! 〈頑張りま賞〉だな……」

 辛口評価というよりただ事実だけを述べた桃花だった。


 桃花の判断材料はアナログとかデジタルとか、紙とか電子とか関係ない。評価基準は純粋な作品としての地力(・・)だ。

 そこに左手がスマホだからとか、機械だからとか、鉛筆、シャーペン、Gペン、や持ち物の違い、漫画、小説、論理、だろうが純粋に作品としての完成度で評価した。

 ……だがあくまでこの点数は〈理由として〉述べている。よって数学の点数。


「一応聞きますがスズちゃんの点数は?」

 咲が一応事実確認のために桃花に聞いた。

「桜愛夜鈴、数学として55点。やりたいことは解るんだけどやってることが〈ネット怖い〉とか〈何となく紙に描く〉という逃避から来てるのがマイナスポイント。ダメじゃないけど良いとも言えない、という典型例。愛されてるしフォローもされてるけど……私の後だし……あの線画が出来たあとのリハビリとして、〈面白い作品〉としてはちょっと……と言った印象かな? もちろん〈止めた〉のは悪いことじゃないし良いこと。元ネタや情報源が自分達と知らなかった自分達に気づかせる、自覚させる時間が必要だったのは大賛成だけど。作品の出来としてはちょっと……といった印象かな。何度も言うけど内容は悪くないけど、作品に対する姿勢が〈面白く描きたい〉や〈人気を取りたい〉とはまた別の理由が先行しすぎてて、描く姿勢として今振り返るとあまりいい感じとは言えない……。や、内容は正義だとは思うんだけどね?」

 作品派、エンタメ派としては、やはり当時の心境を考えるとオーバーリミッツを傷つけた心傷がズルズル残っていたのだろう。

 だからといってそれで読者が嬉しいか? はまた別の話だと思う。


 ……まぁオーバーリミッツなら解ってくれるのだろうけれど……。


◇


「じゃ、話を切り替えて瞳術の話をするぞ~~」

 GM姫が話題を切り替えた。

 これも必要な件だったが、左右の瞳術が2種類あるのは普通の表現なら別に構わなかったのだが。漫画側から見て、対面での左右なのか、鏡としての反射の左右なのか公式としての審判者が判断つかなかったので禁止せざる負えなかった。しかし今は元ネタも解り、確証や確信もあるので大丈夫だと思われる所まで来た。


 今回はそれの〈禁止〉を〈準制限〉へ緩和する処置を取る。


 今現在歴2030年4月22日〈月〉、シーズン第5章ー2、ルール変更。

 〈変更前〉〈禁止〉1人2種類の瞳術を持つ事を禁ずる。

 〈変更後〉〈準制限〉瞳術系は1作品で1人2種類まで制限を緩和。ただし、瞳術を1人2つ所持する場合、右目と左目の明記をちゃんとすること。瞳術の内容は問わないものとする。


「こんな感じかな桃花?」

「ま~~、眼を犠牲にした人もいるみたいだし……。落ち着くまでそれが妥当なんじゃないかな?」

 とりあえず今現在歴2026年7月22日から両目の瞳術解禁、……ということで今回は落ち着いた。


◇


「なんかさー、姫ちゃんの呟きのせいで国会が止まってない? 物議というか騒動というか……」

 桃花がニュースを見てそう思った。ゲームマスターの指針が宗教上やルール上絶対の国会にとってはやはり一筋縄ではいかないのだろう。

「知らんけどお前以外逆らえないんじゃないか?」

 などとGM姫は知らん顔である、ネタ帳にまで神経は尖らせられない。桃花は呆れた顔をする。

「まあどうしてもその法案通したいなら、総理が今後ちゃんと寝るのなら通しても良いけど……てか完全に心身を心配して言ってるんだぞ?」

 あくまで国のトップが度を越した努力で成果を出しても本当の災害時に指揮系統がめちゃくちゃになるのは避けたいという思惑である。実際、あらゆる層よりも上位の人間は基本ちゃんと8時間寝ているし……。

「姫ちゃん的にはちゃんと寝れば法案通しても良いよ、みたいなニュアンスだったのね」

「まあ私の呟き一個でこんな騒動になるのは、まあある程度予想はしてたが。優先度的にはカードゲームで友達出来るのか? の方がハードル高いけどな、そっちを優先したい」

 姫的には国会の法案なんか考えてる余裕は無かったし、友達のほうが重要であるという認識である。何せ1番最初の漫画から友達の事は考えていたし、難易度的にはそっちを重視しないと人生が終わる。


「で、話戻すけど。プラネットコアサーバー、再起動する?」

「んん~、まだ良いんじゃないかな? 予定としては次のターンあたりで再出発で良いと思う」

 姫としては創作としての疲れは貯まっていないが、ダイエットの運動の件で疲れが貯まり、パターン化していないのでまだ速い。というニュアンスである。


 と、ここらへんで桃花が採点者について学習し、解析した。

「あー不動武の、均一したあり方(ノーマライズステート)が発動してるのか、確か平均点になる、だったっけ?」

 流石に拡大解釈どころか解像度と理解力が高い禁書に出来上がっていることに気づいた桃花。時系列的には2015年なので恐らく真城和季が出現する前にトップに君臨していた武の思想が書かれているようである」


 GM姫も確かに2012年の夜鈴の〈世界という大きすぎる制御できない力に対抗するための願い〉として生まれたのが最果ての軍勢だったので時系列的には合う。

「真城和季が生まれたのってちょうどカイドウが倒された時期だったよな?」

 やはりメタ時系列では今現在歴2023年頃らしい。

 そこに、偶然、オーバーリミッツが天上院咲に対して付けた点数が80点しか無く、これが外界で指針になってしまったらしい。その規模は凄まじく、スマブラのファイター番号にしっかり記載されている。ここで注意しておく所は、数字は嘘をつかないのと〈余計なことも言わない・記載されない〉という特性上、発見が遅れた。

 ちなみにこのリミッツと咲の〈80点騒動〉が起こったのは2018年頃である。それからずっと数字は変わらなかったらしい。


 そこまで理解した桃花は行動指針を出す。

「だとしたら、採点するべきなのは私じゃない。真城和季だ。これが大航海時代の大船の上なら、不動武が現在いる地図と座標を正確に割り出して、戻して。和季が進路という風と帆を操作して前に進める航海士の船長。バランスを取るのが武の役目で、前に進むのが和季の役目。故に魔神という名の最果ての五帝にちくいち点数を付けるのは真城和季が適任。私は和季を指導すればいい、それが本来あるべき世界の回し方かな?」


 さっきまで進行するごとに桃花がちくいち点数を付ける採点者になればよく回るのかな? と思ったが、どうもやっている事は最果ての軍勢案件らしい。つまり世界系。

 本来、ここでの正しい回答とは。

 アメリカ代表バイタル、イギリス代表ラフティーヌ、中国代表チェン、エジプト代表バレッサ、ロシア代表バハムートに、定期的に教科に対する点数を付ければ良かったらしい。


 〈そうすれば(・・・・・)元に戻せる(・・・・・)〉と言う案件だったらしい。

 これはデジタル的なCtrl+Z、とは違い物理的な回復の方。例えば、ミサイルでビルを爆破しました、損害は10億円です、なので10億円支払って新しいビルを立て直しました。という不可逆的な回復という意味である。これでプラマイゼロ。時間進行が当たり前の世界の話だ。それを戻す時の為に点数が必要だった。そういう話である。


「じゃあ真城和季、記念すべき第一回の5帝の点数付けてみなよ。私も見守ってるからさ」

 桃花はいきなり他人任せの無責任になった。

 呼ばれたので来た真城和季だったが、自分の適任はそういうことだったのか。世界が必要としているのはそういう役目だったのか。とある意味自分の存在意義を見つけた気持ちになった。

 ある意味〈嫌われるかもしれない〉が〈でも誰かがやらなきゃならない〉案件だった、そしてそれには〈大いなる責任が伴う〉し、普通じゃ出来ない覚悟がいる。

 やはり〈咲の同期にして強敵〉という認識がGM姫の心の内に芽生えた。


「おーけー……じゃ、俺個人の採点で良いんだな?」

 そう言って一泊置き、五帝に伝令を下す。流石に今回初めてなので緊張する。なにせ世界規模の点数だ、ただで済むはずがない。


「バイタル。公民として70点、一番リターンが帰ってきているのでこの点数。ただ突発的な所も目立つしやり過ぎな感じもするが……日本人だからかな? 攻撃しないと守れないものもあるのも理解できる」

「ラフティーヌ。公民として55点、地理的にちょっと遠いからなのかあまり情報が入ってこない、あっても皇族系、政治的繋がりもちょっと薄いかも?」

「チェン。公民として60点、一番地理的に近いしやりたい事も理解できる。悪目立ちしている感じもあるが、とりあえず韓国と北朝鮮をコントロールしてくれれば特に問題なし」

「バイタル。公民として55点、流石に地理的に遠すぎて何やってるのかあまり情報が入ってこない。唯一の救いとしてはカードゲームの主人公がファラオなのでそこだけが救い」

「バハムート。公民として65点、やはり悪目立ちしてる感じもするがこれはニュースの印象操作かな? やるべきことはしっかりやってる印象は入ってくる」

 今回は流石に桃花先生が和季に付けた70点以上は出さない方向で調整した。あと社会科は知ってたがいつの間にか公民という教科に変わっていたらしく、そこも未確認なのでぼんやりとした点数となる。

 台湾も気になる所もあるのだが、本人本気で知らないので、むしろこれは未来を見た方がいいと考える。生まれる前のしくじりやアクシデントは、流石に今知ったところで今の自分にはどうすることも出来ない。


 五帝とも「それだけですか?」という表情を浮かべている。和季も困る、いままで自然にやってもらっていたのでああしろこうしろも、文句も指示も無く、いきなり指針を示せ、といわれでもあまり浮かんで来なかった。

「桃花や姫から何か意見あるか?」


 和季も色々言いたいことがあるが、言葉が詰まり助け舟を求める。

「んん~~、まあ世界系で国際色が強いのは解るけど、軍勢の中に日本人欲しいかも……」

「じゃな、トップの和季と武以外、の下級兵に日本人が欲しい、共感率が著しく低い」

 桃花お得意の感情移入をする対象がトップ層以外文化圏が違いすぎて判らないのと、下から支える日本人が欲しいという意見だった。

 感じとしては陰陽系第3位のカトレアが日本人にする方向性のほうが良い気がする……。真法系の幻想殺しとか正にそれだし、ちゃんと定期的に返ってくる。


「まあ今回初めて採点してみたけど、やっぱ視点が日本な以上、日本国にどのくらいリターンがあるのかで採点変わっちゃうな、流石に観測出来ていない外の世界までは採点出来ない……」

 あくまで内側ではなく外側の世界の話なのでそうなってしまうのだろう。ついでに言うとアメリカ、イギリス、エジプト、ロシアの隣の国も解っていないような状況じゃ、因果関係が流石にわからない。……まあ内界で起こった出来事は流石に把握しているが……。

 中国の隣は朝鮮半島とかそういうレベルだし、それだって東側だけの話だ。


「で、どう? そろそろ出発する?」

 桃花は姫に〈電車アルフェン号〉を出発させるか聞く、GM姫は今後のスケジュール表に眼を通し、目新しい障害物は無いかどうかを確認し。とりあえず今後1週間は大きそうな障害物はないことを確認する。イベントとしてはパソコンが新しくなるのでデータのお引越し作業があるかな? ぐらいのイベントで、作品としては問題無さそうである。


「うん、よし、じゃあ起動しよう。桃花も無理せずキツかったら止めろと言えよ?」

「へーい」

 そう言って、プラネットコアサーバーを再起動して、電車アルフェン号を再出発させた。


 豆知識

 名前◇80点騒動

 希少◇SSR

 分類◇最果ての軍勢_非理法権天_放課後クラブ_事件

 解説◇時系列順。2012年、四重奏の桜愛夜鈴の〈世界という大きすぎる制御できない力に対抗するための願い〉として生まれたのが最果ての軍勢。2015年、魔神が採点者を欲していたがこれを拒否する。2018年、非理法権天のオーバーリミッツと放課後クラブの天上院咲が激突しリミッツが咲に〈80点〉とだけ言う。その事が最果ての軍勢の不動武、均一したあり方(ノーマライズステート)に呼応したらしく、ここで80点になるように世界が動く、なお咲はその事を知らない。2023年カイドウが倒され真城和季が指揮を取る形に再編成。2023年、何故かハボリムが悠二に総合で39点が出されその謎が解けなかった。2026年現在、スマブラ・キコニアで80点採点され湘南桃花がその因果関係に気づく。

 つまり原因は〈平均点にする能力〉が発動していた事にある。


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